• 生活研究家の阿部絢子さんのドタバタな日常の失敗談を綴るエッセイの連載です。奇数月22日更新。今回は、小さな欲を突かれて大金を失ったお話。

    暑い真夏の昼下がり。一本の電話。

    出てみると、久々にある編集者からの電話だった。懐かしく、仕事の話をした、その後。また電話のベル。たった今終えたのに、何か言い忘れたのかと、受話器を取り上げた。

    すると、見知らぬ、区役所の川上と言うものだが、「昨年度の医療に関する法律改正があり、医療費の36,180円が戻るので、申請手続きの手紙を送ってある。締め切りを過ぎても返事がない。今なら、銀行と連携して申請手続きを受け付けているが、どうされますか?」と問われる。

    瞬時、「えっ、法改正? 消費生活アドバイザーの私が知らない、恥ずかしい!」さらに心の声が響く。「36,180円、鰻が食べられる」。恥ずかしさと嬉しさで、思考停止状態に。「申請手続きします!」と叫んでいた。

    画像: まさかまさかの、振り込め詐欺被害|阿部絢子の七転び八起き

    その後、担当の銀行員、手続き誘導銀行員と名乗る二人の言葉巧みな操作に操られるまま、ATMに飛んで行き、言われるがまま、自分の口座にあるお金を、全部見知らぬ口座に振り込んだ。終了後にも、詐欺だったと露ほども思わず。

    翌日、実際に愛媛の蒲鉾屋さんへの振り込みで、口座残高がマイナスになって初めて、詐欺被害にあったことを悟り、真っ青! だが、失ったお金は、絶対に戻ってはこない!

    ほんの少しの欲に負け、一瞬で貯めたお金を失った。

    自分で蒔いた種。気持ちを切り替えるに限る! と、すぐに諦めた。

    (後日、福生警察署より、口座から引き出した犯人が逮捕されたとの報告あり。ちょっぴり留飲が下がる)


    <文/阿部絢子 イラスト/北村人>

    阿部絢子(あべ・あやこ)
    生活研究家。消費生活アドバイザー。「万人が家事を科学的に効率よくスムーズにこなすには?」を研究、提唱し続ける。『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』『老いのシンプル節約生活』(ともに大和書房)、『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社)など多数。


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