冬ごもりの準備を開始
みなさんこんにちは。
愛媛で小さな自給自足を楽しんでいる池田じゅんみです。
徐々に風が冷たく変わり、寒さ本番の冬はすぐそこ。
だからこそ、いまから準備を少しずつ。
10月に楽しむ、わが家の手づくり歳時記
冬のための、干し柿づくり
季節は秋。秋といえば柿ですね。都会暮らしの時はあまり干し柿に魅力を感じず食べる機会もなかったのですが、義父の手づくりの干し柿を始めて食べて、そのおいしさにおどろきました。
まるで、上品な「こしあん」みたいな甘さとなめらかさ、そしてほどよく水分が抜けてぎゅっと凝縮したねっとり感。
「こんなにもおいしいものだったのね!」と知ってからは、夫の実家の渋柿を分けてもらい、自分たちでもつくるようになりました。
渋柿を干すだけでこんなに甘くなるなんてすごいなぁ。
軒下に干されている姿もたまらなくて、憧れてた手仕事を毎年できてうれしいかぎり。毎日様子を見ながら、ひとつずつ果実を優しくもみもみ。柔らかくなって、さらにおいしくなります。
干し柿づくりで忘れてはいけない大事なことは、収穫のタイミングです。まだ寒くなりきっていない早い時期だとカビやすいのでそこは、慎重に。
そして、干し柿は、つくりすぎても大丈夫。ひとつずつラップにくるんで冷凍しておけば長期保存ができて、冬の間おいしく味わえます。もちろん、畑仕事のおやつとしても重宝していますよ(自然解凍)。山のお師匠さんに教えてもらった知恵です。
◆おいしい干し柿ができるまで
皮を剥く
▼
巻きつける
▼
補強
▼
熱湯殺菌
▼
干す
▼
できあがり!
正月のおつまみにもなる銀杏
もうひとつ、秋に仕込んでおくのが、銀杏です。
銀杏ってとっても臭いのキツいものだと思っていました。確かに独特のにおいがあるのですが、ひと気のない山に落ちている銀杏は、嫌な臭さがないことにもおどろきました。人に踏まれないからでしょうか。
粒も大きくてとてもおいしいので毎年欠かさずに拾いにいきます。山育ちの義父が子どものころに遊んだ大きなイチョウの木があり、思い出の場所を教えてくれました。
拾った銀杏の果肉部分を近くの川で洗い落とす道具は、古いバーベキュー網を使った夫の手づくり。果肉が皮膚にふれるとかぶれるので、必ずビニール手袋をつけて作業します。
銀杏は多食してはいけないので、ちびちびと数粒ずつ食べていきます。
茶封筒に10粒ほど入れて電子レンジで数秒加熱した後に殻をむいてそのまま食べたり、中華おこわにいれたり、熱々おでんの具材にも。
固い殻から出てくるとは思えない不思議なもっちもち感がとってもおいしい、わが家のおやつの定番です。
◆おいしい中華おこわができるまで
銀杏拾いへ
▼
分別
▼
干す
▼
できあがり!
おまけの話「秋のごま仕事」
ごまを取り出す道具を手づくり
実った鞘をやさしくたたいて、種を取り出す木槌もつくれないかなあと、薪棚をゴソゴソ……。ちょうどよさそうな太さの薪を削ってつくってみました。
これは「横槌(よこづち)」という昔の道具です。種取りはもちろん、藁細工で藁をたたいて柔らかくする道具だったりします。
完成したものはちょっと大きかったのですけど、使いながら調整していけばいいかな。自家採取する私たちの暮らしには横槌があるととても便利で、菜種や小豆や大豆なども効率よく取り出せるようになりました。
収穫して数日、日干ししてカラカラにしておいたゴマの鞘を布巾で包み、横槌でやさしくトントンとたたくと、中の種子がつぶれずに取り出せます。
◆おいしいごまに出合えるまで
種の取り出し
▼
分別
▼
瓶詰め
私がつくっているものって大体どれも、お金で買えば簡単に手に入るもの。「買った方が早いよ」ってよく言われます。ふふふ。
はい、確かにそうなんです。
でも、手間暇が楽しいというか、道草がしたいというか。まずは自分でやってみたいんですよね。自分で手を動かした後にどんな気持ちになるのかなって。この自給自足の暮らしが、移住した目的のひとつでもあるのです。
その材料が近くの山にあり、海にあり、家にあります。自分の暮らしに役立つ食材や道具をつくってみようと思える環境が、私の心と体を動かし続けています。
池田じゅんみ(いけだ・じゅんみ)
山愛好家。愛媛で家族と共に小さな自給自足の日々を送り、その様子をインスタグラムから楽しく発信。