(『天然生活』2013年3月号掲載)
繰り返し食べたい、素朴さと懐かしさ
木製の白いドア、オレンジと白のストライプの屋根など、昔ながらの小さなパン屋さん、といった趣の「朝日屋」。
2~3人も入れば満員になってしまう店内には、なじみ客が絶えません。ご主人の尾関浩二さんが忙しく動きまわる作業場も、コックピットのようにコンパクトなつくり。
「広いと動きまわらにゃいかんから、このくらいの規模が便利でちょうどいいですよ(笑)」
お父さまである先代から、敷島パンの特約店だったお店を受け継いだという尾関さん。近隣にスーパーが増えたこともあり、30年ほど前からサンドイッチ専門店として個性を打ち出すようになりました。
最初は、たまごサンドやカツサンドなどの食事系が中心でしたが、ケースをより華やかにしようとフルーツサンドを始めたところ評判に。
なかでも、イチゴ小倉サンドをはじめとする、あん入りのサンドイッチは名古屋ならではのラインナップです。
「東京の人は、こしあんが好きっていうけど、名古屋っ子はやっぱり、つぶあんだね」と胸を張るご主人。
最近では幼稚園のクリスマス会などで、子どもたちのために腕を振るうこともあるそう。
つくり手の人柄そのもののように、食べると思わず笑みがこぼれる、じんわりと心に染みる味なのです。
朝日屋のフルーツサンド
おいしい法則
1 クリームの甘さは季節ごとに調整
既製品だと甘すぎるので、生クリームはフルーツサンドに合うよう考えた自家製。夏は甘さを控え、冬は心持ち甘さを強めに。
2 フルーツに合わせてパンの種類も替える
マスクメロンサンドとバナナサンドにはキャロットパンを使用。彩りを考えて、黒糖パンや抹茶パンなど数種類を使い分ける。
3 焼きたてよりもねかせたパンを使う
パンは焼きたてではなく、丸一日ねかせたものを使うのがコツ。パンと具の味がほどよく調和し、カット断面も美しく仕上がる。
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フルーツサンド 朝日屋
愛知県名古屋市北区大曽根2-11-5
TEL.052-991-4623
〈撮影/川村 隆 取材・文/野崎 泉〉
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです