氷砂糖の澄んだ甘味が、ミニトマトの風味と色をぐんぐん引き出す
たっぷりの太陽を浴びて、真っ赤に輝くミニトマト。もちろんそのまま食べてもおいしいのですが、氷砂糖と酢で漬け込めば、長期間保存が可能な保存食になります。
「ハウス栽培のものも多く流通しているので1年中楽しめる野菜ですが、旬は春から夏。家庭菜園でつくるミニトマトも、夏に収穫の時期を迎えますよね。夏のミニトマトは甘味が強くておいしいので、ミニトマトビネガーをつくるなら暑い時季がおすすめ。つくっておくと、さまざまな料理に使えて便利です」とワタナベマキさんは語ります。
つくり方は驚くほど簡単で、必要な材料も3品のみ。半割りにしたミニトマトと同じ重量の氷砂糖、酢をひとつのびんに重ね入れるだけ。4〜5日経って、氷砂糖がすべて溶けたらできあがりです。
「漬けている間に氷砂糖がゆっくりと溶けていきます。氷砂糖のすっきりとした甘味がミニトマトにしみ込み、ミニトマトのエキスはビネガーと混ざり合います。鮮やかな赤い色が、食欲を刺激してくれますよね」
ワタナベマキさんの
ミニトマトビネガーのつくり方
ミニトマトの赤い色素が酢に溶け出て、美しい色彩を目で楽しむことができるミニトマトビネガー。
ミニトマトの実は、氷砂糖に漬け込むことで味が凝縮されて皮もやわらかくなり、食べると濃厚な甘味が広がります。
ワタナベさんのおすすめの楽しみ方は、炭酸で割ったビネガードリンク。
ミニトマトビネガー大さじ1に、炭酸100mLを注ぎ、好みでミニトマトの実を加えれば完成です。
甘酸っぱさの中にミニトマトの青い香りが広がり、なんともさわやか。このほかにも、オリーブオイルと塩を加えればトマトドレッシングに。また、ごま油としょうゆを加えて冷やし中華のたれとしても使えます。
材料(約600g分)
● ミニトマト | 約200g |
● 氷砂糖 | 約200g |
● 酢(米酢、穀物酢、りんご酢など) | 約200mL |
基本の分量 1:1:1(ミニトマト:氷砂糖:酢)
下準備
保存びんを煮沸消毒またはアルコール消毒する。
つくり方
1 ミニトマトのヘタを取り、よく洗い、水気をふく。横2等分に切る。ミニトマトの重さを計り、同じ重量の氷砂糖と酢を用意する。
ワタナベさんのひと工夫
●通常の大きさのトマトを使うと、トマトのワタが流れ出てドロリとしてしまうので、ミニトマトを使う。トマトは横半分に切るとエキス分が出やすい。
2 保存びんにミニトマトの1/3量を入れ、その上に氷砂糖1/3量を重ねる。残りも交互に詰め、一番上に氷砂糖がのるようにする。
3 上から酢を注ぎ、軽くゆする。
4 ふたをして冷暗な場所におく。1日1回、保存びんをゆする。4〜6日ほど後に、氷砂糖がすべて溶けたらでき上がり。
保存期間
・冷蔵庫で約2カ月保存可能。
ミニトマトビネガーを使ったアレンジレシピ①
きゅうりとえびのマリネのつくり方
味わいがさらに濃くなったミニトマトを料理の具材として楽しめるのも、ミニトマトビネガーの魅力のひとつ。
生野菜とえび、オリーブオイルとミニトマトビネガーをさっとあえて、色鮮やかなマリネにしました。
きゅうりやセロリのリズミカルな食感、氷砂糖のすっきりした甘味、トマトのやさしい酸味を感じるヘルシーなマリネは、おつまみにぴったり。夏の夕暮れ時に、冷たい白ワインと一緒にどうぞ。
材料(2人分)
● ミニトマトビネガー(トマトの果肉も含めて) | 大さじ2 |
● きゅうり | 1本 |
● セロリ | 1/3本 |
● ゆでえび | 4尾 |
● しょうが(すりおろす) | 1片 |
● 塩 | 小さじ1/2 |
● オリーブオイル | 大さじ2 |
● 粗びき黒こしょう | 少々 |
つくり方
1 きゅうりは皮をむき、セロリは筋をとり、それぞれ乱切りにする。えびは2cm幅に切る。
2 ボウルにミニトマトのビネガー、しょうが、塩、オリーブオイルを入れて混ぜ合わせる。1を加えて全体をあえる。器に盛り、黒こしょうをふる。
ミニトマトのビネガーを使ったアレンジレシピ②
豚肉のトマトビネガーソテーのつくり方
ミニトマトビネガーの甘酸っぱい味は、豚肉とも好相性。ポークソテーのソースとして使えば、酢の効果でお肉がやわらかく焼き上がります。
調理するときは、漬け込んだミニトマトの実も加えて一緒に加熱。火が通ってトロリとしたミニトマトから濃厚なうま味が広がり、しょうゆが全体を引き締めます。
フライパンひとつで手軽につくれるとは思えないくらい、奥行きのある味わいを楽しめる一品です。
材料(2人分)
● ミニトマトビネガー | 50mL |
● ミニトマトビネガーのトマトの果肉 | 60g |
● 豚ロース厚切り肉(とんかつ用) | 2枚 |
● 玉ねぎ(薄切り) | 1/2個 |
● にんにく(薄切り) | 1片 |
● イタリアンパセリ(粗みじん切り) | 少々 |
● 白ワイン | 大さじ1 |
● しょうゆ | 小さじ1 |
● 塩 | 小さじ2/3 |
● オリーブオイル | 小さじ2 |
● 粗びき黒こしょう | 適宜 |
つくり方
1 豚肉は筋切りして、塩少々(分量外)をふる。
2 フライパンににんにくとオリーブオイルを入れて、中火にかける。
3 1の豚肉を入れ、焼き目が付いたら裏返す。玉ねぎを加えてしんなりするまで炒め、白ワイン、ミニトマトビネガーとトマトの果肉を加える。煮立たせてアルコール分を飛ばし、ふたをして弱めの中火で6分蒸し焼きにする。
4 塩としょうゆを加え、煮立たせながら味をからめる。器に盛り、イタリアンパセリとお好みで黒こしょうをふる。
ワタナベマキ(わたなべ・まき)
グラフィックデザイナーを経て、料理家として独立。シンプルだけど滋味深く、素材の味を引き出した料理が人気。インテリア、器、ファッションなど、センスあふれるライフスタイルが年代を超えて支持されている。『時間をかけて作りたい料理』(Gakken)、『マキさんの極上シンプルおにぎり』(ワン・パブリッシング)ほか著書多数。
インスタグラム:@maki_watanabe
もっと氷砂糖のレシピを知りたい人は
全日本氷糖工業組合 | 旬の果実でおいしく楽しい氷砂糖
氷砂糖でくらしをもっとカラフルに。梅酒づくりでおなじみの氷砂糖は、じつは梅以外の果実とも相性Good。色とりどりのフルーツを使って手づくりを楽しめる氷砂糖の世界、あなたものぞいてみませんか。
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協力/全日本氷糖工業組合
http://www.hyoutou-kumiai.jp/tezukurilife/
〈料理/ワタナベマキ 撮影/林 紘輝 取材・文/河合知子〉
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