(別冊天然生活「歳を重ねて楽しむ暮らし vol.2」より)
歳を重ねて新しく始めた「家事」の習慣
料理研究家・ウー・ウェンさん
60歳を迎えるにあたり、洋服の量をサイズダウン
これまで体形も好みも大きく変わらず、洋服は増える一方。最近、より体に負担のない服を好むようになり、150着ほど手放しました。
昔は手放すというと、捨てるか譲るかでしたが、捨てるのは忍びなく、譲る相手にも好みがあります。いまはリサイクル店が増え、本当に欲しい人のもとに届くことがうれしくて。
手元に残ったのは、30代ごろに買ったシンプルなものばかり。今後は増やすスピードを、ちょっとゆるめていこうと思っています。
ヘア&メイクアップアーチスト・山本浩未さん
「清潔感」を意識して洗濯を小まめにするように
以前と同じように清潔にしていても「清潔感」がなくなってくるこの世代。
汗ひとつをとっても、若いころより量が増える、においが気になるということもありますよね。パジャマは毎日、シーツは週に1度、必ず取り替えるようになりました。
バスタオルもやめて、毎日洗濯しやすいフェイスタオルに。身に着けるものや毎日使うものは清潔さをキープしておくことで、心もすがすがしく、気持ちよい状態でいられます。
Earthおばあちゃんねる・多良美智子さん
買い物や掃除など、無理せず人の力を適度に借りながら
団地の4階に暮らしているので、重い調味料などの買い物は、週に1度のマーケットの配達日に。月2回、子どもたちが来てくれるときにも買い出しをお願いしています。
夫の看病がきっかけで始めた月2回のお掃除(家事代行)サービスも、昨年からまた再開しました。
いまはひとりですし、大きな掃除機は持てませんから日常の掃除はハンディタイプでちょこちょこと。お掃除に来てもらう日には大きな掃除機できれいにしてもらいます。
郷土料理研究家・横山タカ子さん
掃除機の出番が減ってはたきとほうきとちりとりで
子育て中は重宝していた掃除機を、最近は滅多に使わなくなりました。
ほうきは畳を傷めませんし、じゅうたんのほこりも驚くほどかき出してくれます。それをちりとりで集めて、最後はふき掃除で仕上げるとさっぱり。
家事に使うふきんやタオルなども、自分好みの色に染めて使っています。子どもたちが巣立ち、時間に余裕ができたことで、暮らしのすみずみまで自分の好みに思いを寄せられるようになったのかもしれませんね。
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<取材・文/藤沢あかり イラスト/松尾ミユキ>
ウー・ウェン(うー・うぇん)
中国・北京出身。ウー・ウェンクッキングサロンを主宰。医食同源に根ざした家庭料理のほか、シンプルで温かな生き方にも注目が。『ウー・ウェンの炒めもの』(高橋書店)など、著書多数。
多良美智子(たら・みちこ)
1934年生まれ。2020年から孫と始めた、日常を紹介するYouTube『Earthおばあちゃんねる』は登録者数14万人を超す。著書は『87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし』(すばる舎)。
山本浩未(やまもと・ひろみ)
ヘア&メイクアップの第一人者として女性誌や広告などでさまざまなテクニックやメソッドを提唱。自身の経験に基づいた、内面からポジティブに輝く人になるための提案も多数。
横山タカ子(よこやま・たかこ)
長野出身・在住。土地の食文化を生かすシンプルなレシピを研究し、伝えている。四季を暮らしに呼び込むしつらいのアイデアや手仕事にも定評が。近著は『私の梅仕事』(扶桑社)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです