• つくって寝かせて、世話をして、時間がおいしくしてくれる「保存食」。25年間、保存食をつくり続けている料理家・飛田和緒さんに、6月が旬の実山椒の塩漬け、しょうゆ漬けのつくり方を教えていただきます。
    (『季節を味わう 保存食手帖』より)

    1年保存可能! さわやかに香る「実山椒」

    実家の山椒の木に実が鈴生りになると、しょうゆ漬け、塩漬けをつくりはじめるのが毎年の恒例です。

    一粒一粒、丁寧に実をはずしていると、何ともいえないさわやかな香りが広がります。

    実山椒の塩漬けのつくり方

    画像: 実山椒の塩漬けのつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● 実山椒100g(正味)
    ● 粗塩10g(実山椒の重さの10%)

    つくり方

     実山椒は小枝からはずしながら水につける(なり口の色が変色しないように)。すべてはずし終えたら、流水の下で水を替えながらよく洗い、水気をきる。

    画像1: つくり方

     鍋にたっぷりの湯を沸かし、実山椒を7~8分ゆでる。

    画像2: つくり方

     指でぎゅっと押すと、つぶれるくらいにやわらかくなったら、ざるに上げて水気をきる。

     水につけて30分ほどおき、アクを抜く。食べてみてえぐみが強ければ、水につける時間を長くする。

     ざるに上げて水気をよくきり、煮沸消毒したビンに入れて、塩を加える。ふたをして軽く振り、冷蔵庫に10日ほど置いて味をなじませる。

    画像3: つくり方

    メモ
    冷蔵庫に10日ほど置いて、味がなじんでからが食べ頃。冷蔵庫で1年ほど保存可。実山椒の緑色をできる限り残したい場合は冷凍保存に。食べるときは水につけて塩を適宜抜いてから使います。

    実山椒の塩漬けでつくる
    湯豆腐

    材料とつくり方(2人分)

    鍋に昆布だし3カップ、さっと水洗いした実山椒大さじ2を入れて火にかけ、煮立ったら食べやすく切った豆腐1丁(300g)を加えて温める。

    画像: 実山椒の塩漬けでつくる 湯豆腐

    ※実山椒の塩気がそのまま調味料になります。

    実山椒のしょうゆ漬けのつくり方

    画像: 実山椒のしょうゆ漬けのつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● 実山椒100g(正味)
    ● しょうゆ約140mL

    つくり方

     実山椒は、「実山椒の塩漬け」の1~4同様に下ごしらえをする。

     ざるに上げて水気をよくきり、煮沸消毒したビンに入れて、しょうゆをひたひたに注ぐ。ふたをして常温に2週間ほど置き、味をなじませる。

    画像4: つくり方

    メモ
    冷暗所に2週間ほど置いて、味がなじんでからが食べ頃。実山椒にしょうゆが完全にかぶる状態で、冷暗所で1年ほど保存できます。

    実山椒のしょうゆ漬けでつくる
    じゃこ山椒

    画像1: 実山椒のしょうゆ漬けでつくる じゃこ山椒

    材料とつくり方(つくりやすい分量)

     ちりめんじゃこ(またはしらす干し)180gは、湯どおしして塩気を抜く。

     鍋に酒1/2カップ、しょうゆ、みりん各40mLを入れて煮立たせてから、実山椒大さじ2~3とちりめんじゃこを加える。そのまま炒りつけて、汁気がなくなったらバットなどに広げてうちわであおぎ、表面をさっと乾かす。

    ※煮沸消毒したビンに詰めて、冷蔵庫で10日ほど保存可。

     

    本記事は『季節を味わう 保存食手帖』(扶桑社)からの抜粋です

    〈撮影/広瀬貴子〉


    画像2: 実山椒のしょうゆ漬けでつくる じゃこ山椒

    飛田和緒(ひだ・かずを)
    1964年、東京生まれ。高校3年間を長野で過ごす。現在は、海辺の街に夫、娘とともに暮らす。祖母の料理から引きついだ東京の味、母や友人によって知った長野の味、自身が暮らす湘南の味、その土地ごとの味と素直に向き合いながら、日々の食卓で楽しめる家庭料理、保存食をつくり続ける。近著に『おとなになってはみたけれど』『くりかえし料理 』(ともに扶桑社)。
    Instagram:@hida_kazuo

    ※ ※ ※

    『季節を味わう 保存食手帖』(扶桑社社)|amazon.co.jp

    『季節を味わう 保存食手帖』
    (飛田和緒・著/扶桑社・刊)

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    書き込める「手帖スタイル 」も健在。年1回しかつくらないものも多いから書き込み欄のメモを充実させて、自分の味を深めていく使い方が好評です。

    「私自身もこの本をとても頼りにしていて、まず本を開いて昨年のメモを読み返したりしながら、素材の入荷状況を確認したり、注文したりして、作業に入ります」(著者)



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