• 東京・秋葉原にある、カフェ風精進料理のお店「こまきしょくどう」おかみの藤井小牧さんが、日々の暮らしや食などを綴ります。精進料理のレシピもときどき紹介。今回は、「こまきしょくどう」リニューアル準備期間にしていたあれこれから気付いたことのお話です。

    「こまきしょくどう」リニューアル

    暦は秋ですが、暑い日もありますね。今年も豪雨・長雨で日本各地で多くの被害が出ています。 被害が少なく済むことを切に願います。

    今年はなんだか忙しい!!!!と、嵐のような年を過ごしています。コロナ感染者も急増ということもありオープン8年目を迎える7月に向けお店を休業して、リニューアルの準備をしていました。

    梅雨のしとしととした天候のなか、大工さんや、新しい問屋さん・食器屋さんと、新しい「こまきしょくどう」に向けて打ち合わせを重ねる日々。店構え・料理・器・求人・HPリニューアルなど、やることが満載です。9年前同じことをよくやっていたよ……と40代半ば、なかなか体力が伴わなくなり、たまにフリーズしながらも準備をしていました。

    この時期は、打ち合わせ先が土日休みなもので、私もちゃっかり週末休みにして子どもとの時間を大事に過ごしておりました。

    今年は長女が高校2年。大学準備で志望校の見学をしたり、次女が高校受験ということで、中学・高校へ足を運び、忙しい年であります。

    1年越しの片付け

    週末のスケジュールはすぐ埋まっていきます。なんとか私のやりたいこと、普段なかなかできないことを子ども達のスケジュールの合間に差し込み、充実したひとり時間を過ごしていました。

    引っ越しして1年、手つかずだった押し入れの整理 食器の入った段ボールの1年越しの解体古本の処分などついに重たい腰をあげ片付けていきます。

    みるみる山のように残っていた段ボールが減り、部屋にスペースができ、梅雨の鬱陶しいなかでも気分は晴れ晴れ……。

    土日休みの週休2日なんて何年ぶりだろう! 平日休みの友人しかいないので遊ぶ人もおらず、このような世の中では遠出もできず、片付けにはありがたい週末でした。

    ゆったり買い物をして、自宅でていねいに料理ができることで、わが家の台所が気になってきました。

    久しぶりの自宅での料理で見えたこと

    そもそも、いままで週6日、お店でごはんを食べていましたし、娘も自分で料理をしたい年頃なので、すっかり家のごはんは娘に任せ、私が家の台所に立つことはあまりなくなっていました。

    ある日、大好きな桃をいただき、包丁を取り出すと桃が切れない。

    桃の皮は薄くむくのがむずかしい、そもそも切れない包丁ではあのピンと貼った皮目に刃が入らない。桃の皮にうちの包丁が入らないとは……。忘れていました。娘に料理は教えても、包丁のケアを教えていませんでした。

    軽く研いでもやはり刃が入らない。無理して入れたら実まで余分にむいてしまう。ここは無茶しない方がよさそう……。幸い桃はほかの包丁で皮を剥いたものの、切れない包丁を置いておくのは忍びないので、購入したお店に持っていくことに。

    渋谷にある刃物で有名な「木屋」へメンテナンスをお願いに行きました。

    画像: 久しぶりの自宅での料理で見えたこと

    木屋の誘惑

    天井高く白い店内には台所用品が美しく飾られ、「ああ、わが家もこうしたし……」と、うっとりしながら見てもらう順番を待っていました。

    並べられた調理道具。リズムよく打ち出された鍋はだが美しい鍋。新品の包丁はピカピカしている。せいろなど家に唸るほどあるのにうっかり買いそうに。

    切れない包丁を渡し控えをもらい店からまだ出れないでしばらく眺めていました。

    鍋釡などは一生もの、といいながらも職人さんの未来を考えると消耗品として購入していくことも必要だな。くっつかないフライパンも好きだけど、お手入れして手間をかける台所用品も魅力的です。

    10年前に海外で料理教室をしていたころ、様々な国の鍋釡を買い、家中あふれていました。住宅事情を考えると余程のことがない限り買うこと控えていましたが、また火がつきそうになってきた。あぶない、あぶない。

    後ろ髪引かれる思いで店を出たのでした。

    後片付け、取り扱いまでもが料理の段取り

    帰宅し、娘に包丁の研ぎ方を教え、扱い方を改めて教え直しました。

    毎日の扱い方で刃物の寿命が伸びるし、後片付け、取り扱いまでが料理の段取りです。

    今度は若い子でも扱いやすい包丁研ぎが必要だな。

    その後、包丁が戻ってきて通販番組ではないけれど、柔らかいトマトが真っ直ぐ切れることに感動! 豆腐の断面も美しい! 料理が楽しくなる! ジトジトした季節にスパスパ切れる包丁は台所仕事を捗らせてくれました。

    新しい食材との出会いに包丁を研ぎ澄ませ、ウキウキと待っています。

    画像1: 後片付け、取り扱いまでもが料理の段取り


    画像2: 後片付け、取り扱いまでもが料理の段取り

    藤井小牧(ふじい・こまき)
    東京・秋葉原にある「カフェ風精進料理 こまきしょくどう」店主。臨済宗僧侶であり、精進料理家としても知られる藤井宗哲氏と、精進料理家の藤井まり氏との間に生まれ、幼いころより精進料理とともに育つ。現在はお店に立つかたわら、東京の生産者・加工業者を応援する活動「メイドイン東京の会」にも参加している。著書『こまき食堂』(扶桑社)が発売中。

    ホームページがリニューアルしました。
    こまきしょくどう 鎌倉不識庵
    https://www.kamakura-komaki.com/

    ウェブショップもできました。
    こまきしょくどう商店
    https://gomagomagohan.stores.jp/

    ※ ※ ※

    天然生活の本『こまき食堂』(藤井 小牧・著)

    天然生活の本
    『こまき食堂』(藤井 小牧・著)

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    B5判
    定価:本体 1,400円+税
    ISBN978-4-594-08460-8



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