(『本間真二郎さんの病気にならない暮らし方』より)
健康につながる日常チェック
近年注目されている骨と免疫の関係
骨は、内臓や皮膚などと同様、生きている細胞からできています。日々新陳代謝を行っていて、数年で全身の骨が入れ変わります。
その働きは、体を支えること以外にもさまざま。カルシウムなどのミネラルを貯蔵し、必要に応じて体内に供給する役割も担っていますし、中心部にある骨髄では血液細胞がつくられています。
さらに、近年注目されているのが免疫との関係です。元気な骨から放出されるオステオポンチンという物質が、免疫細胞を活性化させることがわかっています。
また、健康な骨からは臓器などを活性化させる物質も分泌されることが明らかになってきました。
骨は体を支えるだけでなく、免疫や老化とも深く関わっているのです。
骨粗しょう症や骨折を予防するための生活習慣
このように健康を支える要ともいえる骨ですが、女性の場合、高齢になるともろくなりがちです。
閉経とともに女性ホルモンであるエストロゲンが減少すると、骨をこわす働きが骨を新しくつくる働きを上回ってしまい、骨に含まれるカルシウムなどの量が大幅に減ってしまうからです。
このため、骨粗しょう症や骨折のリスクも高まります。加齢に伴う自然現象ではありますが、生活習慣によってある程度は補うことができます。
まず大事なのは、骨に重力をかけることです。頑健な宇宙飛行士が無重力状態の宇宙に1〜2年滞在して帰ってくると、骨が非常にもろくなっている。このことから、健康な骨をつくるには重力が不可欠だとわかったのです。
とはいえ、難しいことは何もなく日頃から畑仕事をしたり散歩をしたりして、体を動かせばいいのです。
日光に当たってビタミンDをつくりだす
次に大事なのは日光に当たること。
骨の健康に欠かせないビタミンDは、コレステロールを材料に日光を浴びることでつくられます。日光によりつくられるビタミンDは、食事から摂るよりはるかに多いのです。
骨が元気だと免疫力も高まることは先ほど書きましたが、ビタミンD自体にも免疫力を高める働きがあり、ビタミンDが体内をめぐっていることはとても重要といえます。
小魚を食べるのもおすすめ
食事では、カルシウムを摂るなら、ほかのミネラルなどがバランスよく含まれ、丸ごと食べられる小魚などがよいでしょう。
やはり骨の健康の土台になるのは腸内細菌を元気にすること。腸内細菌が元気でないとビタミンDがきちんと吸収されないからです。
これらに加えて近年では、睡眠の質と量も骨の健康に関わっているということがわかってきています。
〈撮影/山田耕司 取材・文/嶌 陽子 イラスト/はまだなぎさ〉
※ 本記事は『本間真二郎さんの病気にならない暮らし方』(扶桑社)からの抜粋です。
本間真二郎(ほんま・しんじろう)
1969年北海道生まれ。小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、札幌医科大学新生児集中治療室(NICU)室長に就任。2009年に栃木県へ移住し、那須烏山市の「七合診療所」の所長に。地域医療に従事しながら、妻、2人の子どもとともに、自然に沿った暮らしを実践中。『病気を遠ざける暮らし方 できることから、ひとつずつ。自然に沿ってゆるく生きる』、『感染を恐れない暮らし方 新型コロナからあなたと家族を守る衣食住50の工夫』(ともに講談社ビーシー)、『自然に沿った子どもの暮らし・体・心のこと大全』(大和書房)ほか著書多数。雑誌『天然生活』の連載や特集での反響も大きく、多くの支持を集めている。
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地域医療に従事しながら、妻、2人の子どもとともに、自然に沿った暮らしをしている、自然派医師の本間真二郎さん。
アメリカでウイルス学、ワクチン学の研究に携わり、帰国後は栃木県へ移住し、那須烏山市の「七合診療所」の所長に。この地で、病気にならない暮らしを実践しています。
その秘訣は、体を温め、その場所の季節の食べ物を食べて、ミネラルをたっぷり摂って、腸内細菌を元気にすることで、免疫力を高めること。大きな病を防ぎ、冷えや気象病などの病気やトラブルを防ぎます。
そんな本間先生の健康についてのアドバイスと、家族との自然に沿った農を楽しむ暮らし、食べ物、お手当方法をまとめました。本間家の定番の自然治癒力を高めてくれる食品やお手当の材料、免疫力をあげる発酵食レシピも必見です。
古くて新しい視点で、現代の疲れた心と体を健やかにしてくれる一冊になりました。