毎日やることを決める
私の一日の始まり。それは、毎朝、台風や強風以外はどんな日でも、起きたら必ず窓を開ける。大きく空に向かって深呼吸。
部屋の汚れた空気を外に出し、新鮮な風を部屋と身体に取り入れるのです。
晴れた日には、太陽に向かって大きく両手を上に伸ばしながら背伸びをし、深呼吸と軽いストレッチ。朝の太陽の光は、脳を活性化するといわれ、やる気が少し出てくる感じがします。
人の体内時計は、25時間と言われるが、人の生活時間は24時間。医学的には、この1時間の差を、“太陽の光”、特に“朝の光”で調節しているらしい。だから、浴びた瞬間から1時間を縮めてくれる“朝の太陽の光”は、欠かせないものです。
“朝はいつもこれだけはする”の決め事を習慣化し、身体が自然に動くようになれば、今日一日の健康生活のスタートが切れる。
自分で、やれることを決め、心身の負担にならないように習慣化することです。
住まいに変化を
どんな美男美女でも、長年見ていると、それなりに“くたびれ感"や“ほころび”が目立ち、味気なく、飽きが来るのは自然なことです。
繰り返される日々は大切なものですが、それが変化のない環境で単調に営まれるとしたら、生活が退屈で苦痛になるかもしれません。
肉体的に緩慢になりがちな老人には、環境の激変は、心身とも危険が伴いますが、毎日感じたり見たりする“ちょっとした変化”は、脳に注意力を呼び戻すチャンスにもつながる。
私は、普段は、クラシック音楽を聴きながら、家事や仕事、書き物をする。休日に、ちょっと普段と違う変化が欲しいとき、ジャズやポップ、民謡を聴いたりします。テンポの速い曲をかけ、身体を動かして、運動不足を補うこともある。
部屋の見慣れたインテリアに少し変化が欲しくなったら、置き場所を変えてみる。
壁にかかった絵も、ドイツから持ち帰った風景の画集の一枚を選び、月に一度、違う絵を額に入れ替えて楽しむ。
この画集、気に入った絵が簡単にはがせるようになっている便利な優れもの。飾っている絵が替わると、部屋の雰囲気もずいぶん変わり、新鮮な空気が部屋にも身体にも流れるようで、気分転換になる。
年を重ねると、同じことの繰り返しのほうがラクで便利ですが、自分なりに、面倒でも少し変化をつけてみると、気分も身体も活性化し、新しい発見につながる気がする。
本記事は『初めての"老い"を上手に生きる』(笠間書院)からの抜粋です
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沖 幸子さん流・シニアライフの楽しみ方で、もう「高齢者」なんで言わせない!
『50過ぎたら ものは引き算、心は足し算』の著者・沖 幸子さんの最新作。50代、60代と歳を重ね、70代に突入、気が付けば後期高齢者の仲間入り。この本では、沖さんの自らの体験に基づき、老化現象と仲良く付き合い、こころは青春時代を取り戻すための、日常のちょっとした工夫、思考転換でできる「若返り」を紹介しています。いたずらに忍び寄る「老い」に怯えるのではなく、逆に若いころのような制約や義務がなくなるシニアライフ=「老い」を、豊かに楽しむ生活を提案しています。
沖 幸子(おき・さちこ)
兵庫県生まれ。生活経済評論家。家事サポートサービス「フラオ グルッペ」代表。大学客員教授(起業論)や経済産業省、厚生労働省などの政府審議会委員も務める。神戸大学卒業後、ANA、洗剤メーカーを経て、ドイツ、イギリス、オランダで生活マーケティングを学び、グローバルな視点を持つ暮らしのデザイナー・女性起業家として、メディアで活躍。「掃除界のカリスマ」として知られ、家事や暮らしが楽しくなる数々のエッセイや評論を執筆している。著書は、『ドイツ流 掃除の賢人』(光文社)、『50過ぎたら、ものは引き算、心は足し算』『70過ぎたら あるがまま、上手に暮らす』(ともに祥伝社)など多数。