• 「趣味は、暮らし」と笑う、料理家・横山タカ子さん。日々、保存食をつくり、運針をし、庭の手入れをする、四季とともにある日常を、自分流に、自由に楽しんでいます。それは、遊び心に溢れ、同時にとても美しい。そんな信州の季節に寄り添った、横山さんの四季の暮らしを、ご一緒に、ぜひお楽しみください。今回は、旬の果実と本格焼酎で果実酒をつくります。
    (横山タカ子・著『信州四季暮し』より)

    画像: 美しい果実酒はまとめて並べておき、眺めて愉しんでいます

    美しい果実酒はまとめて並べておき、眺めて愉しんでいます

    果実は、採れたての生食が一番おいしい食べ方であるのは当然なのですが、それでも余った果実は、35度の焼酎に漬けています。焼酎は漬物用ではなく、本格焼酎と決めていて、無糖で作ります。

    使うのは、我が家で実った木通(あけび)、郁子(むべ)、ポーポー、桑の実など。長野産りんごに花梨(かりん)もとても香り高く、おいしい仕上がりです。

    特にお気に入りは、くるみです。よく洗ったら、鬼殻ごとフライパンで焼き色をつけ、半分に割って焼酎を注ぎます。醸すほどに、オーク材の樽風味をもたらし、“マッサン”のウィスキーにも負けないと、勝手に感心しています。中身はほじりながら、おつまみにどうぞ。

    木通は皮がとても苦いもので、なかなか食べにくいのですが、焼酎に漬けると、すっかり苦味は消え、甘味の強いリキュールに変身です。カルバドスアップルはとても高価ですが、手製のカルバドスアップルもなかなかです。

     並んだ果実酒を前に、「今夜のナイトキャップはどれに」とグラスと匙を持って眺めます。ほんの20mlほどの琥珀色の液体は、コーヒーについで、もう一度自分と対話するための、一日を締める薬といったところでしょうか。

    画像1: 果実酒の愉しみ|横山タカ子 信州四季暮らし
    画像2: 果実酒の愉しみ|横山タカ子 信州四季暮らし

    ブルーベリーのリキュール

    画像: ブルーベリーのリキュール

    材料

    • ブルーベリー 適量
    • 焼酎(アルコール35度) 適量

    作り方

    1. ブルーベリーを保存瓶の八分目まで入れる。
    2. 焼酎を瓶の口まで注ぐ。冷暗所で最低3カ月漬ける。

    花梨のリキュール

    画像: 花梨のリキュール

    材料(作りやすい分量)

    • 花梨 1.5kg
    • 焼酎(アルコール35度) 1.8リットル

    作り方

    1. 花梨は表面のうぶ毛をていねいに取り、四つ割りにする。
    2. 保存瓶に入れ、焼酎を注ぐ。冷暗所で最低3カ月漬ける。

    りんごのリキュール

    画像: りんごのリキュール

    材料(作りやすい分量)

    • 姫りんご(またはりんご) 600g
    • 焼酎(アルコール35度) 1リットル

    作り方

    1. りんごに切り込みを1本入れる。
    2. 保存瓶に入れ、焼酎を注ぐ。冷暗所で最低3カ月漬ける。

    くるみのリキュール

    画像: くるみのリキュール

    材料(作りやすい分量)

    • くるみ(殻付き) 300g
    • 焼酎(アルコール35度) 400ml

    作り方

    1. くるみは殻付きのまま洗い、水けをふき取る。
    2. 1をフライパンでから炒りする。こげ目がつくまで炒るうちに、口が開く。新聞紙の上にあけ、かなづちで半分に割る。
    3. 保存瓶に2を入れ、焼酎を注ぐ。冷暗所で最低3カ月漬ける。

    <撮影/本間 寛>

    横山タカ子(よこやま・たかこ)
    料理研究家。長野県大町市生まれ、長野市在住。長年、保存食を中心とした長野の食文化を研究すべく各地に赴き、料理名人から教わる。長野県の特徴でもある、野菜をたっぷりと使った保存食は「適塩」で作り、季節の食材は手をかけすぎず、素材を生かしてシンプルに食べることを信条とする。地元の農作物を広める活動にも尽力。大の着物好きでもある。


    『信州四季暮らし』(横山タカ子・著)

    天然生活の本
    『信州四季暮らし』(横山タカ子・著)

    『信州四季暮らし』(横山タカ子・著)

    A5判
    定価 1,700円+税
    ISBN978-4-594-08353-3

    扶桑社より発売中



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