(『天然生活』2016年1月号掲載)
待つ時間が、大豆をさらにおいしくさせる

デコさんのこだわりがたくさん詰まった工房。ワークショップの会場としても利用
千葉にある、ご主人の名前を冠した広大な畑「ブラウンズフィールド」でご家族やスタッフの方々と米や野菜を育てながら暮らす、マクロビオティック料理研究家の中島デコさん。
「私生活でも仕事でも、長い時間、使うここのキッチン。だからこそ自分にとって気持ちのいい場所にしたいという思いもあって、私のこだわりを一から細かく伝えて、つくってもらったんです」

野菜は基本的に常温保存。引き出しには、種類別に野菜がぎっしり収納されている
料理を心地よく、そして効率よくするためにつくり上げられたこの空間で、毎日、多くの台所仕事をしているデコさんが、時間をかけてでも仕込んで食べたいもの。それは納豆です。
「納豆を食べるときに出るパックのごみがかさばるのが嫌で、ずっと気になっていたの。いつか、納豆も手づくりしたいなと思っていたときに、素敵な藁づとをつくってくれる人(※)に出会ったんです。それがきっかけとなり自作に挑戦してみたら、感激しちゃうくらい、おいしくっておいしくって。豆の味がしっかりしているから、これとごはん、それに味噌汁さえあれば、ほかのおかずなんていらないってくらい。発酵食だから、ねばりが少なかったり、味にばらつきがあったりと、毎回、同じに仕上がらないこともありますが、そこも含めて楽しんでいます」
※ 無農薬の藁を買える場所(R工房)
TEL.0470-87-8607
料理家・中島デコさんの
「納豆」のつくり方
大豆のふっくらした食感と、コクのある味を口いっぱいに感じて。大粒の大豆が手に入ったら、ぜひつくってみたい一品です。

自身で育てたお米に納豆をのせれば立派なごちそうに。味噌汁には季節の野菜を入れて
〈保存方法・期間〉
冷蔵庫で4~5日
材料とつくり方(藁づとふたつ分)
1 大豆100gは、洗ってから、たっぷりの水に浸水させる。ひと晩おき、ざるにあげる。

ひと晩、時間をかけて豆にたっぷりの水を吸わせると、ふっくらと仕上がる
2 圧力鍋に水を張る。付属の蒸し目皿などに大豆を入れ、約1時間加圧して蒸す。

加熱むらがないよう、豆は満遍なく広げる。こげないよう水はたっぷりと
3 大豆を蒸している間に、湯を沸かした大きな鍋に藁を入れ、1分程度、ゆがくように熱湯消毒し、ざるにあげておく。
4 1時間たったら、2の圧力鍋のふたに流水をかけて急冷し、ふたを開ける。蒸し上がった豆と藁の切れ端適量を熱いうちにボウルに入れて、全体を素早くかき混ぜる。
5 3の藁に4を入れて包む。

藁の切れ端も一緒に藁づとに入れることで、ねばりが強い納豆ができる
6 5を紙袋に入れて電気毛布で包み、段ボール箱の中に入れる。中の温度が約42℃になるよう設定し、そのままの状態で24時間たったら完成。

紙袋に入れてから電気毛布に包むと、納豆菌の発生にちょうどいい湿度を保てる
〈撮影/川村 隆 取材・文/髙田真莉絵〉

中島デコ(なかじま・でこ)
料理家。ブラウンズフィールド主宰。1999年に千葉県いすみ市に移住し、古民家を改修しながらサスティナブルな暮らしの場をつくりつづけている。2男3女の母。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです