(『天然生活』2016年9月号掲載)
忙しいときこそ、こだわりたい。できた瞬間から2日目のカレー
イラストレーターとライター。二足のわらじを履く小池高弘さん。かつては料理人として厨房で働いていた経験もあるそう。
そんな小池さんにカレーについて伺うと、「締め切り前につくる定番カレーがあります」とのこと。ごく普通のカレーのようですが、野菜と肉を別々のフライパンで炒め、スパイスをしっかりからませ、そのフライパンに残ったうま味も残さず鍋に移す……と、手順にこだわり、手間をかけています。
「別名 “できた瞬間から2日目のカレー” です。家のお母さんのカレーの、少し上を目指しています」と笑います。大きい仕事の前には必ず、このカレーを寸胴鍋で仕込んでおき、合間にささっと食べては、また作業に戻るのだとか。
「お昼のことをあれこれ考えるのがおっくうで忙しいときこそ、おいしいものを食べたいんです」
娘さんが食べやすいよう甘めに、妻・奈緒さんの要望に合わせて、じゃがいもは小さく。家族の好みに合わせて改良を続けた自信作です。
完成したカレーを食べながら開いたのは、無類のカレー好きだった安西水丸さんのイラストエッセイ。絵と文の両方で表現していた安西さんは、小池さんの永遠の憧れの人なのだそう。
さて、午後の仕事もはかどりそうです。
小池高弘さん
締め切り前のおうちカレーのつくり方
炒めた具材に辛味と甘味を十分になじませること、コクやうま味をすべてこそげて、鍋に加えること。その手間こそ、おいしさの秘密。
材料(約10皿分)
● 豚バラブロック | 600g |
● 玉ねぎ | 3個 |
● にんじん | 4本 |
● じゃがいも(あれば小さいもの) | 10個 |
● にんにく(すりおろし) | 大1片分 |
● しょうが(すりおろし) | 大1片分 |
● 塩、こしょう | 各適量 |
● 白ワイン | 100mL |
● クミンパウダー、ガラムマサラ、チリパウダー、カレー粉 | 各小さじ1 |
● マンゴーチャツネ、メープルシロップ | 各大さじ1 |
● ローリエ | 3枚 |
● チキンブイヨン | 1個(200mLの湯で溶く) |
● カレールー(フレーク) | 300g |
● ごはん | 適量 |
● らっきょう | 適量 |
● サラダ油 | 適量 |
つくり方
1 豚肉はひと口大に切って塩・こしょうをして手でもむ。玉ねぎ、にんじんは皮をむき小さめの乱切り、じゃがいもは皮をむき半分に切る。
2 フライパンにサラダ油とにんにく、しょうがを入れて弱火にかけ、香りが立ったら玉ねぎ、にんじん、塩ひとつまみを加えて炒める。
3 別のフライパンを熱し、1の豚肉を焼く。余分な脂を捨て、白ワインを加えてフライパンに付いたうま味をこそげ取り、2のフライパンに加える。
4 スパイスを加えて炒め、全体がなじんだら、マンゴーチャツネ、メープルシロップを加えて全体にからめる。
5 4のフライパンに付いたうま味をこそげ取りながら、寸胴鍋に移し、ローリエ、チキンブイヨン、ひたひたの水(分量外)を加え、中火にかける。煮立ったらじゃがいもを加え、やわらかくなったらカレーフレークを加える。とろみが出たら弱火で10分ほど煮る。器にごはんとカレーを盛り、らっきょうを添える。
* * *
〈写真/砂原 文 構成・文/結城 歩〉
小池高弘(こいけ・たかひろ)
出版社勤務、料理人などを経て、イラストレーター、ライターとして独立。自身のホームページ「Table Talk」では、編集者、文筆家の妻・小川奈緒さんとともに、暮らしにまつわる日々の小さな気づきを発信している。今回、紹介してくれた「コロボックル物語シリーズ」は子どものころからの愛読書だそう。
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※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです