• 行き場のない猫たちを、新しい家族が見つかるまでの間自宅でお世話をする「猫の預かりボランティア」。小禄広海さんは、鎌倉と逗子の境にあるちいさな港町でお菓子づくりをする傍ら、保護猫活動の一環として「猫の預かりボランティア」を行っています。広海さんがお世話をする“預かりっ子”たちとの日常をつづった「ねこおば日記」。今回は、繁殖業者による、残酷な現実についてお話しします。

    繁殖業者が手放した猫たちを預かる

    お久しぶりです。秋ですね。

    うちにはいま、三毛猫のコアラとオリとヒコと言う姉弟の子猫が居候している。

    オリとヒコという名前の由来は保護主の美樹さん宅に七夕の日に来たからだそうな。

    画像: オリヒコはシナおじいちゃんが大好き

    オリヒコはシナおじいちゃんが大好き

    画像: コアラも元気です

    コアラも元気です

    もともとは繁殖業者が耳の形などが悪いと言う理由で手放した子達で、巡り巡って我が家で預かることになった。

    過去にはやはり繁殖業者の廃業で、ガリガリの状態で預かって看取りになった子もいた

    メルちゃんと言って人が大好きな引き寄せの達人で、亡くなったときの火葬帰りに通りがかりの上皇ご夫婦にもお見送りしてもらったくらい。そのときは骨壺を持っていたパートナーが職質を受けていておもしろかった(笑)。

    同じく業者の廃業から我が家に来た大福という男子は、いまは幸せにくらしているものの、以前は繁殖用にキープされて普段は狭いケージに入れられていたらしく、保護された直後はほかの猫に馬乗りになったり、うちではお尻をあげておしっこを壁にしていた。

    当初これには手を焼いたのだが、友人のアイデアで我が家ではコロナ禍の飲食店で多用されていたパーテーションをペットシートの上に立てかけて、パーテーションに当たったおしっこをペットシートが受けとめるようにしていた。

    壁にペットシートを貼っているお宅をたまに見かけるが、透明のパーテーションなら壁の前にあっても目立たないし、掃除も楽だし、これは壁にしちゃう子におすすめの技。

    大福はまた温厚な性格なのに爪切りは大嫌いだった。病院でしてもらったときは暴れて足を捻挫したほど。

    目も放置されたために治らない障害があって目ヤニを拭きたいのだけど、なかなか拭かせてくれないし、目薬も大大大嫌い。

    繁殖業者による残酷な現実

    このように業者の子たちはいまのところ皆総じて、生まれたときから人間に頼るしかない状況で人慣れはしているものの、人間のほうがきちんとお世話が出来ていないからか、変な癖みたいなものがついてしまっている子が多い気がする

    医療ケアもきちんとされてない子が大半。

    実際、いまいる2匹、オリとヒコも猫風邪がなかなか治らない

    鼻炎が酷くて、鼻水に血が混じるほど。最初から人間が関わっているのにそもそもなんでそうなるのか?

    そして粗相もなかなか治らない。やはり変な癖は、汚部屋(汚ケージ)で暮らしていたからなのか。

    画像: 天使のような寝顔のオリだが、今朝は私の足の間におしっこ。色褪せたブランケットがハードな洗われ方を物語っている笑

    天使のような寝顔のオリだが、今朝は私の足の間におしっこ。色褪せたブランケットがハードな洗われ方を物語っている笑

    狭いゲージに入れられた、数十匹の猫たち

    そういえば以前、近くの駐車場にコンテナが2台あって、その中のぎっしり並んだケージそれぞれに5匹づつくらい、合計数十匹の猫たちが住んでいた事があった。

    前を通った友人達が異臭に気づいて発覚したのだが、そっとのぞきに行くと、狂ったように騒いだり、自分の尾っぽを追いかけている子もいたし、ケージは汚なかったし、悪臭もした

    ベッドもブランケットもない。数日に一回はお世話に来るらしいのだけれど、明らかにいろいろ間違っていた。

    ちなみにコンテナは猫カフェと繁殖をしている人が借りていたらしく、そこに居る子たちは待機組なのか、いわゆる“純血”な見た目の子ばかり。

    警察に連絡したり、いつもお世話になっている美樹さんに各所にやり取りをしていただいたが、行政としては一応、窓や換気扇もあるし、法には触れていないので、注意は出来るものの、罰したり営業許可を取り消したりは出来ないのだそう。

    地域の犬猫の保護仲間で定期的に見回りをして猫たちに危険はないか、何か法に触れていないかを気にかける日々が続いた。

    結局、問題になってから数ヶ月で業者は逃げるように出ていったのだけれど、場所が変わっただけでやっている事は同じだとしたら。

    のぞけないならもっと酷いかもしれない。考えはじめると気が遠くなる。やはり法をより厳しくしないとダメだと思う。

    折しもこれを書いている週末は衆院選挙。「“選挙” “動物愛護”」で調べてみる。私たちにできることは業界を守る政治家ではなく、動物を守ってくれそうな政治家を選ぶこと。 

    生体販売はもちろんなくしていきたい。業界はやり方を変えて生き残ろうとするはず。私たちにはそれを見破る目も必要。

    商品として生産されて扱われる犬や猫が、この世から一日も早くいなくなることを願ってやまない。

    〜里親さま便り〜
    ほんとうの家族をみつけた“預かりっ子”たち

    里親から幸せに暮らす猫たちの写真が届きました!

    今年春に捨てられて我が家に来た姉妹。今は悠々自適に暮らしています。

    画像: 今年春に捨てられて我が家に来た姉妹。今は悠々自適に暮らしています。

    ブリーダー崩壊から来た大福。こちらもいまは幸せに暮らしています。

    画像1: ブリーダー崩壊から来た大福。こちらもいまは幸せに暮らしています。
    画像2: ブリーダー崩壊から来た大福。こちらもいまは幸せに暮らしています。

    今年初夏に高速道路で保護されたぽんちゃんとコアラの息子のはっち。血のつながりはなくても仲良しなふたり。

    画像1: 今年初夏に高速道路で保護されたぽんちゃんとコアラの息子のはっち。血のつながりはなくても仲良しなふたり。
    画像2: 今年初夏に高速道路で保護されたぽんちゃんとコアラの息子のはっち。血のつながりはなくても仲良しなふたり。
    画像3: 今年初夏に高速道路で保護されたぽんちゃんとコアラの息子のはっち。血のつながりはなくても仲良しなふたり。
    画像4: 今年初夏に高速道路で保護されたぽんちゃんとコアラの息子のはっち。血のつながりはなくても仲良しなふたり。

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    画像5: 今年初夏に高速道路で保護されたぽんちゃんとコアラの息子のはっち。血のつながりはなくても仲良しなふたり。

    小禄広海(おろく・ひろみ)
    幼少の頃からお菓子作りが好きで、Bakeromi(ベカロミ)という名前で活動中。現在は鎌倉、材木座にあるカフェに毎日お菓子を納める傍ら、猫の預かりボランティアを中心に保護活動もする、バタバタな毎日。来世はやはり家猫になりたい。
    インスタグラム@catladyorock@bakeromi



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