• 料理研究家の松田美智子さんに夏野菜を使った4種類のつくりおきを教えていただきました。「揚げなす、ししとう炒め、塩もみゴーヤ―、夏野菜たっぷりのサブジ」はそのまま食べてもよし、組み合わて使えばさまざまな献立にアレンジできる、うれしいつくりおきです。
    (『天然生活』2022年7月号掲載)

    ていねいな下ごしらえで、野菜の持ち味を引き出して

    画像: ていねいな下ごしらえで、野菜の持ち味を引き出して

    料理研究家の松田美智子さんに、4種類の夏野菜のつくりおきを教えていただきました。

    たっぷりの米油を熱し、適温に達したらなすを投入。初めは大きな泡が少しずつ小さくなり、断面の種がうっすら膨らんだら次々と取り出します。その時間わずか1分半ほど。

    「揚げなすというと、みなさん長く揚げすぎなんじゃないかしら。薄く色づくまでなんてもってのほか。余分な油を吸ってベタベタしてしまいます」。そういって軽やかな手つきでなすを揚げていく松田さん。

    ほかにも、ししとうがらしやゴーヤーなど、鮮度も考えて一気に「下ごしらえ」しておくことが多いと話します。

    「つくりおきといっても調味前の段階までが多いですね。なすは揚げるだけ、ゴーヤーは塩もみ、ししとうはごく少量の塩で炒めるだけ。合わせる食材や調味料でさまざまなワンプレートを楽しめます」

    唯一、夏野菜のサブジは最後まで仕上げます。豊富な種類の野菜で見るからにおいしそう。

    「少ない水分で煮て野菜の持ち味を引き出しています。まずはそのままナンと一緒に召し上がってみてください。野菜は冷蔵庫に残っているものなど、お好みでなんでも。野菜だけでも満足感があり、主役にもなるつくりおきですよ」

    夏野菜のつくりおき①
    揚げなすのつくりかた

    画像: 夏野菜のつくりおき① 揚げなすのつくりかた

    まずは揚げたてを召し上がれ。さっと揚げるので油分控えめ。

    材料(つくりやすい分量)

    ● なす10本
    ● 米油適量

    つくり方

     なすはへたを落として縦6~8等分のくし形に切る。ボウルに薄い塩水(分量外)をつくってなすを5分つけ、水けをしっかりふき取る。

     鍋にたっぷりの米油を170℃に熱し、なすを適量入れる。1~2分して種の部分がうっすらと膨らんだら取り出す。同様にして残りも揚げ、油をきる。室温になったらペーパータオルを敷いた密閉容器に入れる。

    画像: 「なすの種がうっすらと膨らんだら揚げ終わりの合図。よく見て、その変化を捉えてみてくださいね」

    「なすの種がうっすらと膨らんだら揚げ終わりの合図。よく見て、その変化を捉えてみてくださいね」

    保存期間:冷蔵庫で約2日

    夏野菜のつくりおき②
    ししとうの炒めのつくりかた

    画像: 夏野菜のつくりおき② ししとうの炒めのつくりかた

    種を除き口あたりよく仕上げて。サラダ、あえもの、炒めものに。

    材料(つくりやすい分量)

    ● ししとうがらし40本
    ● 塩ひとつまみ
    ● 太白ごま油大さじ1

    つくり方

     ししとうがらしは天地を落として縦半分に切り、先の細いスプーンでワタと種を除く。繊維を断ち切るように横薄切りにする。

     フライパンにごま油を熱し、をさっと炒める。塩をふって混ぜ、火を止める。ペーパータオルを敷いた密閉容器に入れ、はじめはまんなかをあけておく。室温になったら均等に広げる。

    保存期間:冷蔵庫で約2日

    夏野菜のつくりおき③
    塩もみゴーヤーのつくりかた

    画像: 夏野菜のつくりおき③ 塩もみゴーヤーのつくりかた

    そのまま箸休めに、炒めもの、酢のもの、味噌汁の具にも。

    繊維に沿って切っても。水けをしっかりしぼって保存して。

    材料(つくりやすい分量)

    ● ゴーヤー大きめ2本
    ● 塩大さじ1

    つくり方

     ゴーヤーは縦半分に切り、スプーンで種とワタを除く(ワタが苦いので除き具合は好みで)。半月の薄切りにしてボウルに入れ、塩を加えてよく混ぜ、15分おく。

     ふきんなどで水けをしっかりしぼり、密閉容器に入れる。

    保存期間:冷蔵庫で3~4日

    夏野菜のつくりおき④
    夏野菜のサブジのつくりかた

    画像: 夏野菜のつくりおき④ 夏野菜のサブジのつくりかた

    ていねいに下ごしらえした夏野菜を順に炒めて蒸し煮に。

    スパイスはお好みで。ホールがなければパウダーでも。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 玉ねぎ1/2個
    ● じゃがいも小さめ6個
    ● かぼちゃ300g
    ● ズッキーニ1本
    ● トマト大1個
    ● オクラ6本
    ● パプリカ1個
    ● とうもろこし1本
    ● にんにく(薄切り)大1片分
    ● しょうが(薄切り)大1片分
    ● A
    ・クミンシード、コリアンダーシード各小さじ1/2
    ● カレー粉大さじ2~3
    ● 三温糖大さじ1
    ● 白ワイン50mL
    ● プレーンヨーグルト2カップ
    ● ナンプラー小さじ1
    ● 白こしょう少々
    ● オリーブオイル大さじ3

    つくり方

     玉ねぎは3cm角、ズッキーニは2cm厚さ、トマトはざく切り、オクラはへたをぐるりとむいて板ずり、パプリカは種とワタを除いて2cm角に切る。

    じゃがいもは半分に切り、面取りして水につけ、水けをふく。

    かぼちゃは皮をところどころむき、約4cm角に切って面取りする。とうもろこしは芯から粒を外す。

    画像: サブジの野菜はアレンジすることを考えて、やや小さめのひと口大に。「ごぼうを入れてもおいしいですよ。じゃがいもとかぼちゃは面取りを。ひと手間ですが、でき上がりにグッと差が出ます」(松田さん)

    サブジの野菜はアレンジすることを考えて、やや小さめのひと口大に。「ごぼうを入れてもおいしいですよ。じゃがいもとかぼちゃは面取りを。ひと手間ですが、でき上がりにグッと差が出ます」(松田さん)

     鍋ににんにく、オリーブオイルを入れて中火にかける。しょうがとを加えて炒め、香りが立ったら玉ねぎとカレー粉を加えてこげないように炒める。

    じゃがいも、かぼちゃ、三温糖を加えてさらに炒める。全体に照りが出たら白ワインを加え、ズッキーニ、トマト、オクラ、ヨーグルトを加えて混ぜ、ふたをして10分煮る。

     味をみて、ナンプラー、白こしょうでととのえ、パプリカを加えて2~3分煮る。とうもろこしを加えて火を止める。粗熱が取れたら密閉容器に入れる。

    保存期間:冷蔵庫で約4日



    〈料理・スタイリング/松田美智子 撮影/山田耕司 取材・文/結城歩〉

    松田美智子(まつだ・みちこ)

    日本料理をベースにした、家庭料理の教室を主催。子ども時代から身近だった保存食を基本に、いまの時代に合い理にかなった季節の味を楽しむレシピやアイデアをまとめた著書『季節の仕事』が復刊。近著に、『別冊天然生活 5つの調理法で大人の料理バイブル100』 (扶桑社ムック)がある。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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    別冊天然生活『5つの調理法で大人の料理バイブル100』(松田美智子・著)

    画像: 松田美智子さんの「夏野菜」のつくりおき4種。なす、ししとう、ゴーヤー、パプリカを使って

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