• 何かと悩ましい人生後半戦。年を取ってからは、世界を救うなど大それたことは考えなくても、周りに迷惑をかけずにどうやって快適に暮らせるか、小さな知恵を働かせてみるだけでもいいかもしれません。「掃除のカリスマ」として知られる生活評論家・沖幸子さんの著書『初めての"老い"を上手に生きる』(笠間書院)より、シニアライフの豊かな楽しみ方を紹介。今回は「疲れない掃除の仕方」と、「美しい部屋を保つためのラク家事の基本」について。

    心も身体も疲れない上手な掃除

    大掃除は、体力のある若い人に任せましょう。エイヤッとやる頑固な汚れ退治の大掃除は、気力も体力も必要です。“掃除のプロ"として、どう考えても、老人にはおすすめしない。

    年を重ねるほど、老人にとっては、集中する家事労働、とくに掃除は、プロなど人の手を借りれば別ですが、時間も労力もかかり、何より心が疲れます。

    私は、大掃除はしません。天井や吹き抜けの窓ガラスなど、手がかかる場所は、日頃から人の手を借り、自分で掃除をする場所“いつも小ぎれいにする”ことを心がけ、時間も労力もかけない

    もちろん、ムダな動線や道具も使わない。わが家の場合、掃除機はコンパクトなものを、すぐ取り出しやすい数か所に置いている。

    掃除という作業には、軽くて、充電式、しかも片手でスイスイ動かせるものが便利です。

    掃除機をかける日も、週1回15分くらいと決め、それ以外は、汚れたらすぐその場所だけをきれいにする程度。

    掃除や家事の時間を決めておけば、体力も気力も消耗しない。週に一回でも、ほこりは“そこそこ"確実に取れるので、部屋とともに、心も“小ぎれい"な安心感で満たされます。

    さらに、週一回15分程度、身体を動かすので、多少の運動不足は補えるような気分になる。

    いつも、“小ぎれい"を保つためには、床にものを置かないこと。ものが床に散乱していると、掃除に余分なエネルギーがかかり、余計なものや道具がある分、ほこりも余分にたまる。

    画像: 床に余分なものを置かない。広々とした空間は、見た目も美しく掃除も行き届きます

    床に余分なものを置かない。広々とした空間は、見た目も美しく掃除も行き届きます

    部屋にあるものや道具には、〝定位置〞の置き場所を決め、使ったら必ず、もとに戻す。いつも汚さない工夫をし、汚れたらすぐ拭いたり掃いたりして、処理しておく。

    トイレや洗面所、キッチンなどの使った場所や道具は、今度使うときのため、用事がすめば、すぐきれいに手入れをしておく。

    このような習慣は、丁寧にきれいに暮らす習慣にも通じ、心が豊かになります。

    家事労働を、"年をとると大変!”と案じたり嘆いたりする前に、小さな家事習慣を身につけ、家事に翻弄されない生活を心がけたいものです。

    画像: 仕事の打ち合わせ、ゲストとのお茶時間、書類の整理など美しく静かなドイツでの思い出の懐かしいコーナー

    仕事の打ち合わせ、ゲストとのお茶時間、書類の整理など美しく静かなドイツでの思い出の懐かしいコーナー

    美しい部屋の基本

    年齢に関係なく、たいていの人は、狭くても広くても、いつもきれいな部屋に住みたいと願う。老いて体力や気力がなくなっても、きれいな部屋を保つために、できること、気を付けることはあります。

    豪華でなくてもいい、シンプルで、整理整頓が行き届き、いつでも簡単な掃除がしやすい部屋は、誰がいつみても美しい。

    高齢者でもできる美しい部屋を保つためのラク家事の基本

    ・窓はこまめに開ける。
    ・床にものを置かない。
    ・汚れたらすぐ拭いてきれいにする。
    ・洗濯はこまめに、いつも清潔感を心がける。
    ・水回りはいつも使ったら拭いておく。
    ・タオルなどの生活備品は、定期的に取り換え清潔に。
    ・トイレなど、余分なカバーや飾り物はほこりの温床になるのでおかない。
    ・掃除道具は、タオルが基本、複雑で重いものは使わない。
    ・部屋中が美しく見える工夫をする。例えば、ついた水滴や水回りの蛇口はいつも使ったら拭く。
    ・玄関の靴はそろえる。
    ・香りのする生花を飾る。生きた植物は、最高の自然フレグランス、部屋中をリフレッシュする芳香剤。

    画像: 小さなパティオを眺めながら、季節の移り変わりを楽しむ。落ち着いた大好きな空間は、心を癒してくれる

    小さなパティオを眺めながら、季節の移り変わりを楽しむ。落ち着いた大好きな空間は、心を癒してくれる

    本記事は『初めての"老い"を上手に生きる』(笠間書院)からの抜粋です

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    『初めての"老い"を上手に生きる』(笠間書院)|沖 幸子

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    沖 幸子さん流・シニアライフの楽しみ方で、もう「高齢者」なんで言わせない!

    『50過ぎたら ものは引き算、心は足し算』の著者・沖 幸子さんの最新作。50代、60代と歳を重ね、70代に突入、気が付けば後期高齢者の仲間入り。この本では、沖さんの自らの体験に基づき、老化現象と仲良く付き合い、こころは青春時代を取り戻すための、日常のちょっとした工夫、思考転換でできる「若返り」を紹介しています。いたずらに忍び寄る「老い」に怯えるのではなく、逆に若いころのような制約や義務がなくなるシニアライフ=「老い」を、豊かに楽しむ生活を提案しています。


    沖 幸子(おき・さちこ)
    兵庫県生まれ。生活経済評論家。家事サポートサービス「フラオ グルッペ」代表。大学客員教授(起業論)や経済産業省、厚生労働省などの政府審議会委員も務める。神戸大学卒業後、ANA、洗剤メーカーを経て、ドイツ、イギリス、オランダで生活マーケティングを学び、グローバルな視点を持つ暮らしのデザイナー・女性起業家として、メディアで活躍。「掃除界のカリスマ」として知られ、家事や暮らしが楽しくなる数々のエッセイや評論を執筆している。著書は、『ドイツ流 掃除の賢人』(光文社)、『50過ぎたら、ものは引き算、心は足し算』『70過ぎたら あるがまま、上手に暮らす』(ともに祥伝社)など多数。



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