(『天然生活』2021年10月号掲載)
統一感あるインテリアで隠し上手な収納を
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
鄭玲姫さんの美意識が伝わる、李朝喫茶「李青」。愛されて24年になります。住まいもまた、店に通じる心地よさ。現在2軒を営み、忙しい日々を過ごしてきましたが、このコロナ渦で自宅の収納を徹底見直し。気になっていたところにも、ようやく手をかけ、「家はやっぱり楽しい」と晴れ晴れです。
「忙しいときは最低限の家事で手いっぱい、皆さんよくきれいに暮らされているなと思います。時間的余裕と体力がそろってこそ、心地よさを維持できる。最近、長女に喫茶を任せるようになって、店に立つのは週1度くらい。おかげで思い描く状態をキープできていて、とても快適。どなたがいつ家にいらしても大丈夫です」
ものは多い方という鄭さん、だから、煩雑に見えないように心を配ります。
美しい欅けやきの水屋簞笥、かごや布など、自然素材のものを生かして収納。プラスチックやステンレスといった、無機質で目にやさしくないものは徹底的に隠します。
使ったあとは、置いたままにせず、すぐ元の位置に戻して。心地よく暮らすために身につけた、日常のルールです。
「“使ったらしまう”片づけ癖がつくと、置きっぱなしが落ち着かなくて、体がおのずと動くようになります。いつも同じ場所に置いておけば、どこにあったかな!? って、探すこともない。定位置を決めておけば、自分が泣かなくていいと学びました」
鄭玲姫さんの収納の工夫
「目にやさしいもの」ですっきりしまう
視界に入っても心地よい木、陶器などの自然素材を収納場所に。プラスチックなど、目に違和感のあるものは隠してすっきり。
台所収納は自然素材で統一

台所は水屋簞笥ありきで設計し、戸棚から調理台まで木で統一。
プラスチックやステンレスなど味気ない素材は隠し、銅の鍋やざるは見せて収納。
30年を経ていっそう美しい水屋簞笥に器を収納

大黒柱になる欅でつくられた近江水屋簞笥。「虫が入る隙がないんです」と鄭さん。
引き出しがするりと開き、ぴたりと閉まる、確かな仕事に感動。
漆はあえて塗らず、木の風合いを生かし、銅の取手に替えてもらった。上段に日常の器、下段に来客用の大皿を。
スパイスは奥行きの浅い棚に

コンロから手が届く位置にスパイスを。奥行きを浅くして一列に並べ、取り出しやすく。
スペインとハンガリーのパプリカなど、旅で出合ったものも。
木の棒を窓枠に渡してざるを収納

実際の幅より5mmほど長い木の棒を夫にはめてもらい、ざるをフックで吊るす。
ざるは野菜の水を切ったり、すき焼きの具材を盛ったり、日々活躍。
凛とした佇まいの茶道具入れ

ダイニングの棚の上が定位置

職人技を感じる、美しい茶道具入れ
テーブルにこのまま出せ、中のものも取り出しやすい、才色兼備な道具。
<撮影/伊藤 信 取材・文/宮下亜紀>
鄭玲姫(チョン・ヨンヒ)
京都にて、李朝喫茶「李青」を1998年創業。主婦としての経験を礎に、体を健やかにする韓国の食文化、手仕事のよさを伝える。2017年、「寺町 李青」開業。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです