(『天然生活』2021年8月号掲載)
30年の歳月を経て、庭は「役立つ草木」の宝庫
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
暮らしのさまざまな場面に、身のまわりの葉を生かす。その知恵の原点は、幼いころの記憶から。
「まず思い出すのは、母が、焼いた青魚の下にホオの葉を敷いていたこと。目によく、香りよく、お皿を汚さない“一石三鳥”でした。食事のあとは葉を細かくきざんで、飼っていた家畜に食べてもらっていたから、一石四鳥ですね」
便利な洗剤などなかった時代だからこそ、油汚れの負担を減らし、水を節約しながら日々の食卓を楽しむ。その心遣いは横山さんの胸に刻まれ、受け継がれました。
「美しくて、むだがないのがなによりうれしい。環境へ配慮するという意味でも、いま、暮らしに『葉使い』を気軽に取り入れていただけたらと思います」
「しその葉の味噌包み焼き」のつくり方
はちみつで甘さを加えた味噌を包み、フライパンでコロコロ。料理だけでなく、盛りつけにもしその葉を役立てます。
材料(2本分)
● 青じそ | 5枚 |
● 味噌 | 大さじ2 |
● はちみつ | 小さじ1弱 |
● 油 | 小さじ2 |
つくり方
1 器に味噌とはちみつを入れて混ぜ、青じそ2枚をひろげた上にそれぞれ半量ずつのせてくるくると巻く。
2 フライパンに油を敷いて熱し、1を入れてコロコロと転がしながら表面を軽く焼き付ける。
3 皿にしその葉を敷いて、2をのせる。
「水ようかん」のつくり方
青々とした柿の葉に、喉ごしのよい水ようかんをのせて。棒寒天は、強火でしっかりと溶かしきるのがポイントです。
材料(つくりやすい分量)
● 棒寒天 | 4g |
● こしあん | 200g |
● 水 | 200mL |
● 柿の葉 | 適量 |
つくり方
1 棒寒天はたっぷりの水(分量外)に1時間ほどひたしておく。
2 1をしぼってちぎり、水とともに鍋に入れて強火で煮る。寒天が溶けてきたら弱火にして透明になるまで煮溶かす。
3 寒天が完全に溶けたら弱火のままこしあんを加え、よく混ぜる。鍋肌がふつふつとしてきたら火を止め、好みの型に流し入れる。
4 3を冷水の入ったバットに並べて冷蔵庫に入れ、30分ほど冷やし固める。
5 柿の葉の上に、型からはずした4をひとつずつのせる。
<料理/横山タカ子 撮影/山浦剛典 取材・文/玉木美企子>
横山タカ子(よこやま・たかこ)
料理研究家。長野県生まれ、在住。“適塩”の調理や長野の食文化を生かすレシピに定評。失敗しない梅干し「さしす漬け」をはじめとする、梅の保存食づくり40年の集大成的レシピ集『私の梅仕事』(扶桑社)、『四季を味わう 私の「木の実」料理』(扶桑社)も好評発売中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです