(『天然生活』2020年8月号掲載)
ゼロウェイストってなんですか?
ごみやむだ(ウェイスト)をなるべく出さない暮らしや取り組みのこと。
家族4人でごみを 年間1L以下 しか出さないベア・ジョンソンさんの優雅な暮らしぶりが、世界的に注目され、欧米では実践する人が続出しました。
「日本ではなかなかそこまで減らすのは難しいですが、できる工夫は意外にたくさんありますよ」と服部さん。
ゼロウェイストな暮らしの小さな工夫
服部さんのゼロウェイストを楽しむおすすめのアイデアを紹介します。
工夫 1
外食では使い捨てのおしぼりやストローを断る
手を洗えば済むことなのに、飲食店で必ず出される使い捨ておしぼり。
「辞退して、この慣習をみんなで少しずつ変えていきたいですね」
ストローはガラス製がおすすめ。
「飲み心地がよく、もはや使い捨てストローには戻れません」
工夫 2
外出時は必ずお弁当やおやつを持参
外出先での子どもたちの突発的な空腹は、余計な出費とごみが出てしまう原因に。こうした事態に備え、外出する際は必ず何らかの食糧を持参。
「きちんとしたお弁当でなくて大丈夫。 “白ごはんに梅干しとふりかけ” でも、ないよりマシです」
工夫 3
捨てられる寸前のものをレスキューして活用する
ごみのレスキュー(=救出)は立派なゼロウェイスト。
古い机、竹かご、盆ざる、せいろなど、服部家にはレスキューされたお宝が多数。
「知らないおじいさんが竹製品を燃やそうとしているのを見かけて、譲っていただいたこともあります」
工夫 4
ゼロウェイスト小包を贈り物に
小包は服部さんの得意技。
仕事でもプライベートでも、中古段ボールや古新聞を駆使して極力ゼロウェイストに梱包。メモも段ボール片に書いたり、柑橘や枝物、ヘチマを緩衝材代わりに入れたり。
「小包ってクリエイティブです」
工夫 5
野草を楽しむ。ブレンドして野草茶に
摘み草は消費生活の対極。
「自然の中から価値を取り出す営みにワクワクします」
だれも見向きもしない葛の花、川べりの藤の花、畑のれんげやよもぎ、雑草のようなハハコグサやキランソウなども、乾かして野草茶にブレンドしています。
工夫 6
エコ情報を家族で楽しくキャッチ
せっかくごみを減らすのだから、その背景も知りもっと世界を広げたい。
『わたしのせいじゃない せきにんについて』(岩崎書店)などの、「子どもと一緒に社会を広く見つめなおす本を読んだり、一緒にドキュメンタリー映画を見たり。
工夫 7
服は友人作。お直しもしてもらう
「いわゆる市販の服はあまりしっくりきません」と服部さん。下着以外、お店で買うことはほとんどないそう。
自身は縫い物は苦手なので、友人の柘榴(ざくろ)洋裁店に仕立ててもらい、お直しまで依頼。
「服を着る意味がまったく変わりました」
工夫 8
家でも水筒を利用。野草の香りを味わう
保温タイプの水筒をポット代わりに家でも活用。
「紅茶やコーヒーもいいけれど、野草を一輪入れてお湯を注ぐと、はっとするおいしさ。ほのかな香りが体に染みわたります」
茶こし不要の手軽さ。クロモジの枝が最近のブーム。
工夫 9
竹の歯ブラシ、シルクのフロスをセットで
洗面用具のゼロウェイストは簡単。
せっけん、重曹、お酢のリンス。そして、ナチュラルな竹の歯ブラシ、土に還るシルクのフロス、一生もののステンレスのカミソリ。美観にも優れ、使い心地もいい。
「毎日使うものだからこそ、よいものを」
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〈撮影/河上展儀 取材・文/鳥野 曜〉
服部麻子(はっとり・あさこ)
バークレー、南インド、京都を経て、家族で高知の山のふもとに移住。Asteropeの屋号で野草茶のブレンドを手がける。夫との共著に『サステイナブルに暮らしたい―地球とつながる自由な生き方』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。
インスタグラム:@asterope_tea
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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坂井より子さん、早川ユミさん、服部雄一郎さん・麻子さん、青木美詠子さん、本多さおりさんなど、15人の方々に、自然に寄り添う暮らしの様子を見せていただきました。
共通しているのは、楽しみながら工夫していること。それが、結果的にエコな暮らしにつながっていくような気がします。
自分にも地球もやさしく、心地いい暮らしのヒントを、この本の中に見つけてみてください。
【CONTENTS】
第1章 循環する暮らし/第2章 フードロスを減らす/第3章 お金の使い方を見直す/第4章 掃除・洗濯。道具のお手入れ/ごみを、ごみにしない暮らし方/始めよう、コンポスト生活/プラスチックを減らす生活