(『天然生活』2016年1月号掲載)
まずは、自分の体質タイプをチェック
アーユルヴェーダで人の体質を診るときに用いる考え方が、「ドーシャ」という、体内のエネルギー。
私たちは 風、火、水の3つのタイプ に分けられ、どれが多いかによって、体質の傾向がわかります。
風(Vata:ヴァータ)
活動的で、情報量も多い。瞬発力はあるが持続力がないので、疲れやすい。不眠にもなりやすいので、こまめに休んだり、ときには、何もしない空白の時間をつくることが大切。
火(Pitta:ピッタ)
熱血漢。リーダータイプ。使命感が強く、疲労を感じにくいので、意識して休息をとることが大事。ときどき甘いもので体を冷やすのもおすすめ。目の充血や口内炎は、火の乱れ。
水(Kapha:カファ)
競うことが苦手でマイペース。基本的に体は丈夫だが、体内に未消化物が滞りやすい。とくに春先は鼻が詰まったり気分も塞ぎがち。元気になるには運動が最も効果的。
いずれかのエネルギーが増えすぎると病気へとつながるため、「疲れやすい『風』の人は、こまめに休むようにする」など、タイプを把握することが体調管理に役立ちます。
下のチェックシートで まずは自分の体質タイプがどれか、チェック してみましょう。
自分に当てはまるものをチェックし、合計個数が最も多かったもの が自分の体質タイプ。複合型タイプの人もいます。
アーユルヴェーダの体質タイプ
チェックシート
タイプ | 風 (ヴァータ) | 火 (ピッタ) | 水 (カファ) |
合計 | |||
出生時 | 小さめ/虚弱/音に敏感だった | 標準程度/意志が強かった | 大きめ/丈夫/よく寝る赤ちゃんだった |
体格 | 痩せがち/体重の増減が激しい | 中肉中背 | ふっくらしている/骨が太くがっちり |
皮膚 | 乾燥肌/そばかすが出やすい | ニキビ肌/ホクロが多い/地黒 | 色白でキメが細かい/しっとり肌 |
髪 | 細い/傷みやすい | 柔らかい/若いころから白髪が多い | 太くて丈夫/量が多い |
眼 | ひと重まぶた/細い | 目つきが鋭い/充血しやすい | まつ毛が長く大きい/黒目がち |
額 | 手指4本の横幅より狭い | 手指4本の横幅と同じくらい | 手指4本の横幅より広い/丸みがある |
食欲 | ムラがある/不安定 | 旺盛/空腹に耐えられない | 安定/一食抜いても平気 |
排泄 | 便秘がち | 下痢傾向/一日に2度以上行く | 良好 |
睡眠 | 浅く断続的/眠るのが苦手 | 短いが熟睡/頭が冴えて寝つけないことも | 深く長い/長時間寝ないと不調 |
動作 | 活動的/すぐに実行するタイプ | 計画的/時間に正確/行動にむだがない | 人よりゆっくり/マイペース |
部屋 | ちらかりがち/引っ越しや模様替えが好き | 片づけ上手/物はいつも決まった場所に | 捨てないので物が多い/気にしない |
合計 | |||
タイプ | 風 (ヴァータ) | 火 (ピッタ) | 水 (カファ) |
複数選択も可能です。実際には、チェックシートに加えて脈診や舌診なども合わせて判断するので、ここでは、あくまでも傾向を知るものと考えてください
◇ ◇ ◇
世界三大伝統医学のひとつ、アーユルヴェーダと池田早紀さんが初めて出合ったのは、20歳でインド旅行をしたときのことでした。
「そのときは、まだ関心も知識もほとんどなくて。たまたま、南インドにある、最も歴史の古いアーユルヴェーダの宿泊型治療施設に泊まったんです」
そこにあったのは、目の前にインド洋が広がる美しい風景、さわやかな風、緑、おいしい食事。
「『患者を治療する病院なのに、こんなに気持ちいいところだなんて』と驚きました。そのころ、大学で心理学を学んでいたんですが、授業では、体や暮らしにはあまり目を向けず、どこか不十分なのでは……と感じていました。心も体も等しく扱っているアーユルヴェーダを目のあたりにして、『これだ』と思ったんです」
アーユルヴェーダの考え方では、病のもとになるのは「未消化物」。体に入る食べ物や情報の量が過剰になると、消化しきれず、それが体内に滞ることで、体や心の不調へとつながっていくのです。
「いかに体に入るものをきちんと消化して、エネルギーに換えられるか。いかに未消化物をためずに、体の外へ出すか。それが大事なことだと考えられています」
池田さんには、長年、毎日続けている3つの習慣 があります。
「朝、起きて、最初にするのが、舌のチェック。未消化物は舌に出ることが多いので、舌でその日の体調を確認し、舌みがきでやさしく舌のの掃除をします。そして朝食の支度をしながら、白湯を一杯。白湯には、寝ていた間に失われた水分を補給するほか、消化力を強めたり、体内を浄化して、デトックスしやすくしたりする効果があります。夜は、お風呂の時間に、簡単なオイルマッサージを。それから湯船につかって汗をかき、老廃物を体の外に出します」
この3つを続けるうち、胃もたれや肌荒れなど、ちょっとした不調に対応できるようになったり、自分で体の見立てができるようになったりしたそうです。
「アーユルヴェーダを学んでから、考え方も変わりました。この医学の大きな特徴のひとつは、ひとりひとりの個性をみて、それぞれに合った治療をすること。『万人にこれがいい』というものは存在しません。背が高い、低いなどの体質はもちろん、『のんびり』『せっかち』などの気質も、すべて生まれながらの個性です。人間は根本的にひとりずつ違っていて、その違いで世の中が成り立っています。だから、他人に対して批判的になったり、卑屈になったりしなくなったし、『こうでなければいけない』という思い込みからも解放された 気がします」
冷え性におすすめ「しょうがの黒糖ティー」 >>
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〈撮影/柳原久子(https://water-fish.co.jp/) 取材・文/嶌 陽子 イラスト/榎本マリコ(Taiko&Associates)〉
池田早紀(いけだ・さき)
アーユルヴェーダカウンセラー&セラピスト。
HP:http://ayurveda-foryourlife.com/
◆ インド国立グジャラート・アーユルヴェーダ大学提携 日本アーユルヴェーダスクール「アーユルヴェーダライフスタイルカウンセラー」 「アーユルヴェーダヒーリング コンサルタント」
◆ 米国補完医療大学「Ayurvedic Medicine Practitioner」
◆ 中国衛生省認定 中国足部反射区健康法足反射療法士
大学在学中より3000年以上前からの癒しの原点「アーユルヴェーダ」に携わり 、インド、中国、東南アジア、東欧、北欧など世界各国で研鑽を続ける。ヨーガスタジオ講師、クリニックでのカウンセラー勤務などを経て2009年にセラピストとして独立。Apple表参道、坂本龍一『健康音楽』などイベント、講演会も多数。銀座SISEIDO THE TABLEのレシピ監修。南風食堂・三原寛子先生とのアーユルヴェーダの暮らしと食の教室 "mahat tuning"は今年で6期目を迎える。山形ビエンナーレ2020では参加型のアーユルヴェーダプロジェクトを開催。トリートメントは東京都世田谷区の市中の静かでクラシックな一軒家Atelier Asha 105にて完全予約制。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです