(『天然生活』2015年5月号掲載)
実は簡単! 冷めてもおいしい、もち米を使ったおこわ弁当
もち米を使うおこわ、なかなか高いハードルです。「ごはん同盟」のユニット名で活動し、お米に関してはプロフェッショナルの、しらいさんだからこそのお弁当です。
「いや、もち米の扱いは、実はそんなに難しくはないです。皆さんのもち米に関する思い込みを、今回はぜひ打破したい。おこわは、本当に簡単な料理です」と、しらいさんは堂々と言い放ちました。
たしかにレシピを聞けば、もち米を水にひたす時間は3時間程度でOK。なにも、ひと晩つけ置かなくてもよいのだそうです。それが可能なのは、沸騰したゆで汁で、もち米を煮てから蒸すという方法をとっているから。
「とにかくおこわは、お弁当にはもってこい。ちなみに、ごはんが時間をおくとかたくなって味が落ちるのは、でんぷん質が劣化するからなんですが、もち米はそれが遅い。冷めてもおいしいんですね。主食にここまでパンチがあれば、おかずは手軽なもので十分。むしろ、あっさりしていないと、おなかいっぱいになりすぎます」
さらに、冷凍保存が利いて、味があまり落ちないのもいいところ。
「昔から、もち米は神仏の行事に供えられる行事食で、存在自体がありがたい。お弁当に持っていけば、それだけでなんだか、めでたい気分にもなるじゃありませんか」
小豆とベーコンのおこわのつくり方
洋風赤飯と名づけたい、ピンクのおこわ。もち米にたっぷりと、ベーコンのうま味がしみ込んでいます。
材料(おむすび3~4個分)
● もち米 | 1合 |
● 小豆 | 大さじ1 |
● 重曹(食用) | ひとつまみ |
● ベーコン(1cm幅に切る) | 1枚分 |
● 玉ねぎ(みじん切り) | 大さじ2 |
● 菜種油 | 大さじ1弱 |
● 水 | 200mL |
● 塩 | 適量 |
● こしょう | 少々 |
つくり方
1 もち米はさっと洗い、たっぷりの水に3時間以上ひたす。蒸す30分前にざるにあげ、水けをよくきる。
2 小豆を洗って鍋に入れ、水と重曹を加えて火にかける。沸いたら火を弱め、塩少々を加えてさし水を少量ずつしながら15分ほどややかために煮上げる。
3 鍋に油を熱し、ベーコン、玉ねぎ、こしょうを入れて炒め、2の小豆と煮汁100mLを加える(足りなければ水を足して加減する)。沸いたら1のもち米を加え、水けがなくなるまで5分ほど煮る。
4 蒸し器に水でぬらしてかたくしぼった蒸し布(さらし)を置き、3を入れて覆い、強火で15分蒸す。
うどとひじきのきんぴらおこわのつくり方
おこわの王道といえば、しょうゆ味。うどの上品な香りが春らしく、懐かしいおいしさです。
材料(おむすび3~4個分)
● もち米 | 1合 |
● うど | 6cm |
● ひじき | 小さじ1 |
● 菜種油 | 大さじ1 |
● しょうゆ | 大さじ2 |
● 砂糖 | 小さじ2 |
● 酒、みりん | 各大さじ1 |
● 水 | 100mL |
つくり方
1 もち米はさっと洗い、たっぷりの水に3時間以上ひたす。蒸す30分前にざるにあげ、水けをよくきる。
2 うどは皮をむき、せん切りにして酢水(分量外)につけ、水けをきっておく。ひじきは水で15分ほどもどし、水けをきる。
3 フライパンに油を熱し、2を炒める。Aを加え、味をなじませる。水を入れて沸いたら1のもち米を入れ、水けがなくなるまで5分ほど煮る。
4 蒸し器に水でぬらしてかたくしぼった蒸し布(さらし)を置き、3を入れて覆い、強火で15分蒸す。
あさりとそら豆の塩おこわのつくり方
ほっくりしたそら豆と、あさりのだし。もち米そのもののおいしさを味わうなら、こんなシンプルな塩味で。
材料(おむすび3~4個分)
● もち米 | 1合 |
● あさり(砂抜きしたもの) | 100g |
● そら豆 | 2本 |
● 塩 | 小さじ1/3~1/2 |
● 酒 | 大さじ1 |
● 水 | 100mL |
つくり方
1 もち米はさっと洗い、たっぷりの水に3時間以上ひたす。蒸す30分前にざるにあげ、水けをよくきる。
2 そら豆はさやから外し、さっとかためにゆでて薄皮をむく。
3 鍋にあさりとAを入れ、火にかける。口が開いたら火を止め、煮汁とあさりを分け、殻から身を外す。煮汁は100mLになるように水を足す。
4 鍋に煮汁を入れて火にかけ、沸いたら1のもち米を入れ、水けがなくなるまで5分ほど煮る。
5 蒸し器に水でぬらしてかたくしぼった蒸し布(さらし)を置き、4を入れて覆い、強火で蒸す。10分蒸したら、あさりとそら豆をのせ、さらに強火で5分蒸す。
味噌玉のつくり方
ホッとひと息つける、温かな汁もの。これがあるとないとでは、和み度合いが違います。
材料(1人分〈お湯100mLに対して〉)
● 味噌 | 小さじ1~1.5 |
● かつお節粉(または煮干し粉) | 小さじ1 |
● 好みの具(乾燥わかめ、きざみね ぎなど) | 適量 |
つくり方
1 味噌にかつお節粉、好みの具を混ぜて丸め、ラップに包む。
2 食べるときに、カップに1を入れ、お湯を注いで混ぜ合わせる。
菜の花の昆布茶漬けのつくり方
さっとゆでて、あえるだけ。菜の花がないときは、小松菜など手に入る青菜で。
材料(つくりやすい分量)
● 菜の花 | 1束 |
● 昆布茶 | 小さじ1 |
つくり方
1 菜の花は水につけてしゃきっとさせてから、塩少々(分量外)を加えた熱湯で色よくゆで、冷水にとって冷ます。水けをしっかりしぼり、食べやすい長さに切る。
2 ボウルに1を入れ、昆布茶を入れてよく混ぜ合わせる。
にんじんと赤ピーマンのピーナッツバター炒めのつくり方
あっさりおかずのなかに、ちょっぴり強めのものをひとつだけ。ピーナッツバターで、こってりした甘さに仕上げました。
材料(つくりやすい分量)
● にんじん | 1本 |
● 赤ピーマン | 1個 |
● 菜種油 | 大さじ1 |
● 酒 | 大さじ2 |
● ピーナッツバター | 大さじ1 |
● みりん | 大さじ2 |
つくり方
1 にんじんは4cm長さの拍子木切り、赤ピーマンはへたとワタを取り、2cm程度の乱切りにする。
2 フライパンに油を熱し、1を炒める。全体に油がまわったら、酒と砂糖を加え、水分をとばすように炒める。
3 あらかじめ混ぜ合わせたAを仕上げに加え、ひと混ぜして火を止める。
和風ピカタのつくり方
あっさりしたひれ肉に、ふんわり玉子をまとわせて。しょうがをほんのり利かせた和風味です。
材料(2人分)
● 豚ひれ肉 | 200g |
● 薄力粉 | 適量 |
● A | |
・薄口しょうゆ、しょうが(すりおろし) | 各小さじ1 |
・酒 | 大さじ1 |
● 溶き卵 | 1個分 |
● 菜種油 | 大さじ2 |
つくり方
1 ひれ肉は5mm厚さに切り、ビール瓶などで軽くたたく。Aをもみ込んで10分ほどおき、汁けをきってから薄力粉をまぶす。
2 フライパンに油を熱し、溶き卵にくぐらせた1を焼く。両面焼き色がついたら、ふたをして中までしっかり火をとおす。
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〈撮影/神林 環 取材・文/福山雅美〉
しらいのりこ
炊飯系フードユニット「ごはん同盟」キャプテン。都内飲食店のキッチンスタッフとして勤務ののち、ごはんをもっと知るべく、米穀店にて米とぎからおむすび修業までの研鑽を積む。「おかわりは世界を救う」という理念のもと、お米にまつわるイベントや料理教室を数多く開催。
http://www.gohandoumei.com/