• 栃木に暮らす医師・本間真二郎先生は、「自然に沿った暮らし方が、すべての病気を遠ざける」という考えの自然派医師です。そんな本間先生の、春夏秋冬の食卓と手仕事について教えていただきました。
    (『病気を遠ざける暮らし方』より)

    季節の訪れは「二十四節気」を意識し

    耳なじみがない方もいるかもしれませんが、日本の暦の歴史には、「二十四節気」という生活暦があり、現代でも、立春、春分、夏至など、季節を表す言葉として用いられています。

    たとえば、「大寒」「春分」「穀雨」などという言葉は聞いたことがあると思います。四季よりもこまかく季節の天候や生きものなどの自然現象を短い言葉で表しています。

    季節の訪れを一歩先んじて察知することができ、農作業の計画を立てたり、自分の体調と季節の移り変わりの変化を確かめたりするのに、わが家でも意識しています。

    ここでは、わが家の食事を「春夏秋冬」の季節の流れのなかで紹介していきます。

    画像: 季節の訪れは「二十四節気」を意識し

    春〈麴づくりや、みそ、しょうゆを仕込み、山菜を楽しむ〉

    手紙などのあいさつ文にも、「立春とは名ばかりでまだまだ寒い日が続きますが……」などと表現しますが、2月4日頃の立春あたりから春を意識します。

    わが家は農作業のない時期に麴や発酵食品、保存食をつくるので、この頃は麴づくりからはじめ、みそやしょうゆ、塩みりん風調味料などの仕込みをしています。

    山に、ふきのとうが出はじめたら、ふきみそを仕込みます。冬にたまった老廃物を排出するために、自然と山菜などから苦味を欲する時期です。山椒の葉を摘んだり、野草を料理に取り入れたり、よもぎの新芽を天ぷらや草餅にして春の味を楽しみます。たけのこもこの時期ですね。手づくりのメンマも保存食にぴったりです。

    オオイヌノフグリという小さな青い花が咲きはじめたら、気持ちも春めきます。

    都会のレストランなどでは早くから「春野菜」が出まわりますが、実際には、路地ではまだまだ育ちません。

    画像: 春〈麴づくりや、みそ、しょうゆを仕込み、山菜を楽しむ〉

    夏〈田植えの季節、梅仕事、そして夏野菜〉

    5月のゴールデンウイークをすぎたあたりから、暦では夏です。畑では路地ものの青菜が食べられる時期です。田植えが始まり、周囲はカエルの大合唱です。

    いちごやブルーベリーなどのベリー類、果物が出まわってきます。わが家は子どもが大好きな夏のかき氷のために、シロップやジャムを仕込みます。

    にんにくの収穫を前に、にんにくの芽のしょうゆ漬けをつくったり、パクチーやバジル、しそ、ハーブ類などの香味野菜で、薬味がわりのたれを仕込んだり、みそと合わせて「ごはんのおとも」をつくったりします。

    画像: 夏〈田植えの季節、梅仕事、そして夏野菜〉

    一般に雑草といわれる草も元気に伸び、とれる野菜も増え、畑や庭もにぎやかになります。

    梅仕事は、毎年の恒例行事です。梅干しや梅ジュースを仕込みます。びわの木にも実がなります。

    梅雨の時期になるので、からだは水分をためやすく、なんとなく重だるい症状が出たり、寒暖差から夏風邪もはやる時期なので、体調を崩しやすかったりするのもこの時期です。

    そこで、この頃にはあえて玄米のお粥など、胃腸の負担を解消してくれるものをとって、本格的な夏に向けて体調を整えます。

    セミの鳴き声が聞こえるようになると、本格的な夏を感じます。夏はさっぱりとしたものが食べたくなりますので、収穫した野菜でピクルスや、ぬか漬けなども仕込みます。

    冷汁など、火を使わない料理や、麺類も多くなります。

    1年を通して保存できるじゃがいもや玉ねぎも、この時期に収穫できます。これらに続いて、トマト、なす、きゅうり、ピーマンなどの夏野菜がたくさんとれます。食べきれない分は塩漬けやトマトソースにします。

    秋〈稲刈りと収穫〉

    立秋は8月7日頃なので、まだまだ夏野菜が豊富な時期ですが、この頃から秋を意識します。果物は、りんごや、ぶどうがなり、栗などの木の実も実ります。

    畑では、さつまいもや里いもなど、秋の味覚と収穫の楽しみをたくさん味わえる楽しい季節です。

    私が住む土地には、ゆずの木がたくさんありますので、ゆずを使った保存食(ジュース、はちみつ漬け、ポン酢など)を仕込んでいます。また、一大イベントである稲刈りも始まりますので、大忙しの時期でもあります。

    冬〈農閑期。保存食、乾物づくり〉

    11月7日頃が立冬です。稲刈りを終えても、畑では、小豆、大豆などの収穫があり、大忙しの時期です。

    薪ストーブで小豆を炊いたり、煮込み料理をつくったりすることが多くなります。

    たくあん漬け、白菜で漬けものや、キムチを仕込みます。また、これらの根菜を使った鍋料理がおいしく、からだを芯から温めてくれます。

    畑からの収穫がなくなるので、切り干し大根や、ひじき、高野豆腐、大豆など、乾物の活用が多くなります。

    そして、農閑期に入ったら、また麴づくりや、保存食づくりが始まります。

    本記事は『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)からの抜粋です

    〈撮影/山田 耕司〉



    本間真二郎(ほんま・しんじろう)

    医師。那須烏山市国民健康保険七合診療所所長。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、大学病院での勤務を経て2009年、栃木県那須烏山市に移住。那須烏山市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。主な著書に『感染を恐れない暮らし方 新型コロナからあなたと家族を守る医食住50の工夫』(講談社ビーシー/講談社)、『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』(講談社ビーシー/講談社)など。最新著書『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)が発売中。

    ◇ ◇ ◇

    『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)|amazon.co.jp

    『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)

    『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)|amazon.co.jp

    amazonで見る

    「自然に沿った暮らし方が、すべての病気を遠ざける」という考えの自然派医師・本間真二郎先生。2023年春、「できる限り、人まかせにしない暮らし方」を追求し、食べ物、水、電気なども自給する新たな暮らしを始めました。

    「どのような生活が自然に沿っているかは、腸内細菌や微生物によいかどうか、これらにダメージを与えないかどうかで判断すればいいのです」という本間先生。麹づくり、みそづくりから、毎日食べているものまで、腸内細菌を元気にするレシピとともに、きょうから少しでも自然に近づくための1冊ができました。



    This article is a sponsored article by
    ''.