• 季節の変わり目で、体の内側も外側も水分が失われがちです。栃木県那須烏山市で、地域医療に従事しながら農的生活を実践する「七合診療所」所長・本間真二郎先生に、乾燥とはどういうものかを教えていただきました。
    (『天然生活』2021年11月号掲載)

    乾燥しやすい時季の対策について

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    秋の到来とともに、空気の乾燥も気になってきました。今回は乾燥について、体の内側と外側の両面から考えてみます。

    体の内側に関しては、単に水分が多いか少ないかだけでなく、きちんと循環しているか、ミネラルのバランスがよいかなど、さまざまな側面から見る必要があります。

    水分やミネラルバランスのいずれかが著しく欠けると、体はいわゆる脱水症状を起こします。体内の水分やミネラルは人間が代謝を行うための基盤です。

    これらが不足することによって代謝機能が落ちると、消化吸収、免疫の働き、ダメージの修復など、さまざまな体の働きが低下してしまいます。

    体内を乾燥させないためには、なるべくミネラルが豊富な天日塩を摂り、秋冬の水分摂取はいつもより少し多めにすることを心がけてみてください。尿の色が濃くなると水分が不足しているサインです。

    また、睡眠、運動、食事のバランスを整えて全身の血のめぐりを改善し、新陳代謝を活発にしましょう。

    次は体の外側、つまり皮膚の乾燥についてです。空気が乾燥すると皮膚も乾きやすくなりますが、体の内側と外側はつながっているので、体内の水分が十分でなかったり、巡りが悪かったりしても皮膚は乾燥します。また、エアコンの使いすぎで発汗機能が落ちている人も乾燥肌になりやすいでしょう。

    皮膚が乾燥しているからといって保湿剤を多く塗るのはおすすめできません。なぜなら、皮膚がみずから皮脂をつくり出す力が落ちてしまうから。

    しかし、乾燥しているときが一番かゆくなるということもあり、保湿剤を毎日多く塗ってしまう人が多い。これはある面、自然治癒の働きを阻害していることになります。

    もちろんつらければ、我慢をせずに塗ったほうがいいですが、塗りすぎには気をつけましょう。軟膏やハンドクリームなどの保湿剤を使う場合は、なるべく自然の原料を使ったものを選ぶとよいと思います。

    画像: 乾燥しやすい時季の対策について

    わが家で使っているのは、手づくりのよもぎオイルです。また軟膏には、皮膚の外側に膜をつくるものと皮膚の内側に浸透するものの2種類があります。体への刺激を与えないという観点からは、膜をつくるだけのワセリンなどがおすすめです。

    最近は、新型コロナウイルス感染症の影響で一日に何度も手を洗ったりアルコール消毒をしたりするため、皮膚の水分が失われがちです。上手に対策をして、秋冬を過ごしましょう。

    〈取材・文/嶌 陽子〉


    画像: 体の内と外、両方の乾燥を防ぐには|本間真二郎先生の病気にならない暮らし方

    本間真二郎(ほんましんじろう)
    小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、大学病院での勤務を経て2009年、栃木県那須烏山市に移住。現在は同市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。著書に『病気にならない自然な暮らし』(マキノ出版)、『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』(講談社ビーシー)など。2児の父。



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