人間の身体のポテンシャル
移転前の世田谷の巣巣では、主にオリジナルデザインの無垢材の家具を、インドネシアや福井県など内外の提携工房で製作し販売していました。
私自身が大学で林学を学び、木という自然の素材を日常に取り入れることに興味を持ち、木の家具を暮らしに提案するという道を、仕事として進んできました。
家具屋ということで店舗の面積も広く、無垢材の家具はなかなかの重さがあり、腰を痛めることも頻繁だったため、自分一人のこの体制では体力的に長く続けられないなという気持ちも、世田谷の店の閉店を決めた理由の一つでした。
しかし昨年春よりここ立山に引っ越し、自然に近い生活を始めてみると、日々の暮らしは草取りや庭木の手入れなど都市部での生活よりも体力が必要なことが結構あり。
今シーズンは雪の当たり年で、雪かきもしょっちゅうしなければなりません。これまでの暮らしよりももっと体力が必要そうです。長くここで生活するためにも、これからちゃんと身体を鍛えないといけないなと思っています。
特に日々の移動は基本車なので、歩くということがあまりありません。このままでは足腰の衰えも気になります。最近はスマフォの歩数計を意識して、時には散歩をするように心がけています。
仲良くなったご近所のみなさん(70、80オーバーくらいかな)、朝から田畑に出て畑仕事に精を出されていて、みんなとてもしゃっきりとお元気です。50代前半で体力がなどと言っている場合ではありませんでした。
ご近所さんとの交流を通じて、自然の近くで適度に身体を動かすという日常を続けていたら、いつまでも元気に暮らしていけるのではと思うようになりました。
そもそも人間の身体って、ものすごく複雑かつ精巧によくできていると思うのです。
目から入ってきた光の情報を脳が解析する「見る」というシステム。
酸素を吸って二酸化炭素を出す呼吸。
その呼吸時に体内に入ってきた異物を、外に出すくしゃみや咳。
毎日毎日夜になると何時間も眠り、その間に昼間の活動で痛んだり疲れた身体を自分で修復する。
こうして書き出すときりがないのですが、人が増殖していく仕組みもミラクルそのものです。
みなそれを当たり前として受け入れていますが、例えば喉が乾くことや、お腹がすくといったボディーサイン。これによって、人は水分を摂ったり、ご飯を食べたりします。
サインがなかったら、面倒くさくって、水飲まなかったりご飯食べないで、体調悪くなったりしちゃうと思うのです。少し前の時代では食事の用意も大変な労力だったし。
また足の小指ぶつけてものすごく痛いのも、実際に必要な痛さの10倍ぐらいにしておいて、次はぶつけないように気をつけさせるという作戦なのではないかなとか。でないと不注意で強くぶつけて骨折してしまったり。足に不具合が起きるというのは、大変なことです。
全て人間が生き延びるため、あらかじめ組み込まれている巧みなプログラミング(のようなもの)ではないでしょうか?
そしてこういうボディーサインに気を配りながら自然に近い生活していると、そんなに薬や病院に頼らなくても、かなり心身健康に暮らせるのではないかなと思います。
もともと人間自身には治る力が備わっている。人間の身体には大いなるポテンシャルがあると思うのです。
太陽の元で適度に身体を動かし、血流をよくして、深い呼吸をし、
腹八分を心がけ、野菜や果物、穀物、豆類、海藻、魚介類、発酵食品といった、日本人が昔から食べていたものを中心とした食生活にする。
熟睡できる良い睡眠をしっかりととる。疲れたらちゃんと休む。
時には土に触れて自然の菌にも接し、
よく笑い、よく学び、自分の考えを持ち、たまには美しいものに触れ、
どうにかなるさ力を身につけ、人に優しく、いつもプラス思考を心がけ、身体のポテンシャルを発揮する。
そういうものに私はなりたいと思っています。
岩崎 朋子(いわさき・ともこ)
巣巣店主。世田谷区等々力で16年続けた家具と雑貨の店を閉店し、2020年6月富山県立山町で再オープン。New巣巣は雑貨を中心としたお茶も飲めるお店。バンド「草とten shoes」リーダー。
https://www.susu.co.jp/
富山県立山町鋳物師沢201−6
12月中旬から2月末までの間、店舗は冬季休業中。