(『天然生活』2022年12月号掲載)
一期一会の幻想的な冬景色を目に焼き付けて
豊かな自然と伝統文化が息づくスウェーデン・ダーラナ地方に暮らして10年。北欧アンティークの店を営む松崎由貴子さんは笑顔でいいます。
「10月中旬くらいにパラッと雪が舞うので、今年もそろそろですね。私、いまだに初雪がうれしくて」
スウェーデンは南北に長い地形。中心部からやや北側に位置するダーラナ地方は降雪が多く、真冬はマイナス20℃前後まで気温が下がる日も。しかし昨今の世界情勢により電気代が上昇したことで、街の人たちは極力電気に頼らない工夫をしているといいます。
「私は首元、手首、足首を冷やさないようにして、手持ちの服を重ねて厚着します。部屋は厚手のカーテンに替えるくらいですが、これだけでも十分暖かくなります」
寒さから身を守る心強い味方が古い手編みの靴下です。買い付けで見つけたとても希少なもので、「はくと褒められる」とっておき。
そしてカーテンに使うのは、これまたなかなかお目にかかれない古い手織りのウールの布。土地に受け継がれてきた希少な手工芸品を大切に取り入れて、松崎さんは冬をいきいきと過ごしているのです。
長い夜は、家にこもるばかりではなく月光浴や星空観察へ。オーロラの予報アプリをこまめにチェックして、チャンスとあらば急いで観賞スポットに向かいます。朝は悪天候でないかぎり、湖や川まで散歩に行くのが日課です。
「オーロラもきれいですが、ふだんの景色も十分美しいんです。すごく寒い朝、湖面から湯気が立つ気嵐(けあらし)と朝焼けが重なると、この世のものとは思えないほど幻想的で。毎日、毎秒変わる自然の姿を浴びるように楽しむのが冬の醍醐味。スウェーデンに暮らしてよかったなと、いつも思っています」
スウェーデンの冬の楽しみ
冬小物でおしゃれに防寒を
ウールのアームウォーマーとヴィンテージの靴下が活躍。「手首が温かいと体温が逃げず、全身がぽかぽかに。靴下は男性用だったもので大きめだから重ねばきにぴったり。室内、外出時も重宝します。手の込んだ美しいものだからこそ使って生かしたいなと」
ウールのカーテンに衣替え
冬が近づくと、カーテンを薄手のコットンの布から厚手のウールの布に掛け替えます。「ヴィンテージの毛布がサイズ的にぴったりだったのでカーテン代わりに。築93年の家で多少すきま風がありますが、冷気をしっかり遮り、部屋が暖かくなります」
冬服を取り出しやすい場所に
たたんでしまう衣類はすべてかごに収納する松崎さん。衣替えは、夏服のかごと配置を変えるだけで完了。「冬服もすぐ使うものは上に、あまり着ないものやかさばるニットは下に入れます。帽子や手袋などの小物は、玄関の壁掛けのかごにしまっています」
ミルクティーを楽しむ
住まいがある街、レクサンドの店のブレンドフレーバーティーがお気に入り。冬はホットミルクティーで楽しみます。「友人の料理家・星谷菜々さんのレシピでつくると、完璧な味に。朝に飲むことが多いですね。寒い日はよりおいしく感じます」
スパルケンに乗って移動する
ダーラナ地方では、ハンドル付きのそり「スパルケン」が移動手段として浸透。路面が凍るので歩くより安全なのだそう。「おばあちゃんたちもこれでスーパーに行ったりして、車より風情があるんです。私も大家さんのスパルケンを借りて乗っています」
〈写真/松崎由貴子 取材・文/熊坂麻美 イラスト/芳野〉
松崎由貴子(まつざき・ゆきこ)
7歳から日本で生活し、社会人になって再びスウェーデンへ。有名無名を問わない「美しいもの」を探し、日本の企画展などで販売。
インスタグラム:@skantique
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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