(『天然生活』2022年1月号掲載)
水アカ、石けんカスに
クエン酸
水アカ、石けんカスなどのアルカリ性の汚れを落とす。アンモニア臭・焼き魚・タバコなど、アルカリ性の強いにおいのもとになっている汚れを落とすのにも使える。
使用上の注意
錆びの原因になるため、すすぎはしっかりと。有毒な塩素ガスが発生するので、塩素系洗剤とは混ぜないこと。天然石には使用不可。
基本のクエン酸水のつくり方
水200mLにクエン酸小さじ1/2を入れて混ぜ、スプレーボトルに入れて使う。2~3週間で使い切る。
アイテム別「掃除と除菌」
クエン酸の使い方
ナチュラル掃除の基本となる4つの洗剤のうち、「クエン酸」について、どんな汚れに使えばいいのかを紹介します。
鏡、蛇口、洗面器やお風呂の椅子など
1 対象物に基本のクエン酸水をスプレーし、メッシュクロスで水アカをこすり落とし、洗い流す。最後に乾いた布でからぶきする。
2 水アカがひどいときは、クエン酸水パックを。鏡や蛇口などに基本のクエン酸水をスプレーし、キッチンペーパーを貼り付け、さらにクエン酸水をスプレーして10分おく。
3 ペーパーをはがし、汚れがひどい場合はメッシュクロスでこする。クロスなどで水ぶきし、さらにからぶきする。
※金属部分にクエン酸が残ると錆びの原因になるのでしっかりふき取る。
※鏡の場合、3で汚れが落ちないときは、メラミンスポンジでこするか、紙やすりを巻きつけたヘラでこする。ただし、曇り止めなど特殊加工がされているものは、NG。
※掃除の目安は週1回。
トイレのにおい・尿石
1 便器内を掃除してもにおうときは、壁や床の尿ハネが原因。基本のクエン酸水を壁や床にスプレーして、乾いた布でふき取る。
2 頑固な床や壁の汚れや便器の内側のふちについた尿石は、基本のクエン酸水をスプレーしてトイレットペーパーを貼り付ける。
3 その上から、もう一度基本のクエン酸水をスプレーしてパック。5~10分おく。
4 ペーパーをはがし、床や壁は乾いた布でふき取る。トイレ内の尿石はメラミンスポンジでこすり洗いする。
頑固な汚れとカビ対策に
過炭酸ナトリウム
酸性の汚れを落とす力が強く、除菌、漂白、ギトギトの油汚れにも効果があり、食器やふきん、調理具の漂白に。発泡力を利用して、排水口や洗濯槽の掃除にも使える。
使用上の注意
アルカリ性が強いので、使用時はゴム手袋などを使い、目に入ったらすぐに洗い流す。重曹同様、畳やアルミ製品に使うと変色することも。
基本の過炭酸ナトリウム水のつくり方
60℃のお湯2Lに対して、過炭酸ナトリウム小さじ1を入れる。給湯器で60℃のお湯が出せる場合はそれを使うと簡単。つくったらすぐ使う。水筒の除菌、漂白、茶碗の茶しぶ落とし、ほ乳びんの殺菌などにも使える。
※水筒の除菌をする際は、塗装がはがれる場合があるので、つけおきはせず、中に過炭酸ナトリウム水を注ぐこと
アイテム別「掃除と除菌」
過炭酸ナトリウムの使い方
ナチュラル掃除の基本となる4つの洗剤のうち、「過炭酸ナトリウム」について、どんな汚れに使えばいいのかを紹介します。
換気扇フィルター
1 ポリ袋などを敷いて排水口をせき止め、60℃のお湯をシンクにためる。
2 過炭酸ナトリウム小さじ3(ためるお湯の量によって調整)を入れる。換気扇フィルターを入れ、お湯が冷めるまでつけおく。
3 ポリ袋を外してお湯を流す。フィルターに重曹を粉のまま適量振りかけ、小さめのブラシでこすり洗いする。水で流して乾かす。
※掃除の目安は2カ月に1度。
排水口
1 排水口のごみ受けや排水トラップ(帽子のようなカバー)を外し、マグカップのふたに使うシリコンのカップカバーで排水口をふさぐ。
2 過炭素ナトリウム小さじ1~2を入れる。
3 排水口から少しあふれるくらいまで熱湯を入れ、ゴミ受けと排水トラップを戻してつけおきする。
4 ひと晩そのままおき、翌朝、カップカバーを外して排水する。
※掃除の目安は週1回。
ふきんの除菌
1 鍋(アルミ素材はNG)に水を入れ、ふきんを入れる。
2 過炭酸ナトリウム小さじ1を入れ、火にかける。
3 過炭酸ナトリウムは温度が高すぎると漂白効果が落ちるので、沸騰直前に火を止める。そのままお湯が冷めるまで放置。水ですすぎ乾かす(洗濯機で脱水だけするのがおすすめ)。
※除菌の目安は週1回。毎日のふきん洗いは洗濯ものと一緒に洗濯機でも。
洗濯槽
1 洗濯機の満水まで60℃のお湯を張る(お湯が出ない水栓の場合はバケツなどでお湯を入れる)。過炭酸ナトリウムを2カップ入れる。
2 1~2分洗濯機を回す。浮いてきた汚れを網などですくい、汚れが出なくなるまで繰り返す。
3 汚れが浮かなくなったら5時間ほど放置。
4 クエン酸を柔軟剤ポケットに小さじ1入れ、洗濯コースで運転し、石けんカスを落とす。
風呂釜
1 バスタブの循環口の穴の上まで水を張る。浴槽小物も一緒に入れる。
2 過炭酸ナトリウム2カップを入れ、追い焚きボタンを押して水を循環させる。そのまま2~3時間放置。
3 もう一度追い焚きをして、一度排水する。さらにもう一度水を循環口の穴の上までため、追い焚きをして、流す。
※水アカが気になる場合はキッチンペーパーでクエン酸水パックをする。
タイルや目地の黒カビ
1 黒カビに重曹の粉を振りかけ、ブラシでこすり落とし流す。
2 洗面器に40℃のお湯200mL、過炭酸ナトリウム小さじ1を入れ、キッチンペーパーを浸す。
3 1に2をパックし、1時間おいたら、ペーパーをはがして洗い流す。
※黒ずみが消えない場合は塩素系漂白剤(ジェルタイプ)を使う。
便器内
1 便器の輪染みには、寝る前、便器に過炭酸ナトリウム大さじ1を入れる。
2 輪染みを覆うようにトイレットペーパーを入れて2時間以上パック。朝、ペーパーごと流す。
掃除道具のこと
掃除の手間を減らすには、洗剤だけではなく、道具選びも重要。
「風呂掃除は乾きやすく雑菌が繁殖しにくい薄手のメッシュクロス、ふき掃除は乾きやすく目の細かいマイクロファイバークロス、ほこりにはハンディワイパーがおすすめです」
保存容器のこと
「重曹やクエン酸など粉状のものは、はちみつ用ボトルが少量を出せて計量をしやすいので便利」
過炭酸ナトリウムはガスを発生するので、ボトルに入れる場合はひと月に1度はふたを開けること。スプレーボトルはアルコール使用可能か確認して
洗剤のいらない掃除
ほこりや砂など水分のない汚れはあえて洗剤を使わなくてもOK。
「リビングのほこりはハンディワイパーで、玄関の砂ぼこりはほうきで掃けば十分汚れを落とせます。砂などの掃除に掃除機を使う場合は、そのあとの掃除が楽なので紙パック式がおすすめです。しつこい汚れが固まったら、その汚れに合わせた洗剤を使ってみてください」
できるだけ掃除をシンプルにすることも小さな暮らしの知恵です。
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〈監修/本橋ひろえ 取材・文/工藤千秋 イラスト/カトウミナエ〉
本橋ひろえ(もとはし・ひろえ)
理系出身の知識を生かした科学的な解説を主婦目線で行う「ナチュラルクリーニング講座」が人気。著書に『ナチュラルおそうじ大全』(主婦の友社)など。
ブログ:安心♪ 安全♪ ラクチン♪ Natural Cleaning
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです