(『天然生活』2017年7月号掲載)
私たちはだれでも体の使い方のクセがあり、それが積み重なると、ゆがみをつくります。
ただ、自分では自覚しにくいので、知らずしらずのうちに、疲れ、肩凝り、腰痛といった不調を引き起こしている場合も……。
今回、自分でできるゆがみ改善法として紹介するのが、「胴体力」トレーニング。
いま主流となっている体幹トレーニング同様、胴体(体幹)の動きに着目して開発されたものです。
体のゆがみの修正運動
3つの基本の動作だけでもゆがみは修正されていきますが、とくに、悩みの多い、骨盤、肩、股関節を集中的に修正できる方法を紹介します。
「基本の3つの体操を定期的にやることで、体は自然に整っていきますが、今回紹介する骨盤、肩、股関節のゆがみ修正法をプラスすると、より効果的です」(大野さん)
〈骨盤の修正〉
お尻歩きを行い、左右差をチェック。進みにくいほうの骨盤を大きく出すように動かしましょう。
パートナーがいる場合は、仙腸関節叩きをプラスすると、さらに効果的。
1 両足をそろえて前に出して座り、腕を組む。
2 骨盤を交互に前に出すようにして前に進む。同様に、後ろへも進む。
3 進みにくいと感じるほうの骨盤を大きく出すように意識して、と同様の動きを行う。
仙腸関節叩き
仙腸関節(仙骨と腸骨の境目/お尻の中央あたり)を強めに叩いてもらうと、骨盤の動きがスムーズに。
〈肩の修正〉
両腕を背中側にまわして、手の届きやすさで肩関節の左右差をみます。
手が届きにくかったほうの下の腕を修正していきます。
左右差を確認
背中側で上下から手が届くかチェック。下から上がつらいほうの腕を修正。修正後もこの動きで効果を確認。
1 足を前後に開いて立つ。膝の屈伸の反動を生かし、修正する腕を前後に大きく振る。視線は常に指先に。タオルなど持つとよい。何回か繰り返し、2の動きにつなげる。
2 伸び上がるように腕を大きく振り上げ、前から後ろへの円運動をする。視線は、ずっと指先に。
〈股関節の修正〉
足の裏を合わせて座って、膝の左右差をチェックします。
膝が高いほうの脚を、骨盤を動かすことで修正していきます。
左右差を確認
床に座り、おへその前で両方の足の裏を合わせる。そのとき、膝が高いほうを修正。
1 床に座り、膝が高かったほうの足首を内側にし足先を両手でつかむ。
2 膝が高かった側へ、お尻で歩く感覚でゆっくり2~3周、回転する。
3 元の位置に戻ったとき、膝の高さに左右差がないかを確認する。
◇ ◇ ◇
Q 体本来の動きとは?
体は、ひとつの動作をするのでも、さまざまな筋肉が協力して動いている。
たとえば、手を動かすときは腕の筋肉だけでなく背中の筋肉を使い、ももを上げるときは、ももだけでなく腹部や腰の筋肉を使う。
手・足を動かすのに必ず胴体が協力して動くというのが、体本来の動き。
私たちは動いている部分(手・足)に目がいきがちだが、胴体の筋肉がいかにうまく協力して動いているかが重要。
Q 胴体とは?
上半身のうち肩から股関節までのことをさす。
具体的にいうと、肩、胸、腹部、背中、骨盤(一般に “腰” という部分)が含まれる。
「胴体力」トレーニングで考える、胴体の基本的な動きは、(1)伸ばす・縮める(2)丸める・反る(3)ねじる、の3つ。
日常生活、スポーツ、ダンス、武道、芸事など、それぞれまったく違う動きをしているように見えるが、胴体の動きとしては、この3つの基本動作のみ。
これに、手・足の動きがバリエーションとして加わっている。
Q なぜ胴体を鍛えるの?
現代人は日常生活で体を動かすことが少ないため、胴体の動きが悪くなり、胴体に手・足が協力して動くという、体本来の動きができていない人が多い。
その結果、胴体の筋肉が動かない分を手や足の筋肉がカバーしている。
それは体にとって不自然な動きのため、ゆがみ、凝り、硬さなどを引き起こす原因に。
それを解消するには、胴体の3つの基本動作を取り戻すためのエクササイズが必要。
Q 鍛えるとどうなるの?
鍛えるといっても、筋肉を鍛えるのではなく、胴体の3つの基本動作をできるようになることを目指す。
胴体がしっかり動くようになると体本来の動きを取り戻すことができ、体が楽に動き、ゆがみ、凝り、硬さが取れていく。
体が劇的に変わり、幾つになっても、健康、若さ、パワーをキープできるようになる。
スポーツをやっている人であれば、パフォーマンスを上げるのに役立つ。
〈監修/飛龍会 取材・文/野上郁子(office hana) イラスト/かとまり(https://katomari.com/)〉
飛龍会(ひりゅうかい)
伊藤昇師が開発した独自の胴体トレーニング法「胴体力」を中心に実践・指導する道場。
http://www.hiryukai.jp/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです