• 料理家のホークスみよしさんに、お嬢さんの誕生日を祝う献立 を教えていただきました。お祝いの気持ちを込めた、ある日の食卓。旬の食材を、あの人の大好物を。それぞれのごちそうに、大切な家族の思い出があります。
    (『天然生活』2013年2月号掲載)

    誕生日を祝う、イギリス式のオーブン料理

    ホークスみよしさんが今回、用意してくれたのは、お嬢さんの誕生日を祝う料理。

    「2児の母となってがんばっている娘に、ようやく大人の女性になったのね、おめでとうと、祝福の気持ちを込めてつくりました」

    長年、暮らした イギリス仕込みのオーブン料理 が、メインです。

    「娘はイギリス、クウェート、日本で育ちましたが、幼いころから、うちのお祝いの席といえば、オーブン料理がメインでした。娘の誕生日は11月で、りんごの季節ですから、今回は、相性のよい豚とローストに。そこに、クウェートの雰囲気を盛り込みたくて、クミンシードやコリアンダーシード、彩り鮮やかなピスタチオもプラスしました。娘が食べたことのない味わいもプレゼントしたくて……」

    さらに、サーモン、長ねぎ、洋梨など、この季節においしいものを使ってコース仕立てに。どれもシンプルだけど、深くやさしい母の味です。

    そして食卓は、お手製のステンシルの布と、イギリスと日本のアンティークの器で演出。

    East meets West。イギリス人の父と日本人の母をもつお嬢さんにぴったりのあしらいです。

    画像: 誕生日を祝う、イギリス式のオーブン料理

    ◇ ◇ ◇

    サーモンの冷製のつくり方

    ディルの風味が効いたサーモンのムースに、ヨーグルト入りのさわやかなドレッシングをたっぷりかけて。ふわっと軽くやさしい味わいです。

    材料(4~6人分)

    ● 生サーモン(皮と骨を除く)300g
    ● バター25g
    ● にんにくのスライス1片分
    ● 白ワイン1カップ
    ● 水1カップ
    ● 牛乳1/2カップ
    ● 塩、こしょう各適量
    ● 棒寒天1本
    ● A
    ・サワークリーム大さじ1
    ・生クリーム大さじ1
    ・ディル(やわらかい葉)5枚
    ● 万能ねぎ(飾り用)適量
    〈ドレッシング〉
    ・サラダ油、酢、マヨネーズ、ヨーグルト、万能ねぎ(小口切り)各大さじ1
    ・にんにく(みじん切り)1/2片分
    ・塩、こしょう各適量

    つくり方

     フライパンを中火弱にかけてバターを溶かし、にんにくを木べらで炒める。

     サーモンを入れて両面を焼き、ワインを注ぐ。サーモンが白っぽくなったら水を加え、塩・こしょうをし、ひと煮したら、火を止め、牛乳を加える。サーモンを取り出す。

     ちぎった寒天を水(分量外)にふやかしてから、水けをさっとしぼり、のスープの中に入れ、火にかけて溶かす。

     のサーモン、をミキサーまたはすり鉢で、なめらかにする。

     を水にぬらした器に入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。

     を器から取り出し、長さを半分に切った万能ねぎを添える。ドレッシングの材料を混ぜ合わせてかける。

    スパイシーローストポークのつくり方

    ホークスさんがイギリスで最初に食べた、思い出のひと皿。ブロッコリー、芽キャベツ、にんじんなどの温野菜を添えても。

    材料(4~6人分)

    ● 豚もも肉(塊)600g
    ● 豚バラ肉(塊)400g
    ● A
    ・ししとうがらし(みじん切り)4本分
    ・クミンシード、コリアンダーシード各小さじ1
    ・にんにく(みじん切り)1片分
    ・塩、こしょう各適量
    ● りんご(いちょう切り)1/2個分
    ● ピスタチオ(殻があれば取る)25粒
    ● じゃがいも6個
    ● サラダ油適量
    〈グレービーソース〉
    ・皮付きの玉ねぎ(5mm幅にスライスしたもの)1/2個分
    ・にんじんの皮、ねぎの葉、パセリなど、野菜屑各適宜

    つくり方

     鍋にりんごを入れて弱火で煮る。煮立ったら火を止め、ふたをして冷ます。

     豚もも肉は、端のほうから均等な厚さに、平らになるように切り開く。を全体にこすりつける。肉の上面にナイフで切り込みを入れ、ピスタチオを刺し込む。のりんごを全体に重ねる。

     りんごを巻き込むように、豚もも肉をロール状にする。上にバラ肉をのせ、たこ糸でしばる。

     じゃがいもは皮付きのまま3つ割りにして鍋に入れ、ひたひたの水で7~8分煮る。

     じか火にかけられる耐熱皿にグレービーソースの材料を敷き、をのせる。別のオーブン皿にサラダ油をぬってを置き、180℃に熱したオーブンで一緒に焼く。じゃがいもは15分、肉は60分くらい焼く。

     肉を皿に盛りつけ、じゃがいもを添える。

     グレービーソースをつくる。肉を焼いた耐熱皿から、皿を傾けて出てきた脂を他の容器に移し、耐熱皿に2カップの水(分量外)を加える(脂はラードとして使える)。木べらなどで皿についたうま味成分をこそぎ落としながら、強火にかける。半量くらいになったら火からおろし、こす。肉や野菜にかけていただく。

    洋梨のコンポートのつくり方

    洋梨を赤ワインで煮込んだ大人テイストのデザート。ソースはヨーグルトと生クリーム半々が、ちょうどいいバランスです。

    材料(4~6人分)

    ● 洋梨2個
    ● 赤ワイン2カップ
    ● 砂糖大さじ2
    ● A
    ・ヨーグルト大さじ2
    ・生クリーム大さじ2

    つくり方

     洋梨は皮をむき、縦に半分に切って芯を取る。

     鍋に洋梨を入れて赤ワインと砂糖を加え、中火で煮る。途中、上下を返し、満遍なく色づいたら火を止め、ふたをしてそのまま冷やす。

     を器に盛り、を混ぜ合わせたものをかけていただく。

    ねぎのスープのつくり方

    リークのような味わいを出すには、日本のねぎなら太めのやわらかいものを選ぶのがコツ。昆布だしで、とろとろになるまで煮込んで。

    材料(4~6人分)

    ● 長ねぎ2本
    ● サラダ油大さじ1
    ● 昆布6cm角3枚
    ● 塩、こしょう各適量
    ● 水4カップ

    つくり方

     長ねぎの青い部分はみじん切りに、白い部分は5等分にし、さらに縦に半分に切る。

     大鍋にサラダ油を中火で熱し、青い部分をよく炒める。

     長ねぎの白い部分、昆布、水を加え、中火弱で30分くらい煮る。ねぎがやわらかくなったら、塩、こしょうで味をととのえて仕上げる。



    〈撮影/川村 隆 取材・文/野上郁子(オフィスhana)〉

    ホークスみよし
    ステンシル作家で料理研究家。イギリス、クウェート、湘南、那須での生活のあと、長野に移住。森の自然を題材としたステンシル作品を制作しながら、季節ごとの食材を生かしたおいしいレシピも発表している。

    2021年 ホークスみよし作品展のお知らせ


    ●6月16日(水)~22日(火)

    大丸神戸・7階「くらしのギャラリー」
    2021年「森の精霊」展

    麻生地、タッサーシルクで作った服を中心に、絵、暖簾やタピストリーなどインテリア作品を展示いたします。


    ●7月13日(火)~21日(水)

    銀座ギャラリー江
    「日々の暮らし」展

    ホークスみよしと陶芸家・川野恭和さん、ガラス作家・原光弘さんとのコラボ展です。毎日使っている大好きな器と私のテーブル、ダイニングまわりの作品展。


    ●9月21日(火)~28日(火)

    銀座ギャラリー江
    ホークスみよし作品展
    2021年「森の精霊」展

    衣服の作品展です。


    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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