• 栃木県那須烏山市の「七合診療所」所長で小児科医、微生物学者の本間真二郎先生。自身の健康状態を知るには、便のチェックが大切と教えてくれました。色や形、柔らかさなど、確認すべきポイントについてもご紹介します。
    (『天然生活』2021年10月号掲載)

    便を確認することは最も手軽な健康診断

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    皆さんは、毎日自分のウンチを見ていますか? 便は、いまの健康状態をチェックできるバロメーターです。

    みんなが自分の便を見なくなっていることで、自身の体調や食べものによる変化などに気づきにくくなり、生活の改善にもつながらなくなっています。そのことが原因で、現代人の病気が増えているという説もあるほど。

    健康の要となるのが腸内細菌であるということは繰り返しお伝えしていますが、腸内の状態を最もわかりやすい形で見られるのが便なのです。

    便は水分、食物の残りカス、体内で吸収できない食物繊維や腸内細菌の塊でできています。ですから腸内細菌を整えれば、よい便が出るわけです。

    では、よい便とはどんなものか。まず毎日1回は出ること。人によっては1日3回出るという人もいます。規則正しい生活をしていれば、便も毎日大体決まった時間に出るはずです。

    理想はつるんとしたバナナのような便。硬すぎず、軟らかすぎず、太すぎず、細すぎず。また、本当に腸内の状態がよければ、においもそれほどくさくなく、トイレットペーパーで1〜2回ふけば汚れが取れるはずです。

    色については、注意すべきは白と黒、そして明らかに出血がある場合。白は、胆道系統の異常を示すサインの場合が。また、黒は消化管内部で出血している可能性があります。

    このような場合は、病院で診断してもらうとよいでしょう。よく赤ちゃんのウンチが緑色だとあわてる人がいますが、これは心配ありません。

    便秘や下痢の原因は多様なので一概にはいえないのですが、いずれにせよ腸内の状態が正常ではないということです。便秘がちの人は、運動や水分が不足している可能性もあります。

    画像: 便を確認することは最も手軽な健康診断

    また、現代人の便の量は昔の3分の1ともいわれていますが、これは食物繊維の摂取量が圧倒的に足りないから。便を軟らかくする水溶性食物繊維と硬くする不溶性食物繊維の両方をバランスよくとることが大切です。発酵食品をとること、冷たいものをとりすぎないことも同様に意識しましょう。

    まずは毎日、自分の便をチェックするのを習慣にしてください。あまり一喜一憂する必要はありませんが、便秘や下痢が続いたり、理想の便とは違うものが長く続いたりする場合は、食事や普段の生活を見直してみるとよいでしょう。

    便を毎日観察するうちに、少しずつ腸内の状態や体調、日々の生活との関係性もわかってきます。自分の便を確認することは、最も手軽な健康診断なのです。

    〈取材・文/嶌 陽子〉


    画像: 健康状態を知るには便を見るのが一番|本間真二郎先生の病気にならない暮らし方

    本間真二郎(ほんましんじろう)
    小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、大学病院での勤務を経て2009年、栃木県那須烏山市に移住。現在は同市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。著書に『病気にならない自然な暮らし』(マキノ出版)など。2児の父。



    This article is a sponsored article by
    ''.