• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、3月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる発酵食品が注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、「玉ねぎ麹」です。

    玉ねぎの薬膳的効能ついて

    玉ねぎは気のめぐり、とくに胃の気のめぐりをよくするため、中国では食欲不振や胃もたれ、下痢を改善する胃薬のような存在として利用されてきました。

    ため息やげっぷ、しゃっくり、吐き気、胸や脇の腫れ、おなかのはりなど、胃の気の滞りが悪くなることで生じる症状にもよいとされます。

    また、体を温めたり、血液をさらさらにして血行を促進したり、解毒・殺菌作用もあるとされます。

    気をめぐらす働きは、加熱するより生でいただくほうが強いといわれますが、加熱すると温める作用が高まります。

    【発酵料理】玉ねぎ麹のつくり方

    画像: 【発酵料理】玉ねぎ麹のつくり方

    いろいろな野菜に塩と米麹を加えて発酵させる野菜麹。よくつくっては試しているのですが、なかでもおすすめなのが玉ねぎ麹です。

    塩麹の材料に玉ねぎをプラスして発酵させるだけで、まさに和風コンソメの味。

    だしやスープのもとなどがなくても、ちょっと加えるだけで甘味やうま味が格段にアップします。クセがなくいろいろな料理に使えるので、とにかく便利。ポトフなどのスープはもちろん、カレーや煮もの、ドレッシング、グリルしたお肉のソースなどに使える万能調味料です。

    玉ねぎは辛みが強いため、辛みが少なく水分が多い新玉ねぎでつくるのがおすすめですが、玉ねぎでつくるときのポイントもお伝えしますのでご安心を。

    材料(つくりやすい分量)

    ●新玉ねぎ300g
    ●米麴(生)100g
    ●塩30g

    つくり方

     玉ねぎは皮をむいて、すりおろす。

    画像: 芯を取ったりカットしたりせず、丸ごとすりおろすとやりやすい

    芯を取ったりカットしたりせず、丸ごとすりおろすとやりやすい

     煮沸消毒した保存容器に、米麹と塩を入れてよく混ぜる。

     の玉ねぎを加えてよく混ぜる。

    画像: 新玉ねぎは水分が多いので、水を加える必要はありません。玉ねぎや乾燥麹を使うときは、イラストのように材料が少しかぶるくらいの水を加えて

    新玉ねぎは水分が多いので、水を加える必要はありません。玉ねぎや乾燥麹を使うときは、イラストのように材料が少しかぶるくらいの水を加えて   

     直射日光の当たらない常温の場所に置き、 1日1回スプーンで底からかき混ぜる。

    画像: 置く期間は、春と夏は2~5日、秋と冬は1週間前後が目安

    置く期間は、春と夏は2~5日、秋と冬は1週間前後が目安

     玉ねぎの辛味が甘い香りに変わり、薄いピンク色に変化したらでき上がり。

    ※冷蔵庫で約1カ月保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。



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