(『天然生活』2017年3月号掲載)
S字フックの吊り下げ活用術
バーにひっかけたり、家具に取り付けたり、フックの可能性は無限大。日々の料理が楽しくなりそうな、福田さん式吊り下げマジックです。
荒物屋や100円ショップは掘り出し物の宝庫
福田さんの台所にあるS字フックの多いこと。大小さまざま、形も少しずつ異なるものが、それぞれに合った役目を果たしています。そこに吊るされている調理道具も実にたくさん。
ふだんから、どんなところで手に入れているのでしょうか。

鎖でつながっていたり、幅広だったり、サイズも形もさまざまなフック。「愛犬リタと散歩しながら、いつも探しています」
「雑貨店以外に、100円ショップや荒物屋にもよく行きます。フックはもちろん、掘り出し物の道具がたくさん見つかるんです。とくに、古い荒物屋さんは、宝の山。地方でも、店を見つけると、必ずのぞいてみます。安くて優秀なもの、見たことのない形のものに出合うと、気分が一気に高揚しますね。100円ショップも、機能的なものが多くて侮れません」
カトラリーや調理道具を入れている容器も、100円ショップで買ったガラス瓶やジャムの空き瓶。
安いものも上手に取り入れながらつくり上げた台所は、機能的ながら、ほどよくラフな雰囲気もあり、見る人の目を楽しませてくれます。
「きっちりすぎる収納だと、疲れてしまって続かない。私の場合、『こうしなければ』『こんな収納にしたい』と思っているわけではなく、自分にとって便利なように物を置いていたら、自然と、このかたちになったんです」

足場の板やガス管を利用した壁付け棚。あえてガス管を取り付け、さらに吊るせる場所を確保した。食器棚は、手持ちの器を全部テーブル上に並べてから、一段ごとに、しまう器の量を導き出して設計
コンロとシンクの上は、使うものを順に配列

一番左、コンロの上に吊るしているのは鍋つかみ。その隣から右に向かっては、主にシンクで使う道具。野菜ブラシやタワシ類、ふきんかけ、手ふき用クロスなど。どれも、必要なときにすぐ手に取れる位置にある
陽の当たる場所でざるを乾かしながら収納

使ったのは、仕事で譲り受けた店の什器用のかご。チェーンとフックで天井に取り付け、ざるの収納場所に。さらに、網目にフックをひっかけ、木べらや、ゆでもの用のかごなども吊るしている
フックと袋でつくるワゴンの即席ごみ入れ

福田さんの台所には、ごみ箱がない。下ごしらえの前に、ワゴンにビニール袋を吊るしておいて、食材を切ったそばから屑を捨てている。おかげで、まな板やワゴンの上は常にきれいな状態
コンロ前の棚側面には得意料理のパエリア用鍋を

食器棚の側面もくまなく活用。フックを取り付けて、高さのないパエリア用の鉄鍋を、ふたつ上下に吊るしている。コンロに立って振り向けば、すぐ手が届く場所で、便利
ダイニングテーブルの側面、幕板にも隠れフックがずらり
テーブルの四方にぐるっと取り付けたネジフックには、ティッシュ箱や、袋に入れたリモコン類を吊るして。食事会のときは、小さなビニール袋を幾つかひっかけ、ゲストのごみ袋に

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福田さんのキッチン間取り図

〈撮影/有賀 傑 取材・文/嶌 陽子 イラスト/木波本陽子〉
福田春美(ふくだ・はるみ)
ブランディングディレクター。ファッションディレクターとして活躍した後、渡仏。帰国後、ライフスタイルにまつわるさまざまな商品のブランディングを行う。
インスタグラム:@haruhamiru
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです