(『天然生活』2021年12月号掲載)
ベッドの中で微笑んでしまうくらい、1日が始まるのがうれしい
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
東京・松陰神社前で20年にわたり「カフェロッタ」を切り盛りしてきた桜井かおりさん。
「いつでもすっきり起きられるし、ベッドの中で微笑んでしまうくらい1日が始まるのがうれしいんです。とくに冬の朝は、カーテンに光の影が映るのを見るのが好きです」
起きるのは、家を出る3時間前の7時。愛犬の「つぶ」と戯れたら、お気に入りの「アスティエ・ド・ヴィラット」のお香を焚いて空気を入れ替え、ショコラショー(ホットチョコレート)をつくります。
前日においしいパンを買っておき、「朝ごはんに食べよう」とちいさな楽しみを毎日つくっているとか。そんな桜井さんだからこそ、いままで1度も「朝、起きたくない」と思ったことがないのでしょう。
仕事に行きたくないと思ったこともないという桜井さんですが、実は9月末に、取り壊しのため店を閉めました。取材に伺ったのは、閉店まで1週間というタイミング。
心の内にはさびしさもあったかもしれませんが、やりきったというすがすがしさと、これから新しい生活が始まるというワクワクした様子に満ちていました。
「20年間、朝は同じルーティンで過ごしてきました。これからどう変わるのでしょうね。まずはお店をやっていたときには着られなかったセーターを着て、ネイルポリッシュも塗って、金髪にして、パリに旅行したいと思っています」
朝の時間割
07:00 | 起床 |
07:15 | パジャマのまま愛犬のつぶをなでる |
07:30 | 洗濯をする |
08:00 | シャワーを浴びる |
08:30 | ショコラショーを飲む |
09:00 | 服を選ぶ |
09:15 | ネイルをする |
10:00 | ブランチにでかける |
07:15 愛犬をなでる
小粒なことから「つぶ」と名づけられた桜井家の一員のトイプードルは、14歳の女の子。朝、起きると「なでて、なでて」と来るので、ベッドに入れてなでたり抱きしめたりし、お互いに甘え合います。
「つぶちんは人間でいうと80歳くらい。毎朝、心のなかで『生きててくれてありがとう、今日も温かくてありがとう』と思うんですよ。次男のことが大好きで彼氏だと思っているみたい。彼女が遊びに来るとやきもちを焼いて、見事に間に割って入っています」
08:30 お香を焚いて、ショコラショーを飲む
寒い冬の朝は、パリで求めた「アスティエ・ド・ヴィラット」のショコラカップで、ショコラショー(ホットチョコレート)を飲むことからスタート。
「お店でも人気のメニューです。『ヴァローナ』のチョコレート50gを2mLのお湯で溶かしたら、ミルク100mLを注ぎ入れてよく混ぜ温めてでき上がり」
ココアパウダーでつくるココアに比べ口あたりがなめらかで、チョコレートならではの甘さが脳に行きわたり、すっきり目が覚めるおいしさです。
09:00 服を選ぶ
「セーターもアクセサリーも大好きなんですけれど、お店を開けている日は毛が抜けたり落ちたりしたら嫌なので、身に着けられないんです。ですからこれらを選ぶ時間は、冬の休日の朝の楽しみです。『マリーエレーヌ ドゥ タイヤック』のピアスは、夫には『ガラスだよ』といっています」
セーターは、パリのマダムに憧れて着始めた「マルニ」や、友人で本誌連載でもおなじみの雅姫さんのブランド「ハグオーワー」、モヘアの「マイアミ」がお気に入り。
09:15 ネイルをする
休日の朝は、手の爪にネイルポリッシュを塗る時間も贅沢なひと時。
「足の爪にはふだんから塗っているんですけれど、お店のある日は手にはマニキュアできないので。最近、パソコン仕事が増えてきて、手の爪にきれいな色が塗られているのを見ると、うれしいんですよ。水商売を続けてきた自分のしわしわの手が気に入っています」
ネイルポリッシュは「シャネル」と決めていて、新色が出るたびに見に行くのも、ちいさな楽しみのひとつ。
10:00 ブランチに行く
休日の朝は、お店を開けている日にはできないことをして、リフレッシュします。とくに気持ちの切り替えになるのが、好きな店に行き、ゆっくりモーニングやブランチをいただくこと。
「最近は夜、外食ができなくなった分、昼間に行きたいお店に行って、おいしいものをいただきます」
ふだんは荷物が多く大きなバッグで移動しているため、休日は小さいバッグで。
お気に入りは50歳になったら買おうと決めていたブランド、「マルニ」の赤いバッグ。
朝が楽しくなるアイテム
バターナイフ
フォルムが好きだというバターナイフ。お米よりパン派で、数ある中から、お皿に合わせてコーディネートする。
コンフィチュールセット
パンに塗ったり、ヨーグルトにかけたりしていただく。
「好きなクロワッサンに、たっぷりと塗っていただきます」
<撮影/元家健吾 取材・文/長谷川未緒>
桜井かおり(さくらい・かおり)
「カフェロッタ」元店主。現在、エッセイの執筆等で活躍中。著書に『カフェロッタのことと、わたしのこと』(旭屋出版)がある。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです