(『天然生活』2024年2月号掲載)
本間先生が考える肥満の予防法
よく耳にする「糖質制限」は、糖質を摂らないことによってインスリンの分泌を抑えようとするもの。一時的に効果はあるかもしれませんが、私はおすすめしていません。
理由はいろいろありますが、一番は健康の要である腸内細菌にダメージを与えるからです。
腸内細菌の一番の栄養は糖質なので、それを極端に制限するということは、腸内細菌のバランスをくずすことになります。
糖質と一口にいっても控えるべきもの=糖類と、控えるべきでないでんぷん質があり、このうち未精製のでんぷん質は大腸まで届いて腸内環境を育てます。
しかも未精製のものは体内への吸収に時間がかかるので血糖値の上昇も緩やかになり、インスリンも過剰には分泌されません。
ですから私は糖質制限ではなく「糖質選択」をすべきだと思っています。
私が考える肥満予防法は、少食(子どもは別)、一物全体(食材を丸ごと食べること)、地産地消で旬のものを食べることです。
添加物などを摂らないこと、体を温めて代謝を上げること、ストレスをためないことも大切でしょう。
たまにはごちそうを食べるのも悪くないですが、ふだんは腹八分目を意識して、元気な体で過ごしていきましょう。
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〈取材・文/嶌 陽子 イラスト/はまだなぎさ〉
本間真二郎(ほんま・しんじろう)
小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。2009年より栃木県那須烏山市の「七合診療所」所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践中。著書に『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』(講談社ビーシー)など。2児の父。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです