日本人好みの味から珍しいものまで、おいしい薬草料理が味わえるベトナム
天然生活webの連載「山下智道のハーブ&スパイス紀行」でもおなじみ、野草研究家の山下智道さん。
新刊『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』(創元社)では、タイやベトナムなどアジア7か国を訪れ、出会ったハーブやスパイスを紹介しています。
ベトナムでは、ホーチミン近郊にあるさまざまな市場に足を運び、ランチもディナーも薬草料理三昧だったという山下さん。
ベトナムの薬草料理は基本的に甘味、酸味をいかした日本人好みの味つけが多いようですが、なかには、香草たっぷりのブンリュウ(トマトスープの麺料理)やチャーカー(白身魚の揚げ焼き)など、個性的なものもあり、どれもとてもおいしいかったのだそう。
本記事では、山下さんがベトナムで出会った薬草のなかから、日本でもなじみの深い「ドクダミ」をご紹介します。
葉が薄く、特有の香りですらさわやかに感じた、ベトナムの「ドクダミ」
ドクダミ
Houttuynia cordata │ドクダミ科ドクダミ属
日本から中国、ヒマラヤ、東南アジアにかけての広い地域に分布する多年草。
草丈は20~60cmになり、黄緑色から紫色の地下茎が伸びる。ハート型で暗緑色の葉には腺点があり、裏面はしばしば紫がかった色になる。
日本ではセンブリ、ゲンノショウコと並ぶ三大民間薬の一つ。
全草にデカノイルアセトアルデヒド、ラウリルアルデヒドを含み、特有の臭気があるため、日本では乾燥させてお茶などにはしても、ドクダミを生で食べるなんてまず誰も思いつかないだろう。しかし、ベトナムではがっつり生でドクダミを食べまくる。
現地で実際に食べてみると、とにかく葉が薄く、特有の香りはどこかさわやかに感じた。
形態的にはほぼ同じでも、産地によって芳香成分のバランスが異なることは植物ではよくあることだ。
※ 本記事は『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』(創元社)からの抜粋です。
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▼日本のドクダミの記事はこちら(山下智道さんのweb連載より)
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野草研究家・山下智道がアジア各地を旅して出会った風変わりでエキサイティングな植物たちを写真で案内する、新感覚のスパイス・ハーブ図鑑。
ネパール、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、台湾、韓国の7つの国で親しまれている香辛料、香草、薬草、野菜、果物、藻類などを、現地での様々な用途や日本で見られる近縁種とともに150種以上紹介。
植物を使った料理や製品、旅情あふれるマーケットや野山の風景も満載。
山下智道(やました・ともみち)
1989年、北九州市生まれ。生薬・漢方愛好家の祖父の影響や登山家の父の影響により、幼少から植物に親しみ、卓越した植物の知識を身につける。現在では植物に関する広範囲で的確な知識と独創性あふれる実践力で高い評価と知名度を得ている。国内外で多数の観察会、ワークショップ、ハーブやスパイスを使用した様々なブランディングを手掛けている。TV出演・著書・雑誌掲載等多数。主な著書に『ヨモギハンドブック』(文一総合出版、2023年)、『野草がハーブやスパイスに変わるとき』(山と渓谷社、2023年)、『なんでもハーブ284』(文一総合出版、2020年)、『野草と暮らす365日』(山と渓谷社、2018年)などがある。