鏡と美しい暮らし
玄関のドアを開ければ、そこには大きな鏡。ドイツに住んでいたころ、たいていのお宅には大小いろいろな鏡が、玄関の壁にかかっていました。
"玄関に鏡があると広く見える"のはわかるのですが、それだけではなく、自宅を訪れるゲストのためなのです。
つまり、たいていのゲストが、玄関の鏡で乱れた髪を整え、身だしなみをチェックできるように、その心配りも含まれている。
玄関の鏡は、自分のため、ゲストのためのもの。玄関の鏡に慣れ親しむと、よそのお宅を訪問したとき、玄関に鏡がないと、自分の身だしなみを整える場所がなく、戸惑い不安になることがあります。
老人生活には、インテリアと実用を兼ね、鏡を活用しましょう。
わが家は、玄関はもちろん、居間や寝室、ゲストルーム、水回りの壁などに鏡がかかっています。
部屋中の鏡は、自分の姿勢や顔色の健康チェック、玄関の鏡は、ゲストはもちろん、出かけるときの自分の服装も確認できる。鏡があるだけで、その部屋が広々と見えるインテリア効果もあります。
鏡の手入れは、気が付いたときに、ほこりを払ったり、タオルで拭いたりする。映った自分の姿と同時に、鏡のよごれ度もチェックし、乾いたタオルで拭いておく。
バスルームなど湯気で汚れやすい鏡は、固形せっけんやジャガイモの切り口でこすれば、曇り止めにも。
本記事は『初めての"老い"を上手に生きる』(笠間書院)からの抜粋です
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沖 幸子さん流・シニアライフの楽しみ方で、もう「高齢者」なんで言わせない!
『50過ぎたら ものは引き算、心は足し算』の著者・沖 幸子さんの最新作。50代、60代と歳を重ね、70代に突入、気が付けば後期高齢者の仲間入り。この本では、沖さんの自らの体験に基づき、老化現象と仲良く付き合い、こころは青春時代を取り戻すための、日常のちょっとした工夫、思考転換でできる「若返り」を紹介しています。いたずらに忍び寄る「老い」に怯えるのではなく、逆に若いころのような制約や義務がなくなるシニアライフ=「老い」を、豊かに楽しむ生活を提案しています。
沖 幸子(おき・さちこ)
兵庫県生まれ。生活経済評論家。家事サポートサービス「フラオ グルッペ」代表。大学客員教授(起業論)や経済産業省、厚生労働省などの政府審議会委員も務める。神戸大学卒業後、ANA、洗剤メーカーを経て、ドイツ、イギリス、オランダで生活マーケティングを学び、グローバルな視点を持つ暮らしのデザイナー・女性起業家として、メディアで活躍。「掃除界のカリスマ」として知られ、家事や暮らしが楽しくなる数々のエッセイや評論を執筆している。著書は、『ドイツ流 掃除の賢人』(光文社)、『50過ぎたら、ものは引き算、心は足し算』『70過ぎたら あるがまま、上手に暮らす』(ともに祥伝社)など多数。