(『天然生活』2020年2月号掲載)
体に必要なのは、上質な油と心地よい代謝
乾燥が気になる季節。美容の面だけでなく、乾きは感染症にかかりやすくなるなど、健康面でも悪影響を及ぼします。体も寒さでおのずと縮こまり、体内のめぐりも悪くなって、不要なものを体にため込みやすくなります。
そんな季節の不調を乗り切るために、アーユルヴェーダで推奨しているのが、オイルの力で体内を潤し、さらに代謝をよくするお手当て。
アーユルヴェーダを実践する高瀬媛子さんに、まず教えていただいたのが、手軽な材料で手づくりできるオイル。じっくりと熱を入れてつくります。
「白ごま油は熱を入れると粒子が小さくなり、浸透しやすくなります。また、加熱した白ごま油は食べつづけると体の熱を上げすぎるのですが、経皮で入れる分には適度に温め浄化する効果が期待できます。
油は健康の大敵というイメージがありますが、よい油を少量ずつ継続して摂取することは、健康のためにも美容のためにも、いいんですよ」
専用のオイルが必要だと思い込みがちなアーユルヴェーダですが、手軽に買える食用の白ごま油の使用を推奨しています。ただ、熱を加えるひと手間(キュアリング)を。
それによって、体により浸透しやすくなり、効果が上がります。体に塗ったり、うがいをしたり、オールマイティーに使える白ごま油。
「健康にも美容にもいいことづくめなので、ぜひ毎日の習慣にして」
就寝までには、消化をすっきり終わらせて
さらに、夜のお手当てで注目したいのが、お風呂と食事の時間の関係。つい、食事を済ませてからのんびりゆっくり、お風呂に入りたいと思ってしまいがちですが……。
「お風呂は、食後2時間くらい空けてほしいんです。というのも食べ物の消化というのは、体にとっては大仕事なんですね。食後は、体中の血が胃の周辺に集まって、一生懸命消化にあたっています。
その消化の最中にお風呂に入って温まると、血流がよくなって血が身体中に分散し、消化に集中できなくなります。さらにそのまま寝てしまうと、未消化のものが蓄積されてしまい、体にも負担がかかります。食後2時間空けるのが大変な人は、食事とお風呂の順番を逆にするのも手ですよ」
こんなちょっとした習慣の見直しでも、体への負担は大きく減らせます。アーユルヴェーダの夜のお手当て、まずは早めのお風呂から始めるのもおすすめです。
高瀬さんの夜のお手当て
白ごま油を使って潤い&リラックス入浴
専用のオイルが必要だと思い込みがちなアーユルヴェーダですが、手軽に買える食用の白ごま油の使用を推奨しています。ただ、熱を加えるひと手間(キュアリング)を。
それによって、体により浸透しやすくなり、効果が上がります。体に塗ったり、うがいをしたり、オールマイティーに使える白ごま油。
「健康にも美容にもいいことづくめなので、ぜひ毎日の習慣にして」
入浴前に、温めた白ごま油(下記、使い方参照)各2プッシュほどを両ひざ下に塗ってなじませる。洗い流さずに湯船に浸かると、体全体が温まる。
白ごま油を、カレースプーン1杯分口に含んで、口全体に回るようにぶくぶくうがいしながら浴室へ。入浴中も口に含んでおく。
夜の入浴はリラックスが目的。長湯はせず、さっと温まる程度で。白ごま油は顔の内側から美容液を浸透させるイメージで、口に含み続ける。適当なところで(時間は好みでOK)、3~4枚重ねたティッシュに油を吐き出し、捨てる。日々続けるうちに、潤いのある肌に導いてくれる。
白ごま油のキュアリング方法
一度キュアリングしたごま油は、2〜3カ月は保存可能。ひとびんまとめてつくっておくのが面倒がなくおすすめです。
材料(つくりやすい分量)と道具
● 太白ごま油 | 1本 |
鍋、料理用温度計、ろうと |
手順
1 太白ごま油を鍋に入れて弱火にかける。温度を測りながら温め、90〜95℃まで上がったらすぐに火から下ろす。
2 粗熱をとり、ろうとを使って元のびん(手持ちの清潔な乾いたびんを使ってもよい)に戻す。冷暗所で常温保存する。
使い方
ポンプ付きの遮光容器に3〜4日分(150mL程度)を入れる。使うときにお湯を入れたマグカップに容器ごと入れ、温めて使用する。
活用方法
夜だけでなく、冷えが気になる部分、関節などに積極的に塗り込みます。また、朝いちばんの口の中は雑菌がたくさん。起き抜けにごま油うがいをすれば、口内を浄化できます。
〈撮影/山川修一 取材・文/福山雅美 構成/鈴木麻子 イラスト/須山奈津希〉
高瀬媛子(たかせ・あきこ)
「アーユルヴェーダな女優」として料理教室や講演活動を通じて「ホリスティックな暮らし」を提案している。
インスタグラム:@akiko_takase
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです