（『天然生活』2014年9月号掲載）
卵液がフレーバーをおいしくまとめ上げてくれる
アイスクリームやチョコレートはもちろん、バナナに甘酒、クリームチーズ……。たいていのものを難なくおいしくまとめ上げてくれる、卵液とはなんと懐の広い存在でしょう。
フレンチトーストづくりで大切なポイントはふたつ。
「今回、レシピにパンをひたす時間を入れましたが、これは目安と考えてください。パンによって、吸収率はそれぞれです。バットに入れたフレンチ液を、すべて吸いきるまでしっかり漬け込むこと。すると、自然に、中央までふるふるとした味わいのおいしいフレンチトーストになるはずです」
さらに、焼きはじめたら、むやみにいじらないように。
「何度もひっくり返すと、ふっくら感がなくなります。ふたをして、じっと待ち、何もしない。これが、おいしく仕上げるコツです」
フレンチトースト19種類の分布図。味をつけた卵液にひたして、焼いたパン。その条件さえ満たしていれば、それはフレンチトーストとしました。たとえ甘くなくても、どんなフレーバーだとしても。
＜『ぱんぱかパン図鑑』より＞
※ トースターは1,200Wのものを使用。
※ フレンチ液は材料をすべてボウルに合わせ、よく混ぜてバットに移す。
6枚切りのイギリスパンで
アイスクリームフレンチトースト
あつあつトーストと、冷たいアイスクリームのコンビネーション。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 牛乳 80ml
● きび砂糖 大さじ1
ひたす時間 15分
材料とつくり方
１ フレンチ液に、6枚切り厚さのイギリスパンを、途中、返しながら15分ひたす
２ フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で2分30秒ほど焼く
３ 焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く
４ アイスクリーム適量をのせ、仕上げに黒蜜を適量かける
カンパーニュで
チョコレートフレンチトースト
焼き上がるころには、中に仕込んだチョコレートもあつあつに。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 牛乳 80ml
● きび砂糖 大さじ1
ひたす時間 30分
材料とつくり方
１ 3cm厚さに切ったカンパーニュ1枚を半分にカットする
２ 切り込みを入れてポケット状にし、チョコレート10gずつを入れてフレンチ液に、途中、返しながら30分ひたす
３ フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で3分ほど焼く
４ 焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く
５ 仕上げに湯せんで溶かしたチョコレート20gをかける
8枚切り食パンで
チャイ風フレンチトースト
スパイスで手軽に風味をプラスして、こっくりしたチャイ風に。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 牛乳 50ml
● きび砂糖 大さじ1/2
● シナモンパウダー、カルダモンパウダー 各小さじ1/3
ひたす時間 10分
材料とつくり方
１ 8枚切り食パンを半分にカットし、それぞれフレンチ液に、途中、返しながら10分ひたす
２ フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で2分ほど焼く
３ 焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で1分ほど焼く
４ 仕上げにはちみつ適量をかける
6枚切り食パンで
黒糖フレンチトースト
黒糖の素朴な甘味。コクのある仕上がりになりました。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 豆乳 80ml
● 粉黒糖 大さじ1
ひたす時間 15分
材料とつくり方
１ フレンチ液に6枚切り食パンを、途中、返しながら15分ひたす
２ フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で3分ほど焼く
３ こんがりと焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く
４ 焼き上がったら粉黒糖を適量ふりかける
バゲットで
クリーミーフレンチトースト
カリカリのこげ目もおいしい、まるで濃厚なチーズケーキ。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1個分
● 牛乳 100ml
● きび砂糖 大さじ2
● クリームチーズ 40g
ひたす時間 ひと晩
材料とつくり方
１ バゲットは端を落とし、15cm長さに切る
２ 表面にフォークで穴をあけ、味がしみ込みやすくする
３ 長さを3等分にし、フレンチ液と一緒に密閉容器に入れて、ひと晩置く（途中、何度か返す）
４ トースターに断面を上にして入れ、6分ほど焼く
５ こんがりと焼き色がついたら、こげないようにアルミホイルをかぶせ、追加で1分ほど焼く
６ 仕上げに粉糖をふる
イングリッシュマフィンで
バナナフレンチトースト
ひと口食べれば、バナナペーストの甘さにうっとり……。
【フレンチ液】
● 裏ごししたバナナ 1/2本分
● 溶き玉子 1/2個分
● 生クリーム 50ml
ひたす時間 30分
材料とつくり方
１ イングリッシュマフィンは厚さ半分にスライスし、フレンチ液に、途中、返しながら30分ひたす
２ フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱めの中火で2分30秒ほど焼く
３ こんがりと焼き色がついたら返し、ふたをして弱火で2分ほど焼く
４ 焼き上がったらメープルシロップを適量かける
6枚切り食パンで
甘酒フレンチトースト
甘酒のほのかな甘さを生かした、どこか和風のやさしい味。
【フレンチ液】
● 溶き玉子 1/2個分
● 甘酒、牛乳 各40ml
ひたす時間 15分
材料とつくり方
１ フレンチ液に斜め半分に切った6枚切り食パンを、途中、返しながら15分ひたす
２ フライパンにバター5gを熱し、パンを入れ、ふたをして弱火で2分ほど焼く
３ 焼き色がついたら返し、同様に2分ほど焼く
４ 焼けたらバター5gをのせる
＜料理／金子健一（つむぎや） 撮影／有賀傑 取材・文／福山雅美＞
金子健一（かねこ・けんいち）
料理家。1974年神奈川県横浜生まれ。学生時代、和食店でのアルバイトがきっかけで調理師免許を取得。コピーライターを経てパン職人の道へ。東京・中目黒、原宿で愛されていたパン屋「オパトカ」の店長としてメニュー開発にも携わる。そののち、2005年にマツーラユタカとともにフードユニット 「つむぎや」を結成。ケータリング、イベント、雑誌へのレシピ提案など幅広く活躍している。2017年に妻の地元長野県松本市に拠点を移し、ご縁のある農家さんのお野菜などを中心に旬を味わう食堂「Alps gohan」をオープン。『あっぱれ！おにぎり』（金園社）、『和食つまみ100』（主婦と生活社）、『お昼が一番楽しみになるお弁当』（すばる舎）など著書多数。2020年1月22日に著書『ぱんぱかパン図鑑』が電子書籍で復刊したばかり。
Alps gohan Instagram @alps.gohan
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
