(『天然生活』2016年1月号掲載)
30年以上、毎年つくりつづけてきた特製ハム
自然あふれる見晴らしのいい丘の上にある雨宮さんのご自宅は、公私ともに交流のある建築家・中村好文さんの設計によるもの。
キッチンは、開放的な空間であるだけでなく、何をどこに収納するかを決めてからつくられているので、とても機能的。
まさに「自宅工房」と呼ぶのにぴったりの場所です。

ダイニングテーブル兼作業台で仕込みを。白いエプロンをするのがお約束
そんな理想的な環境のなかでハムをつくるのは、雨宮さんの習慣でもあります。
「昔からハムやソーセージなどの燻製をつくるのが大好き。毎年、冬になると豚肉を5㎏以上買ってきて、せっせと仕込むんです。燻製をつくるのが好きな友達、通称『燻友』を呼んで、お互いのつくったものを食べ比べすることもあります。つくり手の性格の違いが味にも出るので、感想をいいあいながら食べるのが面白いんです。味に変化をつけたいときは、妻と相談して、スパイスを入れたり、スモークしなかったりすることも」
いつも来客が絶えない雨宮家では、おもてなし料理としても、ハムが大活躍してくれます。なかには、ハムを食べるのを楽しみに訪れる人もいるそうですよ。
「つくりたては薄くスライスして、ワインやビールのつまみとして。半端に残ったものは、強火でさっとあぶってハムステーキとして食べるのもおいしいですよ」
写真家・雨宮秀也さんの
「ロースハム」のつくり方
一枚ずつ自分で切り分けるのも、自家製ハムの醍醐味です。ぷるぷるとした食感に、さっぱりとした味。脂身の魅力を再発見。

鮮やかなピンク色は新鮮なハムの証。つくりたては、焼かずに、そのまま味わいたい
〈保存方法・期間〉
冷蔵庫で2週間、冷凍庫で2カ月
材料とつくり方(つくりやすい分量)
1 豚ロース肉(なるべく国産のもの)約800gは、包丁で余計な脂肪を取り除く。
2 1に塩適量をすり込み、ラップをして、ひと晩、冷蔵庫に置く。

塩をもみ込み、肉の水分を抜く。雨宮さんは精製されていない粗塩を使用
3 ソミュール液をつくる。小さめの鍋に湯440mLを沸かし、粗塩60g、砂糖30g、黒こしょう、セージ各適量を入れて溶かし混ぜる。
4 水けをふき取った2と、冷ました3をジッパー付き袋に入れて、2日間、冷蔵庫に置く。
5 広げた木綿のさらし30cmに、脂身が下になるように4を置き、肉とさらしの間に空気が入らないよう、たこ糸でしっかりとぐるぐる巻きにする。

すき間ができないよう、しっかりと巻きつける。保存の際は布を付けたままで
6 鍋に5と、たっぷりの水、好みの香味野菜(セロリ、パセリ、長ねぎなど各適量)を入れて、湯温が常に70~80℃になるよう気にしながら約90分、加熱する。

80℃以上になってしまうとタンパク質が分解されてしまうので温度管理の徹底を
7 お好みでスモークする場合は、一斗缶で燻製用のスモークウッドを使い、60分ほど、いぶす。ひと晩、冷蔵庫に置いてからいただく。

スモークすると独特の香りがついて、さらに本格的な味に。時間は好みで調整を
〈撮影/雨宮秀也 取材・文/髙田真莉絵〉

雨宮秀也(あめみや・ひでや)
写真家。建築や家具、器など暮らしに関わるものの撮影を得意とする。撮影を担当された書籍は『花ごよみ365日』(誠文堂新光社 )など多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです