昔から、大切に受け継がれてきた、四季折々の家仕事は、理にかなった、先人たちの知恵の結晶です。 今回は、10〜11月の晴れ間に行われる、「虫干し」を、画家で料理家の藤田みどりさんに教わります。
『家仕事ごよみ』より
虫干し 十月から十一月
天気のよい日に風通し
虫干しとは、夏の土用や秋の晴天の日などに衣類・書画・調度品などを陰干しして風を通し、虫の害やカビを防ぐ、昔から行われてきた家仕事のひとつ。晴れた日の湿度が低い時間帯、10時〜15時の間の2〜3時間、行いましょう。
「近くのお寺は、11月初旬に、書庫や蔵にある書や絵画などに風を入れて湿気を取る、虫干しを行い、宝物を公開します。私が虫干しを行うのもそのころ。除湿機や扇風機を使えば、さらに効果的です。和服などは、たとう紙をほどいて、風を入れるだけでも効果があります」(藤田みどりさん)
たんすやクローゼットは開けて風を通す
クローゼットを開け放し、たんすの引き出しを開けて、風を通す。可動式の除湿機を置くと効果的。あれば防虫効果のあるレモングラスを束にしてたんすに入れたり、クローゼットに吊るす。
食器棚の風通しは扇風機の力も借りて
食器棚を開けて、扇風機を回す。こもっていたにおいも取れる。
着物を出して風を通す
着物をたんすから出して、くるんであったたとう紙を開け、日中の数時間、風を入れる。ただし、直射日光に当てないように、日の当たらない場所で行うこと。
<文/野上郁子(オフィスhana) イラスト/赤井稚佳>
藤田みどり(ふじた・みどり)
料理家、画家。多摩美術大学絵画科卒業。英国王立園芸協会会員、北鎌倉湧水ネットワーク幹事、日本美術家連盟会員。北鎌倉の豊かな自然とひと続きの「台所」から生まれるおいしいレシピが人気。著書に『北鎌倉のお庭の台所』(主婦の友社)がある。
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