• 家じゅうの酸性汚れに使える基本の洗剤「重曹」の効果的な使い方を、ナチュラルクリーニング講師の本橋ひろえさんに教わります。決まったアイテムだけで手軽に掃除ができるナチュラル掃除。洗剤の管理や掃除の手間を減らして暮らしをすっきりさせてくれます。
    (『天然生活』2022年1月号掲載)

    油汚れに、研磨剤として
    重曹

    画像: 油汚れに、研磨剤として 重曹

    家じゅうの酸性汚れに使える基本の洗剤。軽い酸性汚れは1%の重曹水でふき取り、二度ぶき不要。粉のままクレンザーとしても使う。クエン酸と合わせて発泡させるとこびりつき落としにも。

    使用上の注意

    漆器やプラスチックなどに粉のまま使用するのは、傷の原因になるのでNG。畳やアルミ製品に重曹水を使うと変色することも。

    基本の重曹水のつくり方

    画像: 40℃のお湯 2L + 重曹 小さじ5

    40℃のお湯 2L + 重曹 小さじ5

    40℃のお湯で重曹を溶かした1%の重曹水が基本。目安はお湯2Lに対して重曹小さじ5、お湯200mLに対して重曹小さじ1/2。クロス(雑巾)を使う場合は、使う枚数をまとめてしぼっておくと都度洗う手間が省けて便利。重曹水は傷みが早いのでバケツや洗面器などでつくり、その日のうちに使い切る。

    アイテム別「掃除と除菌」
    重曹の使い方

    ナチュラル掃除の基本となる4つの洗剤のうち、「重曹」について、どんな汚れに使えばいいのかを紹介します。

    キッチンの壁、換気扇フード

    ※基本の重曹水でしぼったクロス(重曹水クロス)を使う。

     ガスコンロをふくついでに、重曹水クロスでコンロ周りの壁や換気扇フードをふく。キッチンの床も、別の重曹水クロスで同様に。

     汚れがひどいときは、の重曹水に厚手のキッチンペーパーを浸して固くしぼり、汚れのひどい部分に貼り付けてパックする。

    画像: 重曹水を浸したペーパーでパックして汚れをゆるめる

    重曹水を浸したペーパーでパックして汚れをゆるめる

     5分ほどしたらペーパーをはがして、別のキッチンペーパーを重曹水に浸してしぼり、ふき取る。

    ガスコンロ(IHコンロ)

    ※基本の重曹水でしぼったクロス(重曹水クロス)を使う。

     五徳を外したコンロを重曹水クロスでふく。

     外した五徳は残った基本の重曹水で洗うか、食洗機に入れる。頑固な汚れの場合は、過炭酸ナトリウムで煮洗い、または基本の過炭酸ナトリウム水でつけおきする。

    [IHコンロの場合]

    説明書を確認して、アルカリ性洗剤が使える場合は基本の重曹水に浸したキッチンペーパーを貼り付け、5分おく。ペーパーをはがして乾いた布でふき取る。汚れが残っているときは、重曹の粉を直接ふりかけて、スポンジでこすり洗いする。

    電子レンジ

    ※基本の重曹水でしぼったクロス(重曹水クロス)を使う。

     重曹水クロスを軽くしぼってたたみ、電子レンジで1分加熱し、2~3分おく。

     庫内に蒸気が充満しているうちに、のクロスでレンジ内をふき取る。

    画像: 重曹水でしぼったクロスを加熱して蒸気で汚れを浮かせてふき取る

    重曹水でしぼったクロスを加熱して蒸気で汚れを浮かせてふき取る

     こびりついた汚れはメラミンスポンジでこすり取る。

    シンク

    シンク内に重曹の粉をボトルから直接振りかけ、クレンザー代わりに。メッシュクロスなどで磨き、洗い流す。蛇口の水アカはクエン酸で落とす。

    ※シンクを使ったあと、最後にクロスで水滴をふき取るのを習慣にすると、水アカ予防に。

    排水パイプ

     重曹1/2カップを排水口全体に振りかける。

     鍋に水2Lとクエン酸大さじ2を入れて沸騰させる。

     を熱いうちに排水口に一気に注ぐ。

    画像: 重曹×クエン酸×お湯で、ブクブクと発泡した泡が汚れを包み込む

    重曹×クエン酸×お湯で、ブクブクと発泡した泡が汚れを包み込む

     泡が落ち着いたら仕上げに水を流す。

    バスタブ・風呂床

     濡らしたメッシュクロスに重曹を粉のまま振りかけて、バスタブ内をこすり、水で洗い流す。重曹は多めに振りかけてOK。

     バスタブと壁の境目は、重曹を粉のまま振りかけて、細めのブラシでこする。

    ※お湯を抜いた直後であれば、メッシュクロスでこするだけでもOK。

    洗面器・お風呂の椅子

    濡らしたメッシュクロスに重曹を粉のまま振りかけ、ヌメヌメした汚れをこすって洗い流す。風呂釜を掃除するときに一緒に洗っても。

    ※ザラザラした水アカ、石鹸カスにはクエン酸を使用。

    リビングの床(フローリング)

    ※基本の重曹水でしぼったクロス(重曹水クロス)を使う。

     床ふき用の重曹水クロスを複数用意し、床をふく。

     クロスが汚れたら新しいクロスに取り替えてふく。汚れたクロスは最後にまとめてバケツの重曹水ですすぎ、洗濯機で洗う。

    掃除道具のこと

    画像: 掃除道具のこと

    掃除の手間を減らすには、洗剤だけではなく、道具選びも重要。

    「風呂掃除は乾きやすく雑菌が繁殖しにくい薄手のメッシュクロス、ふき掃除は乾きやすく目の細かいマイクロファイバークロス、ほこりにはハンディワイパーがおすすめです」

    保存容器のこと

    画像: 保存容器のこと

    「重曹やクエン酸など粉状のものは、はちみつ用ボトルが少量を出せて計量をしやすいので便利」

    過炭酸ナトリウムはガスを発生するので、ボトルに入れる場合はひと月に1度はふたを開けること。スプレーボトルはアルコール使用可能か確認して

    洗剤のいらない掃除

    画像: 洗剤のいらない掃除

    ほこりや砂など水分のない汚れはあえて洗剤を使わなくてもOK。

    「リビングのほこりはハンディワイパーで、玄関の砂ぼこりはほうきで掃けば十分汚れを落とせます。砂などの掃除に掃除機を使う場合は、そのあとの掃除が楽なので紙パック式がおすすめです。しつこい汚れが固まったら、その汚れに合わせた洗剤を使ってみてください」

    できるだけ掃除をシンプルにすることも小さな暮らしの知恵です。

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    〈監修/本橋ひろえ 取材・文/工藤千秋 イラスト/カトウミナエ〉

    本橋ひろえ(もとはし・ひろえ)
    理系出身の知識を生かした科学的な解説を主婦目線で行う「ナチュラルクリーニング講座」が人気。著書に『ナチュラルおそうじ大全』(主婦の友社)など。
    ブログ:安心♪ 安全♪ ラクチン♪ Natural Cleaning

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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