はじめまして、ロンドンの料理人・Yuki です。
明けましておめでとうございます。ロンドンで料理家として活動しているYuki です。
バリバリの日本生まれ日本育ちの私は、今年で在英20年目。
本連載では、英国建築家の夫と、現地校に通う6歳児の娘とのイギリス生活の様子や、私のお勧めのアイテム、キッチンスタジオの紹介なども含め、何気ないロンドン生活、フードトレンドや面白いニュースなどとともに、簡単でワクワクするような元気レシピを皆さんとシェアできたらと思います。
今年も、皆さんにとって健康でより素敵な一年を、おいしいごはんと共に送れますように!
ロンドンの1月
私の2023年のキーワードは、心身ともに元気(Genki 、Wellbeing)であること。
ここ数年、イギリスでも浸透している言葉に、「ヴィーガニュアリー(Veganuary)」というものがあります。ヴィーガニュアリーとは、完全菜食主義者のヴィーガンと、1月のJanuaryを掛け合わせた造語で、1月は体にやさしい食事で、健やかに過ごしてみませんか、という意味合いものもの。
ロンドンでは、もっとも華やかでパーティー三昧の12月、クリスマスターキーにクリスマスケーキ、さらに大晦日の夜は街中が花火とシャンペンを開ける音と共にピークに達し、その後は、心地いい静けさとともに元旦の朝が訪れます。
と同時に、国内は、心身ともにデットクスモードに早変わり。
街中にも毎年恒例のヴィーガニュアリー(Veganuary)や禁酒(Dry January)などの言葉が並び、心身共にヘルシーな日々のスタートをきります。
わが家でも、年末年始のビッグイベント、Christmas & New Year ’s Party Season が無事終わり、穏やかな1月に。ヴィーガニュアリーな日々を過ごしています。
……ただ、1カ月間ヴィーガン食となると、何かとレシピにも息詰まるはず。
とくに2週間を過ぎると、サラダばかりの生活に、物足りなくなったり、メンタル的にも辛くなったりするのは当たり前。そんなときこそ、しっかりとだしや旨みの効いたホッとするような温かいスープで、心身共に温まってみることをおすすめします。
1月にいただく、わが家のヘルシーメニューはこれ!
今回のレシピは、「私の定番レシピのベスト10」に絶対に入るクリーミーで満足感たっぷりのすいとんレシピ。絹ごし豆腐からスープをつくります。
わが娘は「ジャパニーズ ニョッキ」と呼ぶ!
すいとんは、小麦粉を使っても、そば粉を使ってもよし。
私は、日ごろからグルテンフリーの生活を心がけていることと信州に近い八ヶ岳地方で育ったこともあり、大好きなおそばの素・そば粉を使っています。
そば粉はとてもおすすめです。スープは絹豆腐をブレンダーで撹拌することで、とってもクリーミーな豆乳に大変化。日本ではリッチな無調整&無糖豆乳が手に入ると思いますので、それを使ってもオッケーです。
1月9日に「ヤクルト」さんとコラボレーション企画で、イギリスの一人暮らしご高齢者を対象にした「ウェルビーン オンライン クッキング クラス」を開催しました。すいとんはイギリスの方にも大好評で、みなさんもとても上手につくってくださいました。
こうして、世界中で身体に優しい心温まるレシピを紹介できるのは幸せだなーとつくづく思います。
Yuki流「クリーミー豆腐のすいとん」
私はシンプルでクラッシックな乾燥しいたけと昆布からしっかりだしを取ります。水に対して乾燥しいたけと昆布をそれぞれ1%の割合で取ると、旨みたっぷりのおいしいだし汁がつくれます。(たとえば水1Lに対して乾燥しいたけ・昆布各10g)。
今回は、撹拌した豆腐と水を200mL加えますので、少し濃いめのしっかりしただし汁を水800mLでつくってみます。
もちろん市販のだしでもかまいません。商品によって味わいや、コクが異なりますので、表記に従って使用してください。
材料は余った野菜でも、十分つくれるはずです。
仕上げはお好きな味噌で味を整えてください。私は自家製を「ロンドン味噌」と称して、いつも手前味噌を使います。
材料 (4人分)
<すいとん> | |
・小麦粉もしくはそば粉 | 100g |
・片栗粉もしくはコーンスターチ | 30g |
・塩 | ひとつまみ |
・熱湯 | 80〜90mL |
<だし汁> | |
・乾燥しいたけ | 10g(3枚程度) |
・昆布 | 10g(5cm長さ) |
・水 | 800mL |
● しめじ | 100g |
● にんじん | 1/2本(50g) |
● 大根 | 50g |
● 長ねぎ(白い部分) | 100g |
● A | |
・絹ごし豆腐 | 150g |
・水 | 50mL |
※無調整の豆乳200mLで代用可 | |
● 酒 | 大さじ1 |
● みりん | 大さじ1/2 |
● 好みの味噌 | 大さじ2〜3 |
※味噌によって味の濃さが変わりますので、調整してください | |
<トッピング> | |
七味とうがらし、長ねぎの青い部分(小口切り)、しょうが(すりおろし)など | 好みで |
下準備
鍋に水を入れ、乾燥しいたけと昆布を、最低30分から一晩つけておく。
つくり方
1 だしをとる。下準備した鍋からしいたけを取り出し、ゆっくり時間をかけて中火弱にかけ、沸騰直前に火を止め、昆布を取り出す。取り出したしいたけは、あとで使うので石づきを切り落とし、薄切りにする。
2 すいとんをつくる。ボウルに小麦粉 もしくはそば粉と片栗粉、塩ひとつまみを入れ、箸で軽く混ぜ、熱湯を加え、さらに混ぜ合わせる。手で触れる程度まで温度が下がったら、2分ほど手でこねて、生地はラップに包んで15分ほど常温で寝かせる。
3 野菜の準備。しめじは石づきを切り落として、手でほぐす。にんじんと大根は皮をむいて、薄くいちょう切り。長ねぎは薄めの斜め切りにする。
4 スープづくりと仕上げ。1のだし汁が入った鍋を火にかけ沸騰したら1のしいたけと3を加え、弱火で5分ほど煮る。そこに2の生地をスプーンで削ぎ取るように鍋の中に入れていく。鍋の中に入れるとすいとんが大きくなるので、小さめにつくるとが食べやすく味も染み込みむ。さらに5〜10分程煮る。すいとんが浮いてきたら、ゆで上がりの合図。
5 豆腐と水をハンドブレンダーやミキサーなどで撹拌する。
6 4に5と酒、みりんを加えてひと煮立ちさせたら火を止め、味噌を少しづつ加え混ぜる。
7 器に盛り、好みで青ねぎ、七味とうがらし、おろししょうがをのせて出来上がり。
Yuki Gomi(ごみ・ゆき)
料理家、料理講師、フードライター。日本生まれ日本育ち。2004年に渡英し、現在は建築家の英国人夫と一児の母としてイギリス・ロンドン在住。コルドン・ブルー 全科終了後、プライベートシェフからシカゴ、イギリスで日本食を広め、ヨーロッパ、中東などでも活躍。現在は「Yuki’s kitchen 料理教室」オーナー、イギリスの料理学校でのゲストシェフや現地の料理雑誌や新聞、ラジオやテレビにて活動中。元気が出る、ワクワクするようなレシピ。和食の旨みや現地の素材を活かした季節感のある食生活を、世界中のどこからでも可能にしたいのが夢。著書に『Sushi at Home』(ペンギン出版)あり。
HP:www.yukiskitchen.com
Instagram:@yukiskitchen
* * *
『Sushi at Home: The Beginner's Guide to Perfect, Simple Sushi[English Edition/kindle版]』(Yuki Gomi・著/ペンギン出版)