無理して相手に合わせず、自分のペースで、自分ができることをやればいい。暮らしに時差のある「枯白」乾夫妻の一日の時間割を紹介します。
(『天然生活』2017年1月号掲載)
時間をずらして心地よく効率的に。暮らしと仕事の時間割
喬彰さんがパソコンで作業中に、直実さんは工房でものづくりをと、時差があるのが、ふたりの時間割の特徴。性格も、作業の進め方も、違いがあるから1+1が、3にも4にもなるのです。
夫・喬彰さんの時間割
08:30
メールチェックと見積もり
朝が弱い喬彰さん。直実さんより1時間ほど遅れて工房へ。午前中は、メールのチェックや家具の見積もりをつくるなどの事務作業をこなす。オーダー家具が多いので、ひとつずつのやりとりをていねいに重ねたうえで、実際のものづくりにとりかかるそう。
13:30
工房で制作開始
昼間は音の出る作業を中心に。木工も鉄の作業も、どちらもこなす。相談しながらつくったりパーツごとに担当したりすることもあれば、それぞれが好きなものをつくることも。「ふたりの向かう方向が同じだから、どんなものでも枯白らしいと思います」
21:00
読書と勉強
ひとつのことに興味をもったら、とことん調べたり、追求したりするのが好き。英語の写真集は、スマートフォンの辞書機能で単語を引きながら読むそう。夜、周囲が寝静まったあとに、ぐっと集中して過ごすひと時が欠かせない。
妻・直実さんの時間割
06:30
散歩しながら自然観察を
早起きの直実さんは、ひと足先に起きて工房まわりの散歩を。田んぼや畑の間をめぐりながら、刻々と変わる作物の様子や、季節ごとに違う空の色、雲の様子などを観察するのが好き。朝、ひとりで静かに過ごすひと時で、心と頭の整理をする。
08:45
工房で制作開始
大学では彫塑を学び、鉄を溶かして大きなオブジェなどをつくっていた直実さんは、家具の金属パーツを担当することも多い。初めてふたりでつくったのは、直実さんが金具部分を、喬彰さんが木の部分をつくって合体させた、シンプルなハンガーだった。
11:00
昼食の買い出しと支度
昼食は、基本的にフライパンひとつ、鍋一個でできるパスタやうどん、そう麺などが多い。ひと皿でも具だくさんに、野菜をたっぷり取り入れるのが直実さん流。マリネなどの常備菜を副菜に。好きな作家の器に盛りつければ簡単でもごちそうに見える。
15:00
梱包と手紙書き
でき上がった家具や小物を発送するときは、梱包作業も大事な仕事。さらに、クラフトフェアや個展のあとは、来てくださったお客さまに必ず手書きでお礼状を出す。ポストカードは喬彰さんがデザインしてくれた枯白オリジナルのものを使うことも。
21:00
翌日の食事の仕込み
作業をしながら朝、昼、夜の三食をつくらなくてはいけないので、メイン料理のつけ合わせになるコールスローやキャロットラベをつくったり、シチューやカレーを煮込んだりと、夜のうちに、できることを済ませておく。翌日の昼食の支度がぐんと楽に。
ふたりの時間割
08:00
パンとコーヒーの朝食
直実さんが散歩から帰り、喬彰さんが工房に到着したら、喬彰さんの焼いた天然酵母のパンと焙煎したコーヒーで朝食を。おかずは、常備菜の野菜のマリネなどと、玉子料理が一品。キッチンのカウンターで食べる。
12:00
昼食と打ち合わせ
昼食はパスタやうどんなど、麺類で簡単に済ませることが多い。スタッフが来ている日は、スタッフの分も一緒に直実さんがつくっている。この日は、きのこたっぷりのジェノベーゼクリームパスタに、常備菜の野菜のマリネ、にんじん入りのオムレツ。
16:00
コーヒーブレイク
3時半ころ、必ずコーヒーで、ひと休みする。コーヒーを淹れるのは、喬彰さんの役目。ケーキなど、甘いものがあれば一緒にいただく。
21:00
夕食の支度と夕食
夕食も工房内のキッチン付きの部屋で。仕事が終わるのが19時半ぐらいなので、30分ほどで手早くつくって食べる。学生時代を過ごした沖縄の料理や、知り合いの器作家さんに教えてもらったメニューで。つくるのは直実さん。喬彰さんは片づけを。
<撮影/辻本しんこ 取材・文/一田憲子>
枯白(こく)
木工教室を営む父のもとで木工を始めた喬彰さんは大学でデザインを学んだのち、写真に興味をもちドイツに留学。直実さんは喬彰さんと同じ大学で彫刻を学び、卒業後、ワーキングホリデーでドイツへ。帰国後、ふたりで、時を経て美しくなる家具や小物をつくる「枯白」を立ち上げる。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです