(『天然生活』2021年11月号掲載)
おいしさを逃さず、衛生的にびん詰めにする
初秋から晩秋に向け、たくさんの食材が旬を迎えます。庭の木が果実を実らせたり、栗やきのこが生産者から届いたりするのを心待ちにする方もいるでしょう。
おいしさを逃さずに調理し、衛生的にびん詰めにする方法を、料理家のワタナベマキさんに教わりました。
ジャムやコンフィチュールは、基本のつくり方を覚えれば、さまざまなフルーツで応用できるそう。
「基本のジャムの糖分は、フルーツの50%と覚えておきましょう。フルーツだけのシンプルなジャムはおいしいですよ。お好みのフルーツで試してくださいね」」
びんの消毒や脱気など、衛生面も気をつけたいところです。
「びん詰めの中身にかかわらず、消毒と脱気の方法は一緒。難しくはありません。おすそ分けする際も、脱気したほうが安心ですよね」
日持ちするので、なかなか会えない家族や友人に近況報告を兼ねて贈るのもよさそう。
だれかのことを思いながら手を動かす時間は、きっと心を満たしてくれます。
*びん詰めの食品を取り出す際は清潔なスプーンを使用し、ふたはすぐにしめましょう。パン等に塗るのに使用したスプーンを再びびんに入れることは避けてください。
紅玉りんごのジャム
美しい赤色の皮も一緒に煮る、紅玉りんごのジャム。ていねいにあくを取ると、透明感あふれる仕上がりに。
材料(つくりやすい分量)
● りんご(紅玉) | 4個(正味約800g) |
● グラニュー糖 | りんごの正味の重量の50% |
● レモンの絞り汁 | 1個分 |
● バニラビーンズ | 1本 |
用意する物
● ふたの裏にゴム製のパッキンがついたガラスびん
● 酸に強い鍋(ホウロウ、ステンレスなど)
びんの消毒
1 鍋にびんとかぶるくらいの水を入れて火にかけ、沸騰後5分煮る。トングなどで取り出し、キッチンペーパーをしいたバットに開口部を下にしておく。手で触らないようにする。
※びんが熱く、滑りやすいのでやけどに注意。
2 ふたは消毒用アルコールスプレーをして、キッチンペーパーでふき取る。
※アルミのふたとゴムパッキンは変型や劣化することがあるので、煮沸はしない。
下ごしらえ
3 りんごは粗塩でこすり洗いして水けをふく。
4 皮つきのまま8等分のくし形切りにして、芯を取り除き、5mm厚さの薄切りにする。
5 4のりんごの重さを量り、りんごの50%の重量のグラニュー糖を用意する。
6 鍋にりんご、グラニュー糖、レモン汁、縦に切り種をこそげ取ったバニラビーンズとさやを入れる。
煮る
7 全体を混ぜて、水分が出てくるまで15分ほどおく。
8 鍋を弱めの中火にかける。煮立ったらあくを取り、弱火にする。
9 ときどきあくを取り、かき混ぜながら20分ほど煮る。煮汁に少しとろみが出てきたら完成。バニラのさやを取り出す。
10 ジャムが熱いうちに、消毒したびんに入れる。びん底を台に軽く打ち付けて空気を抜きながら、びんの9割まで詰める。縁についたジャムは消毒用アルコールを含ませたキッチンペーパーでふき取る。
脱気
11 びんにふたをして鍋に入れ、びんの高さの半分まで水をはる。中火にかけ、5分間沸騰させる。びん内の空気が膨張し、ふたの隙間から出てくる。
12 トングなどで取り出す。軍手やふきんを使って、ゆるんだふたをしめ直す。
※やけどに注意。
13 ふた部分を下にして、冷めるまでおく。温度が下がるに従って、びん内部の空気も収縮する。
14 ふたの中央を押してみて、ペコペコと動かず内側にへこんだ状態ならば、脱気は完了。
※常温で6カ月保存可能。開封後は冷蔵保存し、1カ月以内に食べきる。
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<料理・スタイリング/ワタナベマキ 撮影/広瀬貴子 取材・文/河合知子>
ワタナベマキ(わたなべ・まき)
料理家。グラフィックデザイナーを経て料理の世界へ。伝統的な和食からエスニック、保存食まで豊富な知識と抜群のセンスでつくり出す。ていねいなライフスタイルにファンも多い。近著の『和えもの 春夏秋冬』(誠文堂新光社)をはじめ、多数のレシピ本を出版している。インスタグラム@maki_watanabe
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです