人と人の間に
ここ立山の巣巣は普段は木・金・土の週に3日だけ、予約優先での営業をしています。
一日に四枠、一枠一時間半の間に、1、2組のお客様を受付。私自身が内外でセレクトしたものやオリジナルデザインのもの、ストーリーある色々なものが溢れている店なので、ゆっくりお買い物を楽しんでいただけたらと思っています。
初めて来てくださった方は、たくさんの品物にびっくりされて、大体の場合はどこからみていいのかと戸惑われます。
どんなお店でもそうだと思うのですが、巣巣でも好みやセンスが近い方だとすっかりはまって、空間と滞在を楽しんでもらえます。
テンションが上がるので、合間にクールダウンとしてカフェコーナーで休憩し、楽しくお買い物という時間を過ごせてもらえたら店主冥利に尽きるというものです。
そういう日は1日の終わりに私の中に、じわっと多幸感が広がります。
人と人のコミュニケーションの醍醐味 でしょうか。
巣巣としてのお店活動も17年ぐらいになって来ました。
日々来てくれる新しい人々と接し、いろいろなことが起きるなかで、人間同士の関わりについて考えることがよくあります。
九割以上はよいことが起こるのですが、今日のテーマはたまに起こるそうでもない出来事から。
人とのやりとりでカチンとくることって、たまにありますよね。こちらのことを否定された時や、相手の言い方がきつかったり、自分都合が過ぎたり、間違いを指摘されたり、こちらの意見を受け入れてもらえなかったり。
カチンとしてしまう理由はいろいろあると思うのですが、自分がカチンときた時って、すぐには上手く反応できないことが多いと思います。そうすると相手にも同じくらい言い返したかったと、いつまでも気が済まない状態になってしまいがち。
心に棘が刺さったような状態で、思い返してはその時の不快な気持ちが蘇ってきたり、こんな風に言い返して相手を言いくるめたいと、あとあとまで引きずって思ったりします。
これってどうしてそうなるのかな と考えてみました。
どんな親しい間柄でも、人が2人いるとなぜだか起きてしまうこの現象。
人と人の間からこの感情がなくなったら、世界に戦争ってなくなるのではないでしょうか? とすら思ってしまいます。
人間が地球上で生きながらえていくために、DNAに刻まれたプログラム(のようなもの)の一つかなと思います。
この「カチン」とは「悔しい」とか、「怒り」とか、「傷つく」「苛立つ」といったことが混ざっていると思います。
それをすぐに受け流したりすることなく、同じくらいの感情を相手にも感じさせたいという反撃の気持ちが、人間が生きていくためのモチベーションの一つとして必要であった時代が続いていたのではないでしょうか?
最近、許すって愛だなー と思う出来事がありました。
怒ってしまっても当然と思える状況で、怒らずに相手を許す。カチンと来ても返さない。ひきずらない。相手がカチンとくるようなことは言わない。
ちゃんと自分の意見や考えを伝えるということは大切ですが、そこに相手の気持ちを慮った伝え方への配慮を取り入れたいです。
人と人の間に、なんだかトゲトゲしたものでなくって、ピンクのハート=愛 がいっぱい充填されているようなイメージをみんなが持てたら最高ですよね。
これからの時代は、お互いに許しあうこと、愛し愛されることが、人が生きて行く上で一番重要なことになってきたらいいなと思います。
巣巣は12月12日の営業後、1月2月の間、冬のお休みに入ります。
この辺りは雪も積もるし、家は昭和の作りでとても寒いので、一人で店を開けることが難しく。しばらくの間は家にこもって、新しく挑戦したかったことに取り組もうと思っています。
冬の間もこのお便りは続ける予定なので、立山の冬の様子をお楽しみに。
岩崎 朋子(いわさき・ともこ)
巣巣店主。世田谷区等々力で16年続けた家具と雑貨の店を閉店し、2020年6月富山県立山町で再オープン。New巣巣は雑貨を中心としたお茶も飲めるお店。バンド「草とten shoes」リーダー。
https://www.susu.co.jp/
富山県立山町鋳物師沢201−6
12月中旬から2月末までの間、店舗は冬季休業中。
<撮影/池田あかね(プロフィール写真)>