• 体と心のプチ不調を植物を使って整える「植物療法フィトテラピー」。手に入りやすい身近なハーブでできるお手当て法を、南上夕佳さんに聞きました。冷えとりにおすすめのハーブ3つとお手当て方法を紹介します。
    (『天然生活』2021年8月号掲載)

    冷えとりにおすすめのハーブ

    ヴァンルージュ

    画像: ヴァンルージュ

    実がなる前の赤ぶどうの葉のこと。血管を拡張させ強くしてくれるハーブで、末梢神経まで血液を循環させる働きがある。

    赤ワインの約300倍のポリフェノールが含まれており、抗酸化力が高いのでエイジングケアや冷えとりに。基礎体温を上げる作用も。

    お手当て方法:飲む

    ハーブティー、ハーブチンキ(水で希釈)で飲む。やや酸味があって飲みやすいハーブなので、飲みにくいと感じるほかのハーブを飲む際に少し混ぜるのにも使える。

    ローズマリー

    画像: ローズマリー

    血行不良を解消して血流を整えてくれるハーブ。

    血のめぐりをよくする成分が豊富なため、精油をマッサージに使用すると手足の冷えを緩和できるほか、肩こりや月経痛、下肢静脈瘤の軽減にも。

    森林浴をしているような香りが特徴。妊娠中、授乳中、乳幼児への使用は不可。

    お手当て方法:塗る

    精油でボディケアをする。キャリアオイルで希釈して、手足や指先などの冷えが気になる箇所や月経痛の場合は腹部に塗る。マジョラムと混ぜて使うとなおよい。

    マジョラム

    画像: マジョラム

    血液や体液の循環を促すハーブで、とくに手先・足先の毛細血管に働きかけて冷えを解消してくれる。

    末端が冷える人は精油を塗った手足をマッサージすることでより効果を得やすい。

    そのほか、冷えが原因で起こる便秘や下痢、胃腸の具合が悪いときにも。

    お手当て方法:塗る

    ローズマリーと同様に使う。手先・足先など末端が冷える人は精油を1本持っておくと心強い。好みの天然塩に混ぜてバスソルトをつくり、湯を張った浴槽に入れて使用するのもよい。

    ハーブのお手当て、まず試したいのは「飲む」こと

    ハーブのお手当てには主ニ4つ【飲む・塗る・香る・食べる】のやり方がありますが、まず最初に試したいのは「飲む」こと。とりわけ温かいハーブティーがおすすめだそう。

    「消化器系を温めるので、有効成分をしっかり吸収させることができるんです。いまは市販のティーバッグでもさまざまなものが売られているので、香りや効能をチェックして、気になるものから試してみてください。単体の乾燥ハーブを使う場合は、200mLのお湯に小さじ2〜3杯の茶葉でつくること。一煎目のお茶にすべての成分が溶け込んでいるので、日本茶や中国茶のように二煎目、三煎目と飲むのはNGです」

    たしかに、ノンカフェインのハーブティーなら暮らしに取り入れやすそう。ほっとひと息つきたいときに、体調のケアをしながらティータイムが楽しめるなんて理想的かもしれません。

    「ハーブの効能って1日、2日程度ではわかりにくいんです。数週間や数カ月と長期的に気長に続けてほしいですね。そしてよくなったらすぱっとやめる。ハーブは自分の体本来の力を整えてくれるので、その力が戻ってくれば、お休みして大丈夫。自分の不調を自分で手当てできる、心と体両方のお守り。それが私にとっての植物療法なんです」

    お手当てにハーブを使う際の注意点

    画像1: お手当てにハーブを使う際の注意点

    個人差があります

    植物の作用や効用は個人によって異なります。また季節や体調などの環境の変化によって、同じ人が使っても反応に差が出る場合があります。

    子どもや高齢者は分量を減らしましょう

    ここで紹介したお手当て法は、健康な成人を対象としています。子どもや高齢者に使う場合は体調を見極めながら、分量を減らすなど工夫してください。

    妊娠中は医師に相談しましょう

    妊娠中、あるいは妊娠の可能性がある人が使う場合、注意が必要なハーブがあります。ふだんは問題ないものでも体の変化が大きい妊娠時にはまず医師に確認を。

    無農薬のハーブがおすすめです

    できれば無農薬のハーブを使うのがおすすめ。気になるときは重曹水に30分ひたし、よく洗い流しましょう。

    精油を使うときはパッチテストを

    精油を使用する際は事前に必ずパッチテストを行うこと。ごく少量をキャリアオイルで希釈して肌の柔らかい部分に塗り、12〜24時間、かゆみや赤みが出ないか様子をみます。



    〈監修/南上夕佳 イラスト/はまだなぎさ 取材・文/片田理恵〉

    画像2: お手当てにハーブを使う際の注意点

    南上夕佳(なんじょう・ゆか)
    植物療法士。ルボア フィトテラピースクール副代表。ホルモンバランスをくずしたことをきっかけに植物療法と出合い、日本における第一人者である森田敦子氏に師事。自身の経験を生かし、女性のライフスタイルに合わせたさまざまな療法を広めている。著書に『自然ぐすり生活』(ワニブックス)がある。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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