• 水、塩、砂糖の基本の漬け汁に素材を漬ける乳酸発酵漬けを料理研究家で栄養士の荻野恭子さんに教えていただきました。今回は、漬け汁ごとコトコト煮る、秋にぴったりの「さけとキャベツのロシア風煮込み」のつくり方を紹介します。
    (『天然生活』2025年10月号掲載)

    漬けてコトコト煮るレシピ

    世界各国の料理レシピで知られる料理研究家・荻野恭子さん。1970年代からロシア、イラン、トルコ、中国、韓国など70カ国以上を訪れ、現地の家庭で料理を習ったそうです。そして、どこの国にも塩を使った保存食が存在することを学んだといいます。

    「なかでもロシアの家庭でつくられている“キャベツの乳酸発酵漬け”が印象的でした。ロシアの国民食ともいえる料理で、そのままサラダのようにして食べたり、スープにしたり、ボルシチに入れたり、食卓に欠かせないもの。これをヒントに塩水で漬ける乳酸発酵漬けのレシピを考えました」

    乳酸菌は腸内細菌のバランスをとる重要な善玉菌。さらに、塩水に漬けることで野菜はかさが減り、たくさんの量を摂ることができます。肉や魚は漬けることでまんべんなく味が浸透して、保水性が高まり、加熱してもかたくならないのもうれしいこと。

    「先人の知恵が詰まった乳酸発酵。漬ける時間の長さで味が変化するのも面白いです。乳酸発酵漬けのおいしい料理を日々の健康づくりに役立ててください」

    乳酸発酵漬けの5つの特徴

    塩を溶かした水に、食材を漬ける乳酸発酵漬け。

    うま味たっぷりで体によい、乳酸発酵漬けはいいことずくめの調理法です。

     腸内環境を整える
    体にいい善玉菌の代表選手である乳酸菌。食べ物の消化吸収を助け、腸の働きを活性化するので、便秘の解消、免疫力アップにつながるといわれています。

     うま味が増す
    漬け汁に漬けて置いておくと、酸味が出てきます。これが乳酸発酵です。肉や魚を漬けると、タンパク質が分解され、アミノ酸などのうま味成分となります。

     減塩につながる
    味がしみ込むので、少ない塩でもしっかりとした塩味に。うま味もたっぷり出るので、余分な調味料を使わなくてもおいしくいただけます。

     保存が利く
    乳酸菌が増えると、腐敗菌などの繁殖が抑えられ、保存性が高くなります。しっかり乳酸発酵したあとは冷蔵庫で保存します。

     時短調理になる
    あらかじめ漬けておけば、そのまますぐに使えるので、調理時間がぐんと短縮できます。漬け汁をスープにすれば、簡単にもう一品できます。

    *「基本の漬け汁」のつくり方

    基本の漬け汁に材料を漬けるだけ。

    簡単に乳酸発酵漬けができます。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 水1カップ
    ● 塩小さじ1
    ● 砂糖小さじ1/2

    つくり方

    密封できるポリ袋や瓶に、材料をすべて入れる。

    漬ける具材を入れたら、半日室温に置き、冷蔵庫で保存(3~4日可能)。

    画像: 漬けるときは密封できるポリ袋や瓶に入れて

    漬けるときは密封できるポリ袋や瓶に入れて

    ※食材が漬け汁にしっかりつかるようにします。少しでも漬け汁につかっていない部分があると、そこから腐敗することも。



    <料理/荻野恭子 撮影/公文美和 スタイリング/久保原惠理>

    荻野恭子(おぎの・きょうこ) 
    料理研究家・栄養士・調理師。東京・浅草生まれ。ユーラシアをはじめ世界70カ国以上を訪ね現地の主婦やシェフに料理を習い、食文化の研究を続ける。著書に『ビーツ、私のふだん料理』(扶桑社)、『「乳酸発酵漬け」の作りおき』(文化出版局)など多数。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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