(『天然生活』2017年1月号掲載)
片づけは毎日使うひとつの場所から
暮らしのイメージが明確になったら、さっそく実践へ。
家のどの場所も、手順は基本、同じ。
大がかりにやると挫折しやすいので、小さなひとつの場所から始めて。
一気にやろうとせず、小さな場所からコツコツと
記事のタイトルに「暮らしの減量レッスン」とありますが、すっきり暮らすことは、まさにダイエットと同じ。
「ダイエットをしてやせても、キープする努力をしないと、人はすぐにリバウンドしてしまいます。暮らしも同様で、すっきりをキープするためには、定期的な物の点検が必要です」
そして、 一気にやると失敗する のも、ダイエットとの共通点とか。
「一気に物を処分して後悔したり、いきなり物置全部を片づけようとして収拾がつかなくなったり……それよりは、小さな場所からコツコツと片づけはじめ、小さな達成感を積み上げていくほうが、すっきりが長続きします。生きている以上、片づけは、ずっと続く作業。これが最後、なんて思わず、失敗したら何度でも片づけ直せばいいんですよ」
基本は6つのステップ
1 片づける場所を決める
2 全部出す
3 いる、いらない、に分ける
4 基準をつくって分類する
5 物の指定席を決める
6 指定席にすっきり物を収める
Step 1 片づける場所を決める
一刻も早く家じゅうをすっきりさせたい!と思っても、物置や押し入れなど、 大きな場所から片づけはじめるのは危険 。
大きな場所の片づけは、その分、多くの手間と根気が必要なので、想像以上の大仕事に。
それよりも、キッチンの引き出しひとつなど、小さな場所から始めて、徐々にステップアップしていくのがおすすめ。
おすすめの場所
● 食器棚1段分
● キッチンの流し台の下
● 靴箱1段分
● 洗面台の下
● 簞笥の引き出し
● 本棚1段分
● CDやDVDの棚1段分
● おもちゃ箱ひと箱
● 薬箱
● 書類ケース
● アルバム1冊分
● バッグの中身
Step 2 全部出す
片づける引き出しや棚を決めたら、その中に入っているものを、まず全部、外に出す。
「片づけは引き出しの半分だけ」などといわず、潔くすべて出し、引き出しや棚自体もついでにふき掃除をすれば、全体がすっきりし、効率よく片づく。
引き出しの中身を全部出す前に、それらを広げておくスペースを確保することもお忘れなく。
Step 3 いる、いらない、に分ける
いる、いらない、は、単に、いま必要か不要かを考えることではない。
“これから10年先まで使いつづけられるか”
“メンテナンスをしながらでも手元に置いておけるか”
といった深いところまで吟味し、判断、分類して。
どうしても判断できないものは、 “とりあえず箱” に入れ、目のつく場所に置きつつ、保存期間を決めて判断を。
迷ったら……
ふたつ以上チェックがついたら処分。
5年間まったく使っていない
機能やデザインが古くなった
さんざん使って修理の必要があるがお金がかかりすぎる
存在すら忘れていた
未練や物語のないものだった
Step 4 基準をつくって分類する
必要なものを厳選したら、次は各自の基準で分類を。
たとえば調理器具なら、毎日使う、ときどき使う、年に数回使う、など、使用頻度別に。
文房具なら、長いものと小さいものなど、形別に。
食器は、家族用と客用など、用途別に。
最初にしっかり分類しておけば、のちのち出し入れが楽で、見やすい指定席に正しく収納できる。
Step 5 物の指定席を決める
いよいよ、物の指定席決め。
指定席を決めるときは、出し入れしやすく、見やすい場所(棚なら自分の 目線を基準に上下45度 がベスト)に一軍、低い場所や高い場所に二軍のもの、と使用頻度による優先順位づけをして。
引き出しは、ジャンルごとに箱などで仕切り、毎日使うものを手前、それ以外を奥に収納するのが鉄則。
Step 6 指定席にすっきり物を収める
最後は、指定席を決めたものを収める作業。
実際にやってみると、すべてが指定席に収まらないことも。
そんなときは前のSTEPに戻り、分類法を変えたり指定席の場所を変えたりしながら、試行錯誤を。
最終的にすっきり収納できれば完了。
“すっきり” の感覚には個人差があるので、あくまで 自分にとってのすっきり でよい。
すっきり見せるコツと、家で増えがちなものを知っておく
物が多めでも、すっきり見せるコツがわかればストレスは軽減される、と阿部さん。
「私の場合、物は扉や引き出しの中にしまって表に出さない。やむをえず出しっぱなしでも、きっちりそろえて並べることを徹底しています」
また、家で増えがちなもの(レジ袋、DM、調味料やたれ、保冷剤、紙袋など)を把握して定期的に処分することも、すっきりのキープには欠かせないそう。
〈監修/阿部絢子 取材・文/宇野津暢子 イラスト・描き文字/古谷充子〉
阿部絢子(あべ・あやこ)
生活研究家・消費生活アドバイザー。薬剤師として洗剤メーカーに勤務後、独立。合理的かつエコな家事や整理収納など、生活の提案を行う。世界各国にホームステイし、その国の暮らしぶりを見つめる研究も続けている。著書に『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』『老いのシンプル節約生活』(ともに大和書房)、『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社)など多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです