(『天然生活』2015年6月号掲載)
鮎 旬 5~9月
鮎は、「春生じ、夏長じ、秋衰え、冬死す。故に年魚」といわれます。
塩焼きは、そのまま焼くのではなく、ぜひ竹串を使って、のぼり串に挑戦してみてください。のぼり串とは、鮎が川をのぼっているような姿に串を打つことです。魚の姿に勢いをつけたあとは、こげやすいひれに化粧塩としてたっぷりの塩を巻きつけてから焼いてください。
焼き上がった鮎を使い、土鍋で炊いてつくる、こしょう飯。鮎の身はふっくらとやわらかく、また、こしょうがピリリと効いて、暑い夏の日でも、食欲がどんどん進みます。
「香魚」といわれる鮎。その身のにおいをかいでみると、不思議と、うりのようなにおいがするはずです。
「鮎のこしょう飯」のつくり方
きざみたてのこしょうが効いた、さわやかなごはん。土鍋でおいしく炊き上げて。
材料(2人分)
● 鮎 | 2尾 |
● 米 | 1と1/2合 |
● 粒こしょう | 20粒ほど |
● A | |
・しょうゆ | 大さじ1と1/2 |
・酒 | 大さじ1と1/2 |
・米油や、ひまわり油(香りの強くないもの) | 小さじ1 |
● 絹さや | 5~6枚 |
つくり方
1 米は炊く1時間前にといで、ざるにあげておく。
2 絹さやは筋を取り、塩ひとつまみ(分量外)を加えた熱湯でさっと湯がいたあと、水にとり、せん切りにする。
3 鮎は流水で表面をさっと洗って水けをふき取り、竹串を使って、のぼり串を打つ(*)。指で多めの塩(分量外)をとり、6つあるひれにつける(こげつきを防ぐため。化粧塩という)。残った塩は両面に全体にふり、250℃に温めたオーブンで8~9分焼く。焼けたら、熱いうちに竹串を外す。
4 1を土鍋に入れ、水280ml(分量外)、包丁でつぶしてからみじん切りにしたこしょう、Aを加え、その上に3をのせ、ふたをして強火で炊く。沸騰したら弱火にして炊き上げ、10分ほど蒸らす。
5 蒸らし上がったら鮎を取り出し、頭、ひれ、中骨を取り除き、小骨をできるだけ取る。土鍋に戻してしゃもじで切り混ぜ、茶碗によそい、2を散らす。
*のぼり串の打ち方
1 あゆの肛門の周りを軽く押して、ふんを出す
2 右目の際から竹串を打ち、胸びれ近くに出し、尾を上げ、1cm先に打つ
3 裏返して尾を90度に曲げ、尻びれの先から串を出す
4 それぞれのひれを立てるように化粧塩をする。残った塩は両面にふる
<料理・スタイリング・文/長谷川弓子 撮影/川村 隆>
長谷川弓子(はせがわ・ゆみこ)
東京都出身。料理家、栄養士。明治大学卒業後、社会人経験をしたのち、近茶流宗家・柳原一成氏、柳原尚之氏に師事し、日本料理を学ぶ。現在、聖徳大学短期大学部専任講師として、調理実習等を担当する。とくに好きな魚はあじ。「海に囲まれた国に生まれたからには、ぜひ、魚料理に親しんでいただければ」
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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