写真について:山戸さんのスキー板。前の年に新調したもので「スキーロジック」のもの。シーズン中は階段下に立てかけておき、毎週、ご主人とともにスキーを楽しむ
(『天然生活』2017年1月号掲載)
「春から夏にかけては、お店が忙しいので、夏が終わって秋めいてくると、ようやくホッとひと息つけるんです。これからの時季はプライベートな時間を楽しみつつ、ゆったりと営業に入ります」
家の外に積まれた前年の薪を整理しながら、ほがらかに語る山戸さん。その横顔は、すっかり “山の住人” といった様子です。
東京生まれ・東京育ちの山戸さんですが、ご両親の移住により、八ケ岳は身近な地となりました。また、夫婦ともに筋金入りのアウトドアマン。東京で暮らしていたときも頻繁に山登りやスキーに出かけ、自然に近い暮らしをしていました。
料理人として、いつかは自分の店を持ちたいという夢もあり……。それらの点と点がつながり、導かれるように八ケ岳に移り住んでお店を始めたのは、ごく自然な流れでした。
「両親の影響もありますが、私も夫も遊びや暮らしのフィールドを山にしたいという考えがあったので、この場所が最適でした。より自分たちらしく生きられるのが山で、ここでの暮らしとお店が、そのベースなんです」
都会の便利さを思うと、山の暮らしは、ときに不便を感じるかもしれません。けれども、その不便さを補って余りあるくらい得たものが大きいのだと、山戸さんの表情から容易に想像がつきます。
そのひとつが、冬の一番の楽しみというスキーや雪板を使ったウインタースポーツなのだとか。「休みになると、ふたりですぐに遊びに行っちゃうんです」と笑います。これらの道具の手入れやメンテナンスも欠かせません。
秋から冬へと切り替わる空気、風、山の風景を感じて
スキーが大好きという理由もあるけれど、秋と冬とでは冬のほうが好き、と山戸さん。
「自然の力強さを感じるし、緊張感のある景色の美しさ、空気の澄み具合は、冬ならでは。ある日を境に、秋の空気から冬の空気へとガラリと切り替わるんです。風の向きが変わるというか、昨日とは明らかに違う!という感じ。鳥の鳴き声も変化して、木々は、より一層深く冬色に染まっていく。山の景色は一日として同じ日はないのだなと、つくづく感じます」
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<撮影/三村健二 構成・文/結城 歩>
山戸ユカ(やまと・ゆか)
ご主人とともに2013年9月に山梨・八ケ岳の山麓に移住。自宅のキッチンを開放するようなスタイルでレストラン「DILL」をオープン。
山梨県北杜市長坂町大井ケ森984-6
TEL.0551-45-7512
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです