• 手を動かすと自然と心が落ち着く、ということはありませんか? どんな小さなものでも、でき上がったときの喜びはひとしお。ささやかだけどうれしい、料理家・星谷菜々さんの手づくりをご紹介します。
    (『天然生活』2020年11月号掲載)

    暮らしの安らぎに祈りを込めて

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    サシェづくりや刺しゅうがブームで最近よくつくっています。サシェはお菓子をつくるために購入したラベンダーがたくさんあり、香りがよいのでクローゼットに入れたりハンガーにかけたりしたらいいなと思い、つくり始めました。

    画像: ラベンダーのよい香りが広がるサシェ。長いリボンのものはアトリエに吊るして。「もともとお菓子用にと購入したら手違いで1kgと大量に届いてしまって。そんな失敗から生まれたものなのです」

    ラベンダーのよい香りが広がるサシェ。長いリボンのものはアトリエに吊るして。「もともとお菓子用にと購入したら手違いで1kgと大量に届いてしまって。そんな失敗から生まれたものなのです」

    布やリボンなど、素材の多くは海外アンティークのものを使用。貴重なものなので引き出しにしまっていたのですが、こうして活用するほうが素材も喜んでいるような気がします。形は魚やリボン、お菓子のカリソン型など。リボンやチャームを付けたり、ちょこっと刺しゅうをしたり。小さいうえに手縫いなので気分転換にとりかかれるのがよいところです。

    刺しゅうは、以前アトリエのオリジナルグッズとしてつくったエコバッグに。クリスマスローズの絵はアーティスト・イザベルボワノさんによるもので、いつかこれに刺しゅうを施せたら素敵だなと思っていました。

    画像: 刺しゅうはすべて独学。「すべて刺すのではなく、ところどころイラストの線を残すなどして、自由に楽しんでいます」。刺し途中のものは、つやのない刺しゅう糸「花糸」で素朴な雰囲気に仕上げている

    刺しゅうはすべて独学。「すべて刺すのではなく、ところどころイラストの線を残すなどして、自由に楽しんでいます」。刺し途中のものは、つやのない刺しゅう糸「花糸」で素朴な雰囲気に仕上げている

    自粛期間で時間があったとき、ようやくそれがかなって、ひとつ目は、アクセントに少しだけ……と思っていたのに、刺し始めたら楽しくて止まらなくなってしまい、いまはふたつ目に着手しています。お菓子をつくるときは純粋に“おいしくなりますように”と手を動かしますが、針と糸を手にするときは、暮らしの安らぎに祈りを込めています。



    〈撮影/山田耕司 取材・文/結城 歩〉

    星谷菜々(ほしや・なな)
    料理家。独自の世界観とつくりやすいレシピにファンが多い。東京都内のアトリエ「apron room」にてお菓子教室を主宰している。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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