(『天然生活』2015年5月号掲載)
色鮮やかな韓国のり巻き“キンパ”が主役のお弁当
ふだんはなかなか機会がないから、お弁当を持って出かけるとなると、夏井さんはつい張りきってしまいます。せっかくなら目指したいのは、開けた瞬間、「わあ、きれい」とうれしくなるお弁当。
好きが高じて、毎年、キムチを漬けつづけ、ワークショップまで行っている夏井さん。もちろん今回、披露するのは、色合い鮮やかなのり巻き“キンパ”を主役にした、韓国風のお弁当です。
「ごはんに色がつくだけで、特別感が増しますよね。のり巻きがメインのお弁当は、それだけで華やかさがあるから、おかずは少しくらい色合いが地味でも大丈夫。気をつけることは、のりが濡れるとくずれてしまうので、水けをふくんだものを一緒に入れないこと」
たとえば、韓国料理に欠かせないキムチは、汁けが出ないように餃子の皮で包んでサモサ風に。においも漏れず、お弁当に持っていくにはおすすめのテクニックです。こんにゃくは、だしで煮ふくめるのではなく、火を入れて水けをとばしたふき味噌であえると、しっかりした味わいも出て満足感が。
「キンパは一度にたくさんできるので、ひとりでは食べきれません。お弁当箱に入らない分も持っていって、一緒にいる人におすそわけするのも、このお弁当の楽しみのひとつです」
キンパ(韓国風のり巻き)のつくり方
黄色とオレンジのごはんがかわいらしい、韓国風のり巻き。ナムルは、つくり置きしておくと便利です。
材料(2本分)
● ごはん | 1合分 |
● A | |
・コチュジャン、練りごま | 各小さじ1 |
・味噌 | 小さじ1/2 |
● B | |
・溶き卵 | 1個分 |
・ターメリック | 小さじ1/6 |
〈ナムル〉 | |
・ にんじん | 1/2本 |
・豆もやし | 1/2袋 |
・大根(せん切り) | 1/6本分 |
・紫キャベツ(せん切り) | 1/4個分 |
・焼きのり | 2枚 |
・春菊 | 1/2束 |
・しそ | 4枚 |
● C | |
・にんにく(すりおろし) | 小さじ1/2 |
・ごま油 | 大さじ2 |
・塩 | 小さじ1 |
つくり方
1 〈ナムルをつくる〉にんじんはせん切りにして1分、豆もやしは3分ゆで、それぞれざるにあげる。熱いうちにそれぞれCを合わせたもの1/4量であえる。
2 大根と紫キャベツはそれぞれ塩小さじ1/6(分量外)でもみ、出てきた水分を捨て、それぞれCの1/4量であえる。
3 春菊は熱湯でさっとゆでてから水にさらし、水けをしぼる。しそは縦半分に切る。
4 〈コチュジャンごはんをつくる〉ごはんの半量にあらかじめ合わせておいたAを混ぜる。
5 〈玉子ごはんをつくる〉Bを合わせて炒り玉子をつくり、ごはんの半量に混ぜる。
6 巻きすにのりを縦長に置き、奥側2cmを残して4のごはんを広げる。手前2cmのところに、しその半量を横に並べる。しその上に春菊の半量をのせ、さらにナムルの半量をのせる。
7 最初のひと巻きで具を全部巻き込むようにして、きっちりと巻いていく。巻き終わったら、巻きすでしっかりと押さえて形を整える。少しおいて、のりとごはんをなじませてから1.5cm厚さに切る。5のごはんを使い、もう1本も同様につくる。
えびとくるみのジョンのつくり方
青のり、しょうが、にんにくの風味が、お弁当のアクセントに。ごま油で、かりりと香ばしく焼き上げました。
材料(2人分)
● えび | 4尾 |
● くるみ | 8粒 |
● 薄力粉 | 適量 |
● A | |
・溶き卵 | 1/2個分 |
・青のり | 小さじ1/2 |
・しょうが、にんにく(すりおろし) | 各小さじ1/4 |
・塩 | ふたつまみ |
● ごま油 | 小さじ1 |
つくり方
1 Aをボウルに入れ、よく混ぜる。
2 えびはしっぽを残して殻をむき、背ワタを取る。全体に薄力粉をまぶし、1にくぐらせる。
3 ごま油をひいたフライパンで両面焼き色がつくまで焼く。
4 くるみを1にくぐらせ、同様にこんがりと焼く。
キムチのサモサのつくり方
餃子の皮でつくる、お手軽サモサ。キムチの辛さに、マーマレードの甘さが隠し味です。
材料(6個分)
● キムチ(みじん切り) | 30g |
● 豚ひき肉 | 50g |
● マーマレードジャム | 小さじ1 |
● 餃子の皮 | 6枚 |
● しょうゆ | 小さじ1/4 |
● ごま油 | 小さじ1 |
● 揚げ油 | 適量 |
つくり方
1 フライパンにごま油をひき、ひき肉を入れて炒める。色が変わったら、キムチとマーマレードを入れてさっと炒める。しょうゆを加え、ひと混ぜして粗熱を取る。
2 餃子の皮に1の種を小さじ1強のせ、皮の周囲に水をつける。半分に折り、ふちの真ん中をつまんで両端を中央に集めるようにして形を整える。
3 160℃の油できつね色になるまで揚げる。
たけのこのごまチーズ焼きのつくり方
ごまの香りとチーズのコクが、食欲をそそります。あっという間にできる、「もう一品」のときに助かるおかず。
材料(2人分)
● たけのこ(水煮) | 50g |
● すりごま | 20g |
● ピザ用チーズ | 20g |
● しょうゆ | 適量 |
● サラダ油 | 適量 |
つくり方
1 たけのこは幅1cmに切り、サラダ油をひいたフライパンで焼く。
2 焼き色がついたら返し、すりごまをふる。チーズをのせ、ふたをする。チーズが溶けたらしょうゆをたらし、さっと炒める。
こんにゃくのふき味噌あえのつくり方
韓国風のお弁当のなかで、ちょっとほっとする和風味。ふきのとうのほろ苦さを味わって。
材料(2人分)
● こんにゃく | 1/2枚 |
● ふき味噌(*) | 大さじ1 |
つくり方
1 こんにゃくは熱湯でさっとゆでてあく抜きをし、手で食べやすい大きさにちぎる。
2 1をボウルに入れ、ふき味噌とあえる。
*ふき味噌の材料とつくり方
(つくりやすい分量)
鍋にサラダ油大さじ1を熱し、細かくきざんだふきのとう8個分を炒める。しんなりしたら、きび砂糖大さじ1とみりん大さじ2を入れてさらに炒め、味噌50gを加えて、さっと火をとおす。
※ふきのとうが手に入らない場合、味は変わるが、味噌にゆずこしょう小さじ1/6を加え混ぜたものでも。
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〈撮影/神林 環 取材・文/福山雅美〉
夏井景子(なつい・けいこ)
板前の父と料理好きの母の影響で、食べること、つくることに興味をもつ。製菓の専門学校を卒業後、パン屋、カフェなどで働き、東京・原宿にあった「Annoncook」で店長を務めたのち独立。キムチ好きとしても知られ、毎年、主宰するキムチづくりのワークショップが好評。
http://natsuikeiko.com/